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エネルギー産業の2050年 Utility 3.0 へのゲームチェンジ 竹内 純子

2020年4月17日更新

 『エネルギー産業の2050年 Utility 3.0 へのゲームチェンジ』(竹内 純子 編著,伊藤 剛,岡本 浩,戸田 直樹 著,日本経済新聞出版社,2017年9月1日 1版 1刷)を読了。

電力供給が不安定になるリスクがあることや,自由化すれば価格競争が起こって,電気料金が安くなるという三段論法で語れるほど電気事業は単純ではないと,自分たちが気づくべきだった。でも,時すでに遅しだ。(p. 12)

外部から見れば,電力業界を守りたいだけの言い訳にしか聞こえない。

DER*1の特徴は,下記の 4 点に整理できます。(p. 42)

第1に,発電過程において,CO2 を発生しない。

第2に,資源が無尽蔵であり,化石燃料のように枯渇の心配がない。

第3に,燃料費がかからないため,限界費用はほぼゼロとみなせる。

第4に,発電量は気象条件によって決まり,人間がコントロールができない。

第1~3はメリット,第4のみがデメリットであるが,そのデメリットを克服できれば,分散型電源はメイン電源となるのは必然。

リフキン*2は,モノのインターネット(IoT)などの技術の進歩により,コミュニケーション,エネルギー,運輸の 3 つの分野で限界費用がゼロに近づいていき,それが資本主義経済の衰退と共有型経済の台頭を招くと予言しています。(p. 43)

限界費用がゼロならば,それをみんなで共有する。

ボストンコンサルティンググループ(2017)は,情報通信技術を念頭に「技術革新がある段階に達すると,計算能力などのリソースが極めて安く豊富になるため,それらのリソースを消費することで,新しいものを生み出すことに経済合理性が出てくる」「ブロックチェーンとデジタルトークンは,安価な(データ)ストレージを浪費することによって,破壊的イノベーションをもたらしている」と指摘しています。(p. 51)

新しいものが生み出されるスピードが加速していく。

増加する需要にキャッチアップすることが主要命題であった,今までの送配電網の設備形成は,大きく世界が変わります。高度成長期に形成された設備を漫然と更新するのでは持続可能でないことは明らかで,じわじわと進行していく人口減少をフォローしながら,設備をスリム化していくかじ取りが求められます。一気に変化する場合よりも「じわじわと」した変化という方が対策は難しいのです。(p. 137)

「じわじわ」と減っていく中,どの時点で,設備をスリム化するのかを見極めるのは,大変難しそう。

国民経済を支えるのが都市部であって,その都市部の足を引っ張らないことが重要と考えるならば,送配電会社の託送料金は,今の原則エリア一律(ユニバーサルサービス)を見直して,エリアを細分化して,それぞれの地域に,それぞれの費用に見合った料金を適用することが適当です。(p. 140)

地域によって託送料金にはっきりと濃淡をつければ,都市化を進めること,その逆もできてしまう。

日本の送配電事業が,人口減少時代を賢く乗り切るためには,デジタル技術を駆使し,他のインフラサービスと融合した地域密着型複合ユーティリティを形成することが 1 つの解と考えますが,実現のためには,これまで電気事業の常識中の常識であった,ユニバーサルサービスを疑ってみることが,第一歩であると考えられます。公益事業が取り組むべき大義名分の 1 つであったユニバーサルサービスは,イノベーションに取り組むインセンティブを削ぐ面もあったのです。(p. 142)

ユニバーサルサービスという固定概念を取り除けば,電力系統計画の考え方は大きく変わってくる。

エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ

エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ

 

 

*1:分散型電源

*2:米国の文明評論家でドイツや欧州委員会の経済アドバイザーも務めるジェレミー・レフキン