Masassiah Blog

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賢い人がなぜ決断を誤るのか?

『賢い人がなぜ決断を誤るのか?』(オリヴィエ・シボニー,日経 BP,2021年7月5日)を読了。

「入札する企業は契約を勝ち取るために,かなり低い金額を提示する。契約を取ってから交渉し直せばいいと考えているからだ。一方,発注側はステークホルダー(納税者や議員など)の承諾を得るために,費用と期間をできるだけ少なく見積もろうとする」。巨大プロジェクトに関する統計を収集・分析したオックスフォード大学の研究者ベント・フライフヨルグは,このマキャベリ*1の説明」が問題の一部であることを立証し,次のように述べた。「(コストの)過小評価はミスではなく,戦略的にベストのやり方,つまり嘘をついたと説明できる」。(位置 No. 1054)

私が携わる業務システムの抜本的改修という巨大プロジェクトにも,当てはまるのではないかと思われる。

企業が不採算事業から撤退できず,惰性に陥りがちな原因は,もう一つある。それは単に,「撤退するかどうか」が問われないことだ。私たちはみな,現状維持バイアスの影響を受けやすい。動くより動かないほうが楽だ。(位置 No. 1449)

現状維持バイアスにより,惰性で続けられているものは多い。

心理学者のバルーク・フィッシュホフは,ある事件が起きる前と起きたあとでの認識のギャップを後知恵バイアスと呼んでいる。(位置 No. 1608)

事件が起きた後だから加えられる知恵がある。

「その人たちはそれが不可能だということを知らなかった。だから挑戦し,成功した」というマーク・トウェインの言葉はよく引用される。この言葉は,リスクを取るよう人を励ます時に使われることが多い。しかし,通常,私たちを動かすのは勇気ではなく無知だということも,見事に言い当てている。(位置 No. 1708)

無知だからこそ,大きなことを成し遂げられる場合もある。

予言ダコのパウルとビル・ミラーはとても重要な教訓を与えてくれる。意思決定者を評価する時,特にそれが企業幹部である場合,私たちは,その人の過去の業績をもとに評価しようとする。よい意思決定者はよい意思決定をする人であり,よい意思決定はよい結果を生む,と考えるのは自然な流れだ。だが,これは危険な仮定だ。なぜなら,結果のよし悪しで意思決定を評価しようとすると,偶然の影響を過小評価しがちだからだ。(位置 No. 2991)

「勝ちに不思議の勝ちはあるが,負けに不思議の負けはなし」

勝ちばかりで,業績を評価してはいけない。

多くの組織において,「順調な会議」とは,議論がない会議のことを指す。意見の相違が引き起こす不快感は非常に強いので,それを避けるために,人は議論を避けようとする。会議で反対意見が出そうな時,賢い提案者は会議の前に,主要メンバーと個別に会って問題を解決しておく。その結果,会議は,すでに決定済みのことを追認する儀式になる。この流れが様々なバイアスの下地をつくる。(位置 No. 3283)

順調な会議であれば,わざわざ集まる必要はない。

パワーポイントを駆使したプレゼンテーションは,会議を単一の視点による一方通行なものに変えてしまい,深い議論の妨げになりやすい。米海兵隊対象のジェームズ・マティスも米国統合戦力軍司令官だった時に「パワーポイントは私たちを愚かにする」と嘆いたという。(位置 No. 3364)

パワーポイントで論点を整理してしまうと,すでに議論がされていると騙すこともできてしまう。

パワーポイントのスライドと優れたメモの違いは,単なる書式の問題ではない。優れたメモを書くには,時間と努力とかなりの技術が求められる。ネットフリックスの取締役会に提出されるメモは,90 人の役員のチェックを受ける。(位置 No. 3392)

スライドではなく,メモを残すようにする。

ジョン・メイナード・ケインズはよく意見を変えて非難された。彼は批判に対して次のように答えたそうだ。「事実が変われば,私は考えを変える。あなたはどうしますか?」(位置 No. 3963)

変化する状況の中,意見が変わらない,ということはありえない。

ヨーロッパのある大企業のトップは,発言する文化を浸透させるテクニックとして,「反対意見を述べる勇気ある人に報酬を与え,昇進させる。そうすれば,声を上げる人が増えるだけでなく,政治的な駆け引きをする人に未来がないことが,全体に知れわたる」。(位置 No. 4108)

意見を言うことができる人を昇進させる。

*1:政治目的のためにはいかなる反道徳的な手段も許されるとする