『恩讐の鎮魂曲 御子柴礼司』(中山七里,講談社,2018年5月1日)を読了。
罪を犯し,逃れ,嘘を吐く咎人たちを見続けた者には到底理解できないに違いない。
救われないことがどんなに過酷なのか。
裁かれないことがどんなに過酷なのか。(54 ページ)
救われないこと,裁かれないことは過酷なこと。
何を欲し,何を護ろうとするのか。それは信条であり,価値観であり,そして行動原理だ。犯罪の動機を考える時,御子柴の考察する基盤もそこにある。その基盤が違うのであれば,動機から心理を探ろうとしても正解に辿り着けるはずがない。(178 ページ)
信条,価値観,行動原理がわからないければ,犯罪の動機は考えられない。
人の気持ちは悪魔でも分からない,という有名な諺がある。その昔,悪魔と呼ばれた当の御子柴も同感だ。(236 ページ)
人の気持ちを分かり合うことはできない。
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