『オブジェクト指向 UI デザイン――使いやすいソフトウェアの原理』(ソシオメディア株式会社,上野 学,藤井 幸多,技術評論社,2020年6月18日)を読了。
オブジェクト指向 UI の原則(p. 11)
- オブジェクトを知覚でき直接的に働きかけられる
- オブジェクトは自身の性質と状態を体現する
- オブジェクトの選択 → アクションの選択の操作順序
- すべてのオブジェクトが互いに協調しながら UI を構成する
UI を考えるときは,オブジェクト指向で考えよう。
既存業務のネイチャーに合わせてシステムを作るのではなく,デジタルのネイチャーに合わせて業務を作るということ。仕事がソフトウェアを作るのではなく,ソフトウェアが仕事を作るのだと考えること。
このような発想はデジタルトランスフォーメーションと呼ばれ,企業や社会がテクノロジーを本質的に利用することによりこれまでの事業の在り方が根底から変化しはじめていると言われています。オブジェクト指向 UI の実践は,そのように,人々が仕事というものを新しく捉え直す大きなきっかけになるのではないかと思います。(pp. 30 - 31)
デジタルのネイチャーに合わせて業務を作る,という感覚を持つ。
優れた実践者が共通して言うのは,制作の非プロセス性です。それは線形でも円形でもなく,帰納的でも演繹的でもありません。少なくとも意識の上では一気に「形」に到達するのです。原因から結果を段階的に導くのではなく,結果から原因への逆推論を高速に走らせるのです。私はこの道筋を「アブダクションライン」と呼んでいます。(p. 47)
アブダクションラインを走ってみよう。
まずおさらいですが,タスク志向の UI にはいくつかの共通点があります。これらの条件にあてはまるアプリケーションは,オブジェクト指向の UI に変更することで大きく操作性を改善できるのです。(p. 207)
- ナビゲーションやメニューの大項目が「やること」になっている
- 「やること」を選んだ後の画面遷移が,線形的な一本道になっている
- 途中で「やること」を変えたい場合は最初に戻ってやり直す必要がある
- 「やること」同士の間で同じような画面や操作が重複して現れる
- システムの全体像を把握しにくく,操作が間接的/暗黙的で,今何をしているのかわかりづらい
会社で使用している業務システムの多くは,タスク志向の UI になっている。
タスク志向の業務アプリケーションによくあることとして,タスク同士では,似たような検索や一覧が登場します。ユーザーは今自分が何のタスクにいるのか(どの入口から入ってきたのか)を意識しながら,対象物の選択と確定を行うことになります。このようなモーダルな流れでは,ユーザーは仕事の対象自体ではなく,強要された手続きの方に注意を払う必要があるため,ストレスフルなものになります。(p. 251)
アプリケーションを使うユーザが,どのようなことにストレスを感じるか,想像してみる。