Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

意思決定のための「分析の技術」

分析とは,「物事の実態・本質を正しく理解するための作業」の総称だと筆者は考えている。(p. 2)

物事の実態・本質を正しく理解するために「分析」をする。

分析の基本は,「大きさを考える」,「分けて考える」,「比較して考える」,「時系列を考える」の四つである。そして,そのバリエーションとして「バラツキを考える」,「プロセスを考える」,「ツリーで考える」という工夫が生まれる。さらに,自然科学と違って,「人間の問題」や社会の現象は,複雑に入り組んだ事象を含み,かつ「ファジーで不確定・不確実な要素」を積極的に取り扱っていかなければならない。そのためには,それらを取り扱う「枠組みなどの工夫」が必要になる。(p. 6)

闇雲に分析を始めるのではなく,既存の枠組みなどを活用し,効率的に分析を行いたい。

コンサルタントになったばかりの頃,いろいろ分析の工夫をしていた際に言われたことがある。

「非常に頭のよい人でも,同時に三つのことを考えることのできる人はまずいないが,普通の人でも同時に二つのことまでは考えられる。世の事象は複数の要素の組み合わせでできているが,それを二次元の紙の上に図示する工夫が必要なのだ」

複雑な物事を単純化(二次元化)する。

前章で「分析」の用語は「分」も「析」も「分ける,切り離す」という意味であることを述べたが,英語で「分析する」に相当する用語は Analyze(分解する,解析する,批判的に調べる。名詞形は Analysis)である。そしてこれと似た用語に Analogy(類似,類推,比較)がある。語源がどのような関係にあるかは知らないが,われわれが現象を理解するための主要な手段として,「比較する」「比較して類似や差異を考え推論する」ことは,「分ける」こととともにもっとも基本的な分析の手法である。(p. 56)

「比較する」,「比較して類似や差異を考え推論する」,それを実践するために比較表を作成する。

現在の状況というものは,いきなりそこに現出したものではない。現在は過去のいろいろな経過を経て,生まれたものである。したがって,「現在」を正しく理解するためには,現在の状況だけをいくらくわしく分析しても不十分であり,なぜ現在の状況がそこにあるのかを「過去との関連」において見極めることが必要となる。(p. 80)

現在の状況に至るまでの,経緯を見極める。

自力で仕事をしている町のラーメン屋さんや八百屋さんが仕事量に応じて収入を得ている一方で,世の多数を占めるサラリーマンがまったく違った文化や報酬制度の体系のなかにいること自体が,もしかしたらわが国の活力を削いでいるのではないか。(p. 129)

今の文化や報酬制度の体系では,サラリーマンの「稼ぐ力」は芽生えないし,育たない。

総じて,組織の発達と機能分化に伴い,「プロセスの複雑化」は不可避的に発生する。しかし,他社の動きを見ながら,半年に一度新モデルを上市しなければならない産業で,連絡系統がこのように複雑化しては,時代に即応した新しい開発競争に勝つことは困難だ。制度やプロセスの重圧を排して,少々の連絡ミスや不便を,前向きの姿勢で解決する姿勢がなければならない。本来の開発目的の達成,開発競争での勝利のために,プロセスの一元化,簡素化を図ることが必要である。(p. 155)

プロセスの本質を捉え,一元化,簡略化を志向していく。

ところで,この「ロジック」の能力はある意味では数学の能力に似ている。つまり,むずかしい数学の定理を習って暗記しただけでは複雑な問題が解けることにはならない。何度も応用問題を解く訓練をして,やっと使いこなせるようになる。それと同じように,ロジックの能力も,常に「論理的に,厳正に,かつ重要度の順に考える」クセをつけて訓練しなければ身につかない。(p. 180)

ロジカルの能力は,考えるクセをつけなければ伸ばせない。

イッシュー(Issue)とは「争点」の意で,人によって主張・見解が異なるため,今後解明されなければならない未解決の課題のことを言う。そうした主張の異なる課題を解決していくためには,その課題をより具体的な複数の事実をもって証明・検討しうる,より具体的な課題(サブ・イッシュー)に分解し,正しい解決のためにはどこに焦点を当てるべきか,どの事実がわかれば何が解決するかを,あらかじめ大きなフレームワークのなかで検討しておくことが不可欠である。(p. 182)

イッシュー,サブ・イッシューを見極める。

パーキンソンの法則によると,組織,とくに間接部門の組織は,放置すると,なすべき仕事の量(アウトプットの量)に関係なく次第に複雑化・重層化して膨張する性質を持つという(わが国の政府や地方自治体の組織も例外ではない)。(p. 186)

暇な部門は,要注意。

現代人の投資にしても,資金の余裕のある人は大きな利益可能性を追求して思い切った投資ができるが,余裕のない人はより安全な定期預金を選ぶことになろう。(p. 195)

投資なくして,成長なし。

投資というものは,(設備投資であれ,開発投資であれ金融投機であれ)現金が先に流出するものであるから,成果があがらなければ現在のキャッシュフローはマイナスになり,一定確率のもとに投資が当たってはじめて利益が生まれる。将来の資金回収と利益の産出は,現在の 100 % 確実な「投資支出」に対して,一定の確率を勘案したうえでの投資成果の回収可能性の数学的帰結を評価しなければならない。(p. 196)

確率を加味した利益を見積もる。

たとえばパーキンソンの法則。この法則は 1960 年代に英国の社会学者パーキンソンが「官吏の数はなぜ多いか,会議の運営や決定はなぜうまく進まないか」を研究し,

  • 役人の数はなすべき仕事の量に関係なく,一定の割合で増加する(第一法則)
  • お金は必要と否とにかかわらず,入っただけ出る性質を持つ(第二法則。予算消化のための年度末の建設工事を思い出していただきたい)
  • 拡大は複雑を意味し,複雑は腐敗を意味する(第三法則)
  • ある組織の立派な建物の建設は,その組織の崩壊点で計画され,その完成は組織機能の崩壊を意味する(都庁の建物がそうでないとよいのだが)

など,組織の非効率化の課題を発表したものである。(pp. 249 - 250)

パーキンソンの法則を頭に入れておき,組織の非効率化が生じていないか常にチェックしたい。