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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

「学力」の経済学 中室 牧子

2020年4月27日

『「学力」の経済学』(中室 牧子 著,ディスカヴァー・トゥエンティワン,2015年6月18日 初版 第 1 刷)を読了。

米国では,自治体や教育委員会が,自ら積極的に教育政策の効果を科学的に検証し,そこから得られた知見が,自治体や国など全体の政策に反映されるようになっています。これを,「科学的根拠に基づく教育政策」または「エビデンスベーストポリシー」といいます。(位置 No. 168)

 教育の効果を科学的に検証できるようにすることから始める。

今ちゃんと勉強しておくのが,あなたの将来のためなのよ

後で詳しく述べますが,おそらく多くのご両親が口にしたことがあるはずのこの言葉は,経済学的にも正しいことが明らかになっています。子どものころにちゃんと勉強しておくことは,将来の収入を高めることにつながるのです。(位置 No. 263)

努力(≒勉強)は裏切らない。

「インプット」にご褒美が与えられた場合,子どもにとって,何をすべきか明確です。本を読み,宿題を終えればよいわけです。一方,「アウトプット」にご褒美が与えられた場合,何をすべきか,具体的な方法は示されていません。

ご褒美は欲しいし,やる気もある。しかし,どうすれば学力を挙げられるのかが,彼ら自身にはわからないのです。(位置 No. 329)

 大人になっても,「アウトプット」は難しい。

アウトプットにご褒美を与える場合には,どうすれば成績を上げられるのかという方法を教え,導いてくれる人が必要であることがわかります。(No. 339)

「アウトプット」したことがない人には,「アウトプット」の仕方を教えてくれる人が必要。

これが,1992 年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のベッカー教授が提唱した「人的資本論」という考え方です。詳細はここでは述べませんが,この理論の根幹をなしているのは,教育を経済活動としてとらえると,将来に向けた「投資」として解釈できるという考え方です。(位置 No. 728)

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の中,できることは自分への投資である。

どんなに勉強ができても,自己管理ができず,やる気がなくて,まじめさに欠け,コミュニケーション能力が低い人が社会で活躍できるはずはありません。一歩学校の外へ出たら,学力以外の能力が圧倒的に大切だというのは,多くの人が実感されているところではないでしょうか。(位置 No. 869)

学力も大事だけれど,学力以外の能力の方が圧倒的に大切。

このような状況下で,なるべく能力の高い人に教員になってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。経済学者に聞けば真っ先に提案されるであろうシンプルな方法は,教員になるための参入障壁をなるべく低くする,つまり教員免許制度をなくしてしまうということです。(位置 No. 1533)

 教員になる参入障壁をなくせば,現在の教員たちはディスラプトされないように,変わっていくか。

「学力」の経済学

「学力」の経済学

  • 作者:中室 牧子
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
まんがでわかる「学力」の経済学

まんがでわかる「学力」の経済学

 

 参考 非認知能力の学術的な呼称

  • 自己認識(Self-perceptions)
    自分に対する自信がある,やり抜く力がある
  • 意欲(Motivation)
    やる気がある,意欲的である
  • 忍耐力(Perseverance)
    忍耐強い,粘り強い,根気がある,気概がある
  • 自制心(Self-control)
    意志力が強い,精神力が強い,自制心がある
  • メタ認知ストラテジー(Metacognitive strategies)
    理解度を把握する,自分の状況を把握する
  • 社会的適正(Social competencies)
    リーダーシップがある,社会性がある
  • 回復力と対処能力(Resilience and coping)
    すぐに立ち直る,うまく対応する
  • 創造性(Creativity)
    創造性に富む,工夫する
  • 性格的な特性(Big 5)
    神経質,外交的,好奇心が強い,協調性がある,誠実