2018年9月16日作成,2021年10月3日更新
はじめに
2018年9月16日,大相撲九月場所 八日目 結びの一番において,横綱・白鵬(モンゴル国ウランバートル市 出身,宮城野部屋)は豊山(新潟県新潟市出身,時津風部屋)を上手投げで下し,初日から 8 連勝を飾るとともに,横綱通算 800 勝を達成した。
白鵬が達成した横綱通算 800 勝は,横綱通算 670 勝の北の湖を大きく引き離し,史上最多記録である。
横綱通算 800 勝が,いかに偉大な記録であるか示すため,昭和以降の横綱*1の横綱通算勝ち星(2018 年 9 月 23 日現在)をグラフ化し,比較してみた。
上図は,2018 年 9 月 23 日現在の横綱通算勝ち星を降順で記載したグラフである。
グラフを見ると,横綱通算勝ち星には,二つの壁が存在しているように見える。
一つ目の壁は,大鵬 622 勝と輪島 466 勝の間にそびえる壁(上図において 600 勝の壁と称す)である。大鵬と輪島との間には,実に 156 勝の差がある。また,横綱通算勝ち星が 500 勝台の横綱は存在しない。
二つ目の壁は,柏戸 407 勝と栃錦 292 勝の間にそびえる壁(上図において 400 勝の壁と称す)である。柏戸と栃錦との間は,117 勝の差がある。そして,横綱通算勝ち星が 300 勝台の横綱も存在しない。
以降,二つの壁について考察する。
昭和の大横綱を凌駕する横綱通算 800 勝
一つ目の壁である 600 勝を突破しているのは白鵬,北の湖,千代の富士,大鵬の 4 人だけである。
北の湖,千代の富士,大鵬は,いわずと知れた昭和の大横綱である。
昭和の大横綱の横綱通算勝ち星をも凌駕しているのが,白鵬の横綱通算 800 勝である。
横綱通算 400 勝の壁の倍の勝利数
二つ目の 400 勝の壁を超える勝利を挙げているのは,上記の 4 人に加えて,輪島,朝青龍,曙,貴乃花,柏戸の 5 人である。
ここへきて,ようやく平成の横綱である朝青龍,曙,貴乃花が登場する。
400 勝というのも,並の横綱では辿り着けない境地である。
その 400 勝の倍の勝利を白鵬は積み重ねているというのは,とてつもないことである。
今後の期待~白鵬はどこまで勝ち続けるのか
最後に,今後の興味は,白鵬がどこまで横綱通算勝ち星の記録を伸ばせるかということに尽きる。
それを予想するため,横綱通算勝ち星の上位 4 人(大鵬,北の湖,千代の富士,白鵬)の,横綱在位数と横綱通算勝利数の関係をグラフ化してみた。
白鵬は,北の湖,千代の富士,大鵬を上回るペースで横綱通算勝利数を伸ばしていることがわかる。
横綱在位 50 場所以降,徐々に勝利数のペースは鈍化しているように思えるが,それでも,北の湖,千代の富士,大鵬に比べれば,まだ勝利数を伸ばせるように思える。
白鵬の横綱在位と横綱通算勝利数を線形近似した直線も合わせて示すが,白鵬は 1 場所あたり,12.341 勝のペースである。
仮定として,横綱在位 80 場所となった場合の横綱通算勝利数を試算*2すると,以下のようになる。
12.341 [勝/場所] × 80 [場所] + 15.615 [勝] = 1,002 [勝]
数字上は,横綱通算 1,000 勝も不可能ではないように思える。
一日一番,一つずつ勝利を積み重ねていき,引退までにどれだけ勝利数を積み重ねるか,今後も目が離せない。
そして,白鵬という空前絶後の横綱のいる時代に生きている幸せを感じたい。
白鵬の横綱通算勝ち星(2021年10月3日追記)
2021年名古屋場所,白鵬は全勝優勝を遂げ,2021年秋場所後に引退した。白鵬引退時の横綱通算勝ち星は,899 勝であった。
2021年名古屋場所の優勝インタビューでは,「横綱通算勝ち星 900 勝まであと一番。次の一勝を目指して頑張る」と語っていたが,そのとき既に引退を決意していたようだ。
数字上は,横綱通算 1,000 勝も不可能ではないとも思えたが,白鵬の膝の怪我の影響もあり,さすがの白鵬も勝ち星を伸ばし続けることはできなかった。
現役横綱である鶴竜と稀勢の里の横綱通算勝ち星は
ちなみに,白鵬以外にも現役の横綱は,鶴竜と稀勢の里がいるが,それぞれの横綱通算勝利の位置づけを見てみる。
稀勢の里は横綱通算 36 勝で,まだまだこれからといったところだ。せめて,師匠である隆の里を超え,100 勝くらいはあげてほしいものだ。*4