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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか

クソどうでもいい仕事を撲滅したい一心で『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』(酒井隆史講談社,2022年1月1日)を読了。

BSJ とは,被雇用者本人でさえ,その存在を正当化しがたいほど,完璧に無意味で,不必要で,有害でさえある有償の雇用の形態である。とはいえ,その雇用条件の一環として,被雇用者は,そうではないととりつくろわねばならないと感じている(位置 No. 202)

存在を正当化しがたい仕事は,本当にそれが必要か考えた方がいい。

失敗が予見できる計画を,専門家をふくむさまざまな批判にもかからわず,無視して突っ走って,しわよせが現場の下請けに押しつけられるなどということは,失敗が大きな確率で予測できるのに,あるいは失敗があきらかになってからすらも構造的に計画を途中でやめることがきわめて困難である日本では,深刻なレベルで蔓延しているだろうからです。(位置 No. 380)

計画と実績管理は,ほどほどに。

この「マネジリアリズム・イデオロギー」という指摘は重要です。ネオリベラリズムのなかで強化され,拡大しているのが,このとにかくあらゆる過程に管理チェックの契機を導入していく経営管理主義イデオロギーです。(位置 No. 480)

管理することで発生するコストを上回るベネフィットが得られているだろうか。管理する側こそ,B/C を考えた方がいい。

グレーバーは,このように社会が全面的に官僚制的論理に貫徹されていく事態を「全面的官僚制化(total bureaucratization)と呼んでいます。わたしたちにはなじみぶかいはずのこの現象がそれとわかりにくくなっているのは,ひとつには,この官僚制の全面化が,反官僚主義的レトリックをまといながら進行しているからです。(位置 No. 1799)

私の業界は,官僚制的論理に貫徹されやすい。

ここまでくると,「エッセンシャル・ワークの逆説」をもたらす歴史的背景はあきらかです。(位置 No. 2405)

  1. 仕事はそれだけで価値がある。無意味で苦痛であればあるほど価値がある。人間を一人前の人間にするものであり,それはモラルなのだ。
  2. なんらかの無からの創造にかかわるものこそが労働であり,ケアにかかわる仕事は本来,それ自体が報いであり(やりがいという報いがえられる),それを支えるものであって本来無償のものである。

このような発想が,「その労働が他社の助けとなり他者に便益を提供するものであればあるほど,そしてつくりだされる社会的価値が高ければ高いほど,おそらくそれに与えられる報酬はより少なくなる」といった倒錯が倒錯とみなされずスルーされ,それどころかそうあるべきであると人に観念させるのです。(位置 No. 2419)

仕事はそれだけでは価値がないし,報いが無償であっていいはずがない。