『作家刑事毒島』(中山七里,幻冬舎,平成30年9月発行)を読了。
アイドルを夢見る人はそれなりに容姿が整っていたり歌の才能があったりする人でしょうし,スター選手を目指す人はやはりそれなりに運動能力の秀でた人でしょう。ところが,作家になりたがっている人の九割以上は才能もなければ根気もありません。ついでに自覚もありません。(27 ページ)
作家になりたい人への痛烈な表現。
「努力は必ず報われる。そうでなきゃ冒険なんて空しいだけだもの。ただしね,その努力って正しい努力に限られるから」(63 ページ)
正しい努力を積み重ね,報われよう。
どこの世界にもロマンチストとリアリストがいて,穿った見方をすれば,それは個人の中で鬩ぎ合っていることでもあるよね。別の言い方をするとロマンは将来性,リアルは収益性。この二つが併存しない業界はいずれ衰退し,破綻する。(97 ページ)
自分の中に,ロマンチストとリアリストを併存させよう。
「犯罪ってのは一種の経済学なんだからさ。最小の努力で最大の利益を得る。複雑よりは単純を,労苦よりは安楽を。わざと自分が苦労しようとする犯人なんて,そうそういるもんじゃないよ」(115 ページ)
犯人の気持ちになれば,単純と安楽な方法を選ぶことがわかる。
「夢とか憧れとかってさ,とかくその人の性格や人生を拗らせる原因になりやすいんだよ。長い期間抱いていればその分,重たくなるし」(230 ページ)
私の性格や人生を拗らせた夢や憧れはあっただろうか。
「だってさ,痛い目に遭ったのに毎度同じ失敗を繰り返すなんて,知能が低い証拠じゃない。知能が低い相手に懇々と諭したところで理解できる訳がない。怒っても疲れるだけ。だったら,そういう相手は嗤ってやるしかないんだよね」(270 ページ)
知能の低い相手には,怒らず,嗤うだけにしよう。
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