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もう「東大話法」にはだまされない 「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く

『もう「東大話法」にはだまされない 「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く』(安冨歩講談社,2012年11月1日)を読了。

孔子の時代に中国には衛という国がありました。そこに着いて弟子の子路が「もし衛の君主が先生に政治を任せたら,まず何をしますか」と質問したのに対して,孔子はこんなことを言っています。

「必ずや,名を正す」

つまり,正しい言葉遣いをするということです。政治が乱れ,民を虐げるような非道な行為が行われている時,欺瞞に満ちた言葉が蔓延するというのは,いつの時代も変わりません。このような事態を変えるためには,まず言葉遣いから正すことが必要だというのです。(23 ページ)

欺瞞に満ちた言葉が蔓延するから,政治が乱れるのか。(言葉遣いを正せば,政治は乱れないの。)

それとも,政治が乱れているから,欺瞞に満ちた言葉が蔓延するのか。

東大の中で過ごしていると,一般社会とはかなりかけ離れた「独特の文化」があることに気づきます。ありていに言ってしまうと,「この人たち,ちょっとおかしいな」と思うことが多いのです。そこで研究をしてみると,東大全体に以下のような「東大文化」が蔓延しているのではないかと考えるようになりました。(41 ページ)

  1. 徹底的な不誠実さ
  2. 抜群のバランス感覚
  3. 高速事務処理能力

私の身近にいる東大院卒の人の高速事務処理能力には,目を見張るものがある。

あまりにも大きな悪事の場合,多くの人が関わっているがために,個人としては,あたかも何ら,悪事を犯していない意識でいられるというような状況になってしまう。これを私は「悪事の微分化」と呼んでいます。(46 ページ)

あまりにも大きな悪事は個人が背負うものではないのだから,仕方がないのでは。

立場三原則(59 ページ)

  1. 役を果たすためには,なんでもやらなくてはいけない
  2. 立場を守るためには何をしてもいい
  3. 人の立場を侵害してはいけない

「立場が変われば人が変わる」とはよく言ったものだ。

人は信念ではなく,役を果たしているに過ぎない。

コンピュータ・ネットワークを前提として組織を作ると,大量の「立場」が失われてしまうからです。つまり,なんとも皮肉な話ですが,日本人は「立場」によって,技術大国に成長しておきながら,「立場」のせいで,自分たちが生み出した技術をつかいこなせないでいるのです。(76 ページ)

コンピュータ・ネットワークを前提とした組織にトランスフォームすることで,立場でしか生きられない人を一掃する。

この「議論が足りない」という言葉は,政治家が好んでよく使い,なるべく決めたくないことを「議論が足りない」とか「そこまで議論が煮詰まっていない」などと言い訳をして,のらりくらりとやっているうちに塩漬けにしてしまうのです。会議とはそもそも何かしらの結論を出すという目的で議論をおこなうはずなのですが,いつの間にか議論そのものが目的にすり替えられているのです。(106 ページ)

「議論が足りない」「そこまで議論が煮詰まっていない」というのは,結論を避けているようにしか思えない。