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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

フリー <無料>からお金を生みだす新戦略

フリー<無料>は大好きだ。フリー<無料>の裏の戦略を知るため『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』(クリス・アンダーソン*1日本放送出版協会,2009年11月25日)を読んでみた。

<無料経済> [freeconomics] を誕生させたのは,デジタル時代のテクノロジーの進歩だ。<ムーアの法則>が言うとおり,情報処理能力のコストは 2 年ごとに半分になり,通信帯域幅と記憶容量のコストはそれ以上のペースで下がっている。インターネットはその三つから成り立っているので,コストは相乗効果で低下する。その結果,オンラインの世界における正味のデフレ率は年 50 パーセント近くになる。それはつまり,現在のユーチューブの動画配信にかかる費用が,1 年後には半分になっていることを意味する。オンラインビジネスのコストはゼロに向かっているので,それが実現しても不思議ではない。(23 ページ)

オンラインの世界ではデフレが続いている。現実世界だけでなく,オンラインの世界を上手く活用しよう。

米と小麦を主食とする社会は農耕社会で,内側へ向く文化になりやすい。おそらく米と小麦を育てる過程で彼らはかなりのエネルギーをとられてしまうからだ。一方,マヤやアステカなどトウモロコシを主食とする文化は,時間とエネルギーが余っていたので,よく近隣の部族を攻撃したという。この分析によれば,アステカ人を好戦的にしたのは潤沢なトウモロコシだったのだ。(65 ページ)

米を主食とする日本は農耕社会であるから,内側へ向く文化になりやすいのか。

タダで手に入れたものにはあまり注意を払わないから,大切にしないのだ。フリーは暴飲暴食やとりすぎ,考えなしの消費,ムダ,罪悪感,貪欲さを推奨する。それほどほしくなくても,タダのものがそこにあるだけで,つい手を伸ばしてしまう。そのときに,ほんのわずかな金額でも請求すれば,はるかに責任のある行動をもたらすはずだ。(90 - 91 ページ)

「大盛りは無料です」を断ることができない理由か。お金を払ってでも無料にするのか,と自分に問いかけてみる。

技術者の仕事はどんなテクノロジーがためになるかを決めることではない,とケイ*2はわかっていた。テクノロジーを安く,使いやすくし,誰もが使えるようにユビキタスなものにして世界中に普及させ,あらゆる場所に届けることだ。それをどう使うかはユーザーが決めればいい。一人ひとりが異なるニーズや発想や知識や世界とのかかわり方を持っているからだ。(117 ページ)

パソコンやスマートフォンは,開発者の想像を超えた使われ方をしているに違いない。

19 世紀はじめに活躍したフランスの経済学者ジャン・バティスト・セーの名をとった<セーの法則>は,「供給はそれに等しい需要をつくる」と言っている。言いかえると,トランジスタの数を 100 万倍にした集積回路を開発すれば,世界がその使い道を見つけてくれるのだ。(124 ページ)

コンピュータの性能が上がれば,世界がその使い道を見つけてくれる。昨今の ChatGPT もその例か。

ハッカー倫理」七カ条*3(125 ページ)

  1. コンピュータへのアクセス及びその使い方を教えるあらゆるものは,無制限かつ全面的でなければならない。
  2. 常に実践的な命令に従うこと。
  3. すべての情報はフリーになるべきだ。
  4. 権威を信じるな――非中央集権を進めよう。
  5. ハッカーはその身分や年齢,人種,地位などインチキな基準ではなく,そのハッキング能力によって評価されるべきだ。
  6. コンピュータで芸術や美をつくり出すことは可能だ。
  7. コンピュータはわれわれの生活をよいほうに変えられる。

ハッカー倫理」七カ条は,DX リーダーに持ってほしい倫理である。

フリーへ移行する 6 つの理由*4(188 ページ)

  1. 供給と需要
  2. 物質的形状の消滅
  3. 入手しやすさ
  4. 広告収入で運営するコンテンツへの移行
  5. コンピュータ業界はコンテンツを無料にしたがっている
  6. フリー世代

フリーであることを当たり前だと思っているフリー世代が,これから世の中の主役になっていく。フリーへの移行は加速するか。

インターネットとは,民主化された生産ツール(コンピュータ)と民主化された流通ツール(ネットワーク)が合体したもので,ベルトラン*5が頭の中だけで考えた現象を実現した。そう,真の競争市場である。

インターネットは民主的であるのは理想か,現実か。

啓発された利己主義こそ,人間のもっとも強い力なのだ。人々が無償で何かをするのはほとんどの場合,自分の中に理由があるからだ。それは楽しいからであり,何かを言いたいから,注目を集めたいから,自分の考えを広めたいからであり,ほかにも無数の個人的理由がある。(250 ページ)

私が無償でホームページやブログをやっているのは,自分の考えや知識を整理して,他の誰かに共有したいからである。私の動機は啓発された利己主義なのか。

無料のルール――潤沢さに根差した思考法の 10 原則(322 ページ)

  1. デジタルのものは,遅かれ早かれ無料になる
  2. アトムも無料になりたがるが,力強い足取りではない
  3. フリーは止まらない
  4. フリーからもお金儲けはできる
  5. 市場を再評価する
  6. ゼロにする
  7. 遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
  8. ムダを受け入れよう
  9. フリーは別のものの価値を高める
  10. 稀少なものではなく,潤沢なものを管理しよう

無料のルールを認識したうえで生きていく。

*1:ロングテール理論の名付け親。

*2:1970 年代にゼロックス社のパロアルト研究所で働いていたアラン・ケイ

*3:出典は『ハッカーズ』(1984年,スティーヴン・レヴィ)

*4:出典は,ロサンジェルスで芸能関係の弁護士をしている元コンピュータ科学者のジョナサン・ハンデル

*5:フランスの数学者ジョセフ・ベルトラン