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愛国の作法 姜 尚中

2020年7月11日更新

『愛国の作法』(姜 尚中 Kang Sang-jung*1朝日新書,2006年10月30日発行)を読了。

 大切なことは,国を愛することや愛国心を,夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特許のままにしておかないことです。もっとしなやかに,そしてしたたかに国を愛することや愛国心について語り,議論することが必要なのです。(p. 12)

国を愛するということは,とても自然なことなのである。

 自分たちが生まれ育った郷土にたいするそうした素朴な愛着は,どこから生まれるのだろうか。すこし考えると,そうした感情とは,郷土が帰属している国の歴史や伝統,そして文化に接触しながらはぐくまれてきたことがわかる。
 とすれば,自分の帰属する場所とは,自らの国をおいてほかにない。自らが帰属する国が紡いできた歴史や伝統,または文化に誇りをもちたいと思うのは,だれがなんといおうと,本来,ごく自然な感情なのである。(安倍晋三美しい国へ』)(p. 129)

自らの国の歴史,伝統,そして文化に誇りを持つのは,自然な感情である。
まずは,日本の歴史,伝統,そして文化を知る。

 若者たちが,自分たちが生まれ育った国を自然に愛する気持ちをもつようになるのは,教育の現場や地域で,まずは,郷土愛をはぐくむことが必要だ。国にたいする帰属意識はその延長上で醸成されるのではないだろうか。(安倍晋三美しい国へ』)(p. 144)

郷土愛をはぐくむためには,地域を活性化すること。
そして,いつかここに戻ってきたいと思ってもらうこと。

 実際,命ある者としてわれわれを生み育んでくれたその大地が,死ぬときにはわれわれをふところに迎え入れてくれることに思いをはせるとき,われわれ人間は何か力強いものによってたがいに結びつけられていることを感じるのである。(ペネディクト・アンダーソン『比較の亡霊』)(p. 146)

大地という大きなくくりにすると,地球が郷土になる。
しかし,歴史,伝統,文化は異なるので,地球を郷土とするのは,難しいだろう。

 そんなとき,「愛国」や「憂国」を絵に描いたような三島の華々しくもグロテスクな割腹自殺は,わたしの中に名状しがたい感情の波を引き起こしました。激しい嫌悪感と未知のものへの強い好奇心がない交ぜになり,そのアンビバレントな感情をどう処理していいのか,よくわからなかった記憶があります。(pp. 201 - 202)

「愛国」「憂国」の心を持つ士は,現代でいうと誰だろうか。
日本国全体が,愛国,憂国を失ってしまったように思える。

愛国の作法 (朝日新書)

愛国の作法 (朝日新書)

 

 

*1:政治学者。1950 年,熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。