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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

AI ビジネスチャンス 技術動向と事例に学ぶ新たな価値を生成する攻めの戦略(できるビジネス)

『AI ビジネスチャンス 技術動向と事例に学ぶ新たな価値を生成する攻めの戦略(できるビジネス)』(荻野調,小泉信也,久保田隆至,大塚貴行,インプレス,2024年7月21日)を読了した。

本書は,生成 AI の基礎から応用,ビジネス活用まで幅広く整理されており,現在の AI 動向を俯瞰するうえで有益であると感じた。

生成 AI リテラシーに必要な要素

生成 AI リテラシーを育むために必要なこと(p. 20)

  1. 技術的熟練度
  2. 創造性
  3. 横断的で専門性の高い知識
  4. 倫理的意識
  5. 適応性と生涯学習

生成 AI を適切に扱うためには,継続的な学習が不可欠であると改めて感じた。

生成 AI をめぐる 10 のリスク

生成 AI をめぐる 10 のリスク(p. 24)

  1. 自動化による既存ビジネスへの影響
  2. アルゴリズムやデータのバイアス(偏重)
  3. 監視社会
  4. AI の兵器化
  5. ブラックボックスのジレンマ
  6. 超知能特異点
  7. 人間性の浸食
  8. デジタルディバイド
  9. 人間によるコントロールの喪失
  10. 実在的倦怠感

生成 AI が登場して数年が経過したが,数年前には想像できなかった変化が次々と起こっており,まさにエキサイティングな時代であると感じている。

AGI(強い AI)の条件

AGI(強い AI)の条件(p. 48)

  • 人間のように幅広いタスクを理解して解決できる
  • 経験から学び自己進化できる

強い AI が現実となったとき,人間はどのように振る舞うべきかという問いは,今後ますます重要になるだろう。

RAG がもたらす効能

RAG によって実現できる効能の例は以下の通りです。(p. 83)

  1. データの鮮度の向上:情報取得する際に,動的に検索し情報収集するため,データベース(DB)に格納されている最新情報をもとに回答が可能
  2. 正確性の向上:情報検索した結果をもとに回答を生成させるため,正確性を高められる。ただし,誤った検索結果が誤った回答につながる点は注意が必要
  3. 特定分野への適用性の向上:企業独自で保持している詳細な情報をもとに,社内 FAQ や専門的なナレッジに基づいた回答を生成可能

特定分野への適用性が高まれば,省力化が大きく進むことが期待される。

生成 AI による SEOアクセス解析の強化

生成 AI を活用すれば,SEO 対策やアクセス解析も行えるため,適切なタイミングで適切な施策を打つなど,持続的な Web ページ運用が可能になります。(p. 179)

私自身も,生成 AI を活用した SEO 対策やアクセス解析をすでに取り入れており,運用効率の向上を実感している。

コンテンツ領域における AI サービスの変化

「コンテンツ」領域に変化をもたらす AI サービスの例(p. 227)

  • オートパイロットによる効率化
  • 大規模なパーソナライズドコンテンツ
  • 強化された A/B テスト
  • 自動翻訳
  • マイクロコンテンツの台頭
  • ミックスの芸術
  • データドリブンなコンテンツインサイト

私が携わっている Web ページや Blog の領域では,特に マイクロコンテンツデータドリブンなコンテンツインサイト が親和性が高いと感じている。

生成 AI が日常業務を変革する未来

今後 5 年間は,生成 AI がビジネスにおける日常業務の実行方法そのものを変革する可能性を秘めています。(p. 235)

生成 AI がビジネスを加速する実行エンジンに

生成 AI を日常業務に積極的に取り入れ,業務プロセスそのものを刷新していきたいと考えている。

人工知能はいかにして強くなるのか?対戦型 AI で学ぶ基本のしくみ

人工知能はいかにして強くなるのか?対戦型 AI で学ぶ基本のしくみ』(小野田博一,講談社,2017年2月1日)を読了した。

サミュエルの評価関数と「ナンセンスな変数」

サミュエルのプログラムの評価関数は,30 ほどの変数を使った線形式です。

~中略~

この変数群のなかには強いプレイヤーだったならけっしていれなかったはずのナンセンスな変数も故意にいれてありました。

そのようなことをした理由は,「作者が強いから強いプログラムが出来上がった」と思われるのを避けたかったからです。(位置 No. 1186)

30 ほどの変数であれば,人間が手作業で調整することも可能である。しかし,変数の数が増えれば増えるほど,人間の直感や経験では制御できなくなり,機械学習の力を借りざるを得なくなる。

人口模倣型 AI の進化速度

すでに AI は「人間の着手を予想し模倣する」という方法で人間を超えましたが,囲碁プログラムはまだ欠陥だらけです。それゆえ,人間をより正確に模倣することで,さらに軽々と上達し,現在のプログラムが初心者レベルだったと思えるほどの強いプログラムが登場するまでに今後 10 年はかからないでしょう。(位置 No. 2135)

著者は「今後 10 年はかからない」と述べているが,実際にはその予測を大きく上回る速度で進化が進んだ。囲碁 AI は数年で人間を圧倒し,もはや模倣ではなく,人間には思いつかない着手を生み出す段階に到達した。

ドキュメント東京電力 福島原発誕生の内幕

『ドキュメント東京電力 福島原発誕生の内幕』(田原総一朗文藝春秋,2011年7月10日)を読了した。

原子力導入の背景と「平和利用」の理想

日本が原発導入を決めた決定的理由は,1953年12月のアイゼンハワー米大統領の厳命であった。(p. 5)

原子力は,これまで大量の人間を殺害するための兵器であった。それを人類の平和と繁栄に役立つための有効な道具に転換する。それが原子力発電である

原子力の膨大なエネルギーを人類の平和のために使えるという理想は,今なお大きな魅力を持つものである。

「電力再編成」という言葉の重さ

電力再編成という言葉は,電力関係者たちには,電力の国家管理,電力国有化などというイメージに直結し,その言葉が使われた途端に,通産,いや国家と電力会社側との全面戦争になることが明白だったからである。その言葉を禁句にすることで,通産省と電力会社側は,部分戦争はくり返しながら,いわばデタントを保ってきたわけだ。(p. 22-23)

電力システム改革 2020 を経ても,「電力再編成」という言葉には過敏に反応してしまう。

電力の自立を守るという気概

「木川田さんの一生とは,国家を電力に介入させず,電力の自立を維持するための国家との戦いだった。そして,木川田さんは見事にそれをやってのけた」(p. 27)

今の電力業界に,電力の自立を維持するために国家と戦う気概のある者はいるのだろうか。

電力会社の体質と「巨大な下宿屋」

「電力会社とは,ようするに賄いつきの巨大な下宿屋みたいなものなのですよ。魚屋や肉屋,八百屋などが御用聞きに来る。その連中に,品質が悪いとか,高過ぎるとか尊大に構えて文句をいっていればよかった」(p. 30)

賄いつきの巨大な下宿屋という一面は,今もなお残っているように思える。

「巨大化しすぎた恐竜」としての電力会社

「巨大化しすぎた恐竜」

通産官僚たちは,電力会社のことを,こう呼んでいる。

恐竜は,中生代ジュラ紀から白亜紀に栄えた爬虫類で,巨大になりすぎたために,環境に適応できなくなって死滅したのだといわれているが,電力会社もまさにその巨大さゆえに身動きがとれなくなり,このままでは恐竜のように自滅するしかない,というわけだ。(p. 34)

通産省がなくなっても,恐竜としての電力会社は生き残った。この皮肉は重い。

事なかれ主義と官僚制の限界

「事なかれ主義で,身を挺するということを知らぬお役所仕事で,電力事業などできるわけがない。官僚には,電力を,国を,滅ぼすことはできても,絶対に発展はさせられない」

松永安左ェ門は,こうつぶやき,ひっそりとお茶をたてながら,国策会社・日発が,日本国と抱きあい,狂いの舞を演じつつ奈落にころげ落ちていくのをひややかに眺めていた。(p. 61-62)

事なかれ主義の官僚に,日本の未来を託すことはできない。官僚の描く未来像に踊らされてはならない。

自由競争とエネルギー政策の難しさ

「自由競争のエネルギーによってしか,企業の健全な成長はあり得ず,電力もその例外ではない」(p. 69)

エネルギー分野において自由競争だけでよいのか,今なお疑問が残る。

官僚の短期ローテーションと長期視点の欠如

「机上の数字あわせと,法律で規制することしか知らず,しかも,1,2 年でポンポンとポストがかわる無責任な官僚たちに,電力という,産業のいわば心臓部の主導権を奪われたら,日本は滅んでしまう,と木川田さんはことあるごとに力説していました」(p. 73)

短期間で異動する官僚に,超長期的な未来像を描くことは難しい。

電力会社の永遠の課題 : 借金と資金

「なんとかして,会社の借金を減らし,収入から得たお金を貯めて社内に自分の資金を多くしてゆくことがたいせつで,それがとりもなおさずにこれから東電という病体を健康体にし,りっぱなわたくしたちの会社とするいちばん大切な任務です」(p. 102)

借金を減らし,資金を増やすことは,電力会社にとって永遠の経営課題である。

政・財・官の外にいた電力会社

日本の政・財・官界は,政界は官界には強いが,財界に弱く,財界は政界には強いが官界に弱いという,グー・チョキ・パーの関係にある,といわれているが,電力会社は,グー・チョキ・パーの関係の外にいた。電力会社に対しては,政治家も,実業家も,そして官僚たちも頭が上がらなかった。(p. 104)

政財官の外にいたからこそ,電力会社は長らく我が世の春を謳歌できたのだろう。

国家会議構想と責任の所在

官僚主導による,上からの政策が危険であると同様に,木川田には,橋本の提唱する国民会議構想に危険な要素が多すぎるように思えてならなかったのだ。

「たしかに,国民,消費者の意見を聞く,いや尊重することは大事だとは思うが,原子力発電をつくり運営するのは電力会社なのであって,その責任のありかははっきりさせておかねばならない。国民会議というのは,一見民主的でよさそうだが,責任のありかがあいまいで,とんでもない暴走をしかねない」

木川田は,親しい新聞記者にこう洩らしている。(p. 145)

県民投票を経て原発再稼働が決まる現状を見ると,国民会議的な構造の危うさを思い起こさせる。

「一般受け」と地に足のついた経営

経営の現場以外からの発想は,一見かっこよくて一般受けをするが,とかく思いつきできめが粗い,地に足がついていない,と,木川田は,よく,身近な人間たちに語っていたようである。(p. 147)

かっこよさや一般受けだけを追っても,浮ついた施策しか生まれない。地道な努力こそが重要である。

集中型原子力基地と分散型構想

九電力が中心となってすすめてきた,日本の原子力開発は,過疎地に,巨大原子力基地を建設して 100 万 キロワット級の大型原子炉を何基も集中させる,という方式だった。それに対して通産省の新構想では,多くの小型原子炉を地域に分散させ,その地域で消費するエネルギーは,その地域でまかなう,という。この一点だけでも,現在の原子力開発の在り方に対する真っ向からの挑戦だといえる。(p. 209)

多くの原子炉を地域に分散させるより,拠点を集中させる方が合理的であると感じる。

国家介入を排除し続けた電力会社

電力会社は,GHQ という超権力によって日本発送電が解体され,九電力体制が発足して以来,電力国管の悪夢をふたたび甦らせまい,と,国家の介入を排除し,独立王国を築くために全精力を費やしてきた。東電の木川田一隆は,いわばその旗頭としてたたかいつづけてきたのだ。(p. 224)

電力を国家に委ねることは,二度とあってはならない。

「プラス・マキシマム」から「マイナス・ミニマム」へ

「経営政策会議では,かなり厳しい議論がかわされたようですが,結局は,木川田一隆の『プラス・マキシマムからマイナス・ミニマムへの転換』という言葉が決め手になって,“融和” という結論がひき出されたようです」(p. 225)

この転換は,経営方針の大きな方向変化を意味していたのだろう。

技術と組織が支える現場の力

依田*1はいった。たとえ官僚たちがどんな政策を考えようと,電力会社が時間をかけて開発してきた技術と,地域に根をはりめぐらせた組織なしには具現化もできなければ,運営もできないはずだという自信が,東電の融和策の裏付けになっているのだというわけだ。(p. 240)

机上の政策だけでは,現場の運営は成り立たない。技術と組織の蓄積こそが実行力を生む。

原子力という「ファウスト的契約」

超大国が,それぞれ原発事故を起こすことに,わたしは本書に登場する,日本原発の生きた歴史のような人物,橋本清之助(81年7月死去)が口ぐせのようにいっていた「ファウスト的契約」なる言葉を思い出していた。

ようするに,わたしたちは原子力という豊富なエネルギー源を得るのと引きかえに,一つ間違うと恐るべき災害を惹起するという潜在的危険性を抱え込んでしまったのだというわけだ。(p. 253)

恐るべき災害を経験してもなお,原子力の豊富なエネルギーを手放すことはできないという現実がある。

 

*1:東電企画室の依田直室長

時をかけるゆとり

『時をかけるゆとり』(朝井リョウ文藝春秋,2015年1月20日)を読了した。

人生は「何でもできる」と「何もできない」の二律背反

ゴールした瞬間のあの感覚は,私はきっと一生忘れられないだろう。心の底から思ったのだ,人生何でもできる,と。今までは「フッ,きれいごと言うな」等と鼻で笑っていたような言葉が,血液の中に溶けて全身を駆け巡る。人生,諦めなければ何でもできるんだ。これは本当なんだ。

~中略~

本当に,本当に,本当に,人生諦めなければ何だってできるのだ。

だけど明日は何もできない。

世界で一番きれいな二律背反が誕生した瞬間だった。(p. 30)

何でもできる気持ちはあるが,体がついてこない。このギャップが非常に面白い二律背反である。精神と肉体のズレは,大人になるほど強く意識させられる。

高校生の「負ける気がしない」感覚

先ほどから「勝てる気がしない」という表現を何回か使っているが,高校生のころは,負ける気がしなかった。誰もがそうだと思う。相手が何なのか,勝ち負けとは何なのか,そんなもの何もわかってはいなかったが,とにかく,高校生であったあのころは誰でも,何にも負ける気がしなかったはずだ。(p. 55)

高校生には長い人生が待っているので,本気で勝とうと思えば,どんな相手にも勝てる可能性はあるはずである。根拠のない自信こそ,若さの特権である。

地元を離れることの喪失感

いくら,ついさっきまで盆踊りの輪の中にいたと言っても,私は決して,その輪を巡る血を手に入れることはできない。それは当然のことなのだが,私は無性に,さみしかった。東京に出てきたことを後悔しているわけではない。だが,もう決して取り戻せないものを,そうとは気づかないうちに,手放してしまったような気がした。(p. 87)

地元を離れた人,地元に留まる人,それぞれに思いがある。それらを完全に分かり合うことは難しい。離れて初めて気づく喪失感もある。

就活は現代の通過儀礼である

就活とはきっと,形を変えて現代日本に現れた新たな通過儀礼の形なのだ。自分と社会の間にある溝を,ここで飛び越えなければならないのだ。そのために,初めて未熟は自分と真正面から向き合ったり,触れたことのない世界に生きる人と知り合ったり,夢を諦めなければならなかったりするのだろう。

今まで自分が何をしてきたか,を分析することにより,これから自分が何をしたいのか,を見つける。自分という人間が,社会という大きな舞台の上でどのように機能するのか。今までずっと何かに守られて生きてきた僕らに,就活は,はじめて現実を叩きつけてくれる。(p. 174)

就活という儀式を経て,人は社会人になる。人手不足が叫ばれる昨今,就活は売り手市場となり,生半可な社会人が生まれているという話も聞く。通過儀礼の重みが薄れつつあるのかもしれない。

本は宇宙であり,書くことは宿命である

本は,幼いころの私にとって,宇宙みたいなものだった。表紙を開くと,私をどこへでも連れていってくれる。ずらりと並んだ文字は暗号のようで,一文字ずつ解読していくことが楽しくて仕方がなかった。子ども心ながらに感じていた,この世界への不安,生きていくことへの揺らぎのようなものが,本の中のある一行によってぴったりと書き表されているようなとき,私は,自分はひとではないのだと思えた。(p. 201)

本のことを宇宙と感じた人が,本を書く側に回ったのは宿命であるように思える。言葉に救われた人は,言葉で誰かを救いたくなるのだろう。

自分の文章に酔うという喜び

それを続けた三年後,私は,読書感想文で賞をもらった。特選だった。トクセン,トクセン,と,黒毛和牛にでもなった気でいた私に,当時の国語の先生はこう言った。

「自分の文章に,ちょっと酔ってない?」

あっ,酔ってる。

私はそのとき,はっきりと自覚した。そして,ぐらぐらと全身を揺らすようにしてその酔いを楽しんでいる自分を,とても誇らしく思ったのだ。酔えるくらい,好きになれるものに出会ってしまった。それがとても嬉しかった。(p. 203)

自分の文章に酔えるというのは,それだけ自分の表現を自分のものにできている証拠である。没頭できる対象を持つことは幸福である。

人生ゲームに「あがり」はない

「あがり」なんて,どこにもない。どんなマスに止まることになろうと,もうそこに数字なんて書かれていないように見えても,私はルーレットを回し続けなければならない。(p. 210)

人生ゲームは死ぬまで続いていく。どこかで終わりが来るわけではなく,常に次の一手を選び続けるしかない。

「男の子の日」というユーモア

そして,初めて「多い日は,不安で眠れない」とテレビ CM で嘆く美女の気持ちがわかった気がしたことも私にとっては大きかった。確かに CM の言うとおり,突然立ち上がるのも,薄い生地のパンツを穿くことも怖いし,よもや温泉なんて絶対に入れない。あのときもし体育があったら,私は三角座りで周りの目線を気にしつつ,大人しく見学していただろう。だって,男の子の日だったのだから。(p. 216)

「男の子の日」というユーモアに強く感動した。視点をずらすことで,日常の出来事が新しい意味を持つ。

系統用蓄電池の電力市場を活用したビジネスモデルとは?

『系統用蓄電池の電力市場を活用したビジネスモデルとは?』(オータニ_ショートニュース)を読了した。

系統用蓄電池の基本的なビジネスモデル

系統用蓄電池を所有している企業は,安い時に市場から電気を購入し,蓄電池に溜めておく。そして電気が高く売れるときに溜めた電気を販売する。その差額が儲けになる。(p. 4)

太陽光発電により電気が余るほど多くなれば電気は安くなり,逆に電気が不足するほど高くなる。電力価格は時間オーダーで変動するという点が興味深い。

小売電気事業者と発電事業者の二面性

「小売電気事業者の立場で」電力単価が安い時に電気をスポット市場で買って,蓄電池に溜めておき,「発電事業者の立場で」電力単価が高い時に,溜めておいた電気をスポット市場で売るということになる。(p. 11)

系統用蓄電池は,小売電気事業者であり,かつ発電事業者でもあるという二面性を持つ。この構造が,蓄電池ビジネスの収益モデルを支えている。

GitLab に学ぶ パフォーマンスを最大化させるドキュメンテーション技術

『GitLab に学ぶ パフォーマンスを最大化させるドキュメンテーション技術 数千ページにもわたるハンドブックを活用したテキストコミュニケーションの作法』(千田和央,翔泳社,2024年12月9日)を読了した。

8th-grade レベルで書くという指針

Gitlab はこの調査*1を参考にして,8th-grade(中学 2 年生レベル)の読解力を想定して,ドキュメントを作成するという指針を示しています。(位置 No. 299)

中学 2 年生でも理解できるようなドキュメント作成を心がけたいと感じた。専門性が高い内容であっても,読み手の負荷を下げる工夫は欠かせない。

SSoT : 信頼できる唯一の情報源をつくる

GitLab では公式情報はハンドブックのみに集約するというルールを定めています。この手法は情報システム設計の用語で「信頼できる唯一の情報源 (SSoT : Single Source of Truth)」と呼ばれています。(位置 No. 507)

情報をあちこちに散在させるのではなく,唯一の場所に信頼できる情報を集約することが重要である。情報の一貫性を保つためにも,SSoT の考え方は積極的に取り入れたい。

かすれた鉛筆は鮮明な記憶に勝る

GitLab がドキュメントに対して掲げている標語が「かすれた鉛筆は鮮明な記憶に勝る (The faintest Pencil is better than the sharpest memory)」です。私たち人間という種族がこれだけ繁栄できたのは,「文字」の発明が大きな役割を果たしています。(位置 No. 590)

文字にすることで,多くの人に伝えることができる。記録は記憶に勝るという原則は,ドキュメント文化の根幹であると改めて感じた。

Google のテクニカルライティングが示す姿勢

Google テクニカルライティングコースは,Google が開発者向けに提供している学習コンテンツのうちのひとつです。Google は,「すべての開発者はライターである」という考えのもと,良い技術ドキュメントを作成するためのノウハウを提供しています。(位置 No. 1790)

ドキュメントなしには,他者と協働することはできない。開発者であってもライターであるという姿勢は,あらゆる職種に通じる普遍的な考え方である。

「すべてが製作途中だと理解する」という姿勢

「すべてが製作途中だと理解する」は,ドキュメントやあらゆる成果物は製作途中の下書きであり,変更される可能性があり続けるという前提に立つという行動原則です。この行動原則があることで「完璧になるまで公開しづらい」というプレッシャーに抗うこともできますし,他の人が理解できていない文脈が存在しているかもしれないという前提に立ち続けることで,新しい視点から改善の可能性が見つかるかもしれません。(位置 No. 2079)

ドキュメントや成果物は公開して,多くの人に触れられるようにすることで,意見をもらうことができる。その意見を踏まえて,ドキュメントや成果物はさらに磨かれる。完璧を求めて公開を遅らせるよりも,まずは世に出すことが重要である。

*1:アメリカの成人の 50 % は 8th-grade(日本の中学 2 年生レベル)の読解力であるという調査。

「雷過電圧解析・開閉過電圧解析の概要と解析例」の検索パフォーマンス(2025 年版)

2025 年における「雷過電圧解析・開閉過電圧解析の概要と解析例」の検索パフォーマンスを分析した。

分析に用いたデータは,Google Search Console より取得したものである。

king-masashi.hatenablog.com

1. 検索パフォーマンスの概要

2025 年のクリック数は前年比 △32.41 %,表示回数は +0.16 % であった。

表示回数は横ばいで推移したが,クリック数の減少により CTR が低下した。

表 検索パフォーマンス
クリック数 表示回数 CTR
2020 8830 129973 6.79
2021 12536 230924 5.43
2022 15074 364156 4.14
2023 11321 313353 3.61
2024 5983 119965 4.99
2025 4044 120158 3.37

2. 時系列データの分析

2020年1月1日から2025年12月31日まで 6 年間のクリック数,表示回数,CTR,掲載順位の時系列データを示す。

いずれの時系列データにおいても,Google Search Console より取得した日次データは青線,7 日移動平均 moving average (7 days) は赤線,28 日移動平均 moving average (28 days) は緑線で示す。

2-1. クリック数の推移

クリック数は 2023 年以降,緩やかな減少傾向が続いている。

図 クリック数の推移

図 クリック数の推移

2-2. 表示回数の推移

2022 年末に表示回数が 2500 回を超えて以降,緩やかに減少していたが,2025 年は横ばいであった。

図 表示回数の推移

図 表示回数の推移

2-3. CTR の推移

CTR は他ページと比較して高い傾向にあるが,2025 年以降は緩やかに低下している。

図 CTR の推移

図 CTR の推移

2-4. 掲載順位の推移

2025 年 10 月以降,掲載順位が上昇し 10 位以内に定着している。head 内のリファクタリングによる SEO 効果が表れたものと考えられる。

図 掲載順位の推移

図 掲載順位の推移

3. ページの分析

3-1. クリック数のパレート図

クリック数の上位 5 ページで,全クリック数の約 8 割を占めている。

図 クリック数のパレート図

図 クリック数のパレート図

3-2. クリック数ランキング

クリック数が多いページのランキングを示す。

3-3. 表示回数のパレート図

表示回数も上位 5 ページで全体の約 8 割を占めている。

図 表示回数のパレート図

図 表示回数のパレート図

3-4. クリック数と表示回数との関係

クリック数と表示回数の相関係数は 0.833 であり,強い相関が認められる。

図 クリック数と表示回数との関係

図 クリック数と表示回数との関係

4. クエリの分析

ページの CTR を横軸,掲載順位を縦軸とし,クリック数や表示回数をバブルの大きさで示したバブルチャートを用いて分析した。クリック数が上位のクエリにはデータラベルを付与している。

4-1. クリック数のバブルチャート

開閉サージ,瞬時値 計算ツールなど,専門性の高いクエリが多い。

図 クリック数のバブルチャート

図 クリック数のバブルチャート

4-2. 表示回数のバブルチャート

表示回数においても,開閉サージやサージインピーダンスなど専門的なクエリが目立つ。

図 表示回数のパレート図

図 表示回数のパレート図

5. デバイスの分析

5-1. クリックに用いられたデバイス

クリックに用いられたデバイスの 59.7 % は PC である。前年の 48.1 % から増加し,モバイルのシェアは減少した。

図 クリックに用いられたデバイス

図 クリックに用いられたデバイス

5-2. 表示に用いられたデバイス

表示に用いられたデバイスの 52.6 % はモバイルであり,前年の 54.6 % とほぼ同水準である。

図 表示に用いられたデバイス

図 表示に用いられたデバイス

6. まとめと今後の方針

2025 年の検索パフォーマンスは,表示回数が横ばいで推移した一方,クリック数が大きく減少したことで CTR が低下した。

特に 2023 年以降のクリック数減少が顕著であり,検索需要そのものよりも,ユーザーのクリック行動や競合ページの変化が影響していると考えられる。

また,掲載順位は 2025 年 10 月以降に改善が見られ,head 内のリファクタリングが一定の効果を示したと評価できる。

ページ別の分析では,ごく少数のページが全体の大部分のクリック数・表示回数を占めており,専門性の高いクエリに対して強い検索流入があることが確認できた。

クエリ分析においても,開閉サージやサージインピーダンスなど,電力系統の過渡現象に関する専門的な検索意図が中心であった。

バイス別では PC の利用割合が増加しており,技術系コンテンツの特性上,デスクトップ環境での閲覧が強まっていると推察される。

今後の方針としては,以下の取り組みが有効であると考えられる。

  • 専門性の高い主要ページに対して,構造化データや内部リンクの最適化を進め,CTR の改善を図る。
  • 検索需要が高いクエリ(開閉サージ,瞬時値 計算ツールなど)に関連する補助記事や解説記事を追加し,関連トピックの網羅性を高める。
  • PC ユーザーの増加を踏まえ,表・図・コードブロックなどの可読性を向上させ,技術資料としての UX を強化する。
  • 掲載順位が改善した 2025 年後半の施策を継続しつつ,タイトル・メタディスクリプションの改善によりクリック率の向上を目指す。
  • 長期的には,過渡現象解析の基礎から応用までを体系的に整理し,検索意図に応じた導線設計を行うことで,サイト全体の E-E-A-T を強化する。

これらの施策を継続的に実施することで,検索パフォーマンスの改善と読者体験の向上が期待できる。

7. 更新履歴

  • 2026年1月24日 新規作成