Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

一勝九敗 柳井正

2020年1月11日更新

『一勝九敗』(柳井正 (株)ファーストリテイリング CEO,新潮社,2003年11月15日発行)を読了。

かつて日本人論がはなやかだったころ,日本人は中流階級意識が強く,集団主義的な傾向が強いといわれた。一方向あるいは一つの意見にまとまってしまうマスコミは,そのころから脱却していない。日本人の感覚は競争社会にさらされて少しずつ変化してきているのに,マスコミの競争意識は横並びのスクープ合戦に過ぎず,論調には何の独自性もない。(p. 19)

2020 年になった今でも,マスコミの競争意識は横並びで変わっていないか。

ぼくは社員に「高い志や目標をもて」とよくいう。人は安定を求めるようになるとそこで成長が止まってしまう。高い目標を掲げて,それにむかって実行努力することこそ重要なのだ。目標は低すぎてはいけない。到底無理だと思われる目標でも,綿密に計画をたて,それを紙に書き,実行の足跡とつねに比較し,修正していく。そうすれば大概なことはうまくいく。大事なのはあきらめないことだ。(p. 51)

目標を達成するための計画を立てなければ,目標は実現しない。
目標管理という仕組みがそれにあたる。

失敗には次につながる成功の芽が潜んでいるものだ。したがって,実行しながら考えて,修正していけばよい。危機につながるような致命的な失敗は絶対にしてはならないが,実行して失敗するのは,実行もせず,分析ばかりしてグズグズしているよりよほどよい。失敗の経験は身につく学習効果として財産になる。(p. 74)

分析する暇があったら,トライしてみることも大事。
愚者は経験に学ぶが,我々は愚者であることを認識すべき。

「テレビを見ている人たちをもっと尊敬して,彼らのインテリジェンスに期待すべきだ。だから価格のことをしゃべる必要はない。これでぼくらの言いたいことは必ず伝わる」(ジョン・ジェイ)(p. 104)

宣伝においては,視聴者のインテリジェンスに期待してもいいかもしれないが,国の政策については,国民のインテリジェンスに期待はできない。

環境変化に対応し,絶え間なく自己変革できる柔軟性を身につけ,変更すべきことは即変更し,当たり前のことを当たり前に実行する。われわれのやり方はつねにトライ・アンド・エラー。前進し挑戦あるのみだ。(p. 112)

環境変化は激しい。
自己変革ができなければ,停滞するだけ。

実践がともなわず頭だけで考えると,すべて机上の空論に終わってしまう恐れがある。もちろん,実践にこだわるあまり,改革を考えられなくなることの愚は言うまでもない。(p. 120)

考えたら即実践。
考えなくてもダメ,実践しなくてもダメ。

トップダウン型が徹底するようになると,店舗でも本部でも同様に,決められたことを当然,決められたようにやる。これでは半分オーケーだが,半分はダメだ。毎日,同じことをやることが文化になってきてしまう。同じことを続けると,創意工夫しなくなるし,思考が硬直化する。(p. 131)

ボトムアップを期待するためには,思考を硬直化させない。

マニュアルは原則を書いたもので,本来,仕事の最低標準のラインを底上げのためにある。何度でも言うが,自分で考えて,自分で商売することが大事なのだ。(p. 132)

マニュアルは最低標準。
本来あるべきことは何か,技術者は考えなければならない。

今の日本の大企業をみてみると,若い人が経営者として活躍する機会がなさ過ぎる。われわれの会社では,若くてもその人が本当にそれだけの能力を持っていたら,相応の職について経営者的な仕事ができる体制になっている。(p. 139)

経営企画部がわずかに経営者的な視点に立つことができるのか。

会社には,ゼネラリストとスペシャリストの両方とも必要だとぼくは思っている。両方を育てるべきだというのは,例えば一つの機能や一つのスペシャリティを持っている人だけしかない会社では,数々の問題は解決しないと思うからだ。(p. 140)

ゼネラリストは大勢いるが,スペシャリストはいない。
だから,踏み込んだ技術的な議論ができずにいる。

日本の企業もだいぶ変わってきたとはいえ,中間管理職になるのがやっと四十歳代,部長だと五十歳過ぎ,役員は五十五歳以上などというのが普通である。いわゆるお神輿型経営,偉い人は上に乗っているだけで何もしない。下の人はどこに行くのか分からないながらも,お神輿だけ担いでいる。そこには経営のダイナミックさが無いばかりか,お客様や環境に対応して常に変化していこうなどという柔軟で反応の早い体制は,みじんも感じ取れない。(p. 176)

私の勤務先も,お神輿型経営だろうな。

特にドメスティックな産業,例えば流通業,金融業,建設業などは全部企業マインドが内向きで,自己変革のきざしすら見えない。自己改革どころか不況にその責任を転嫁している。そういう業種には,優秀な人や将来に夢を抱くような人は勤めようと思わないだろう。(p. 187)

不況や時代の流れに責任を転嫁しない。
自己改革ができれば,きっと将来に夢を描くことができる。

この「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来,経営者に必要な資質なのではないか,と思うからだ。(p. 202)

自分自身を客観的に分析・評価できなければ,他者を分析・評価できないだろう。

絶対に「全社最適」を第一優先にしてほしい。人間が増えれば増えるほど,自部署の都合で仕事をしないことが大切になる。この考え方がない限り,多い人数で一緒になって仕事をするということは無理だ。(p. 214)

「全社最適」の思考を持つ。
何のための仕事かを考える。

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

  • 作者:柳井 正
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: 文庫