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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

プロジェクト X 挑戦者たち 曙光 激闘の果てに 黒四ダム 1 千万人の激闘

『プロジェクト X 挑戦者たち 曙光 激闘の果てに 黒四ダム 1 千万人の激闘』(NHK プロジェクト X 制作班 編,日本放送協会,2005年12月25日)を読了。

「黒部」という名の由来には諸説あるが,アイヌ語で「魔の川」を表す「クルベツ」が語源になっているとする説もある。有史以来,黒部川の上流域は人間の手出しを許さぬ人類未踏の地だった。(p. 4)

人類未踏の地「立山黒部」は世界ブランド化が推進されている。

関西電力本社内では,破砕帯に遭遇したトンネルを諦め,ルートを変更してはどうかという意見も浮上していた。判断を下す立場にある太田垣*1は,トンネルの掘削状況を直々に視察に来たのだった。

「これ以上,奥へ行かれては危険です」

薄暗い坑道の中で,太田垣を取り巻いていた関西電力熊谷組の社員たちは,何度も忠告した。だが,太田垣は立ち止まろうともせず,確かな足どりのままでこう言い返した。

「その危険な場所で,作業員たちは働いているじゃないか。しかも,仕事を命じたのは私だ。その私が遠くから見ていてどうする。さあ,案内してくれ」(p. 28)

現場を視察して初めてわかることは多い。

ダムの本体工事を指揮した中村精。ダムの完成後も,黒部の谷を何度も訪れた。来るたびに,真っ先に向かうのは,慰霊碑だった。電力供給のため,黒部の地では 171 人が亡くなった。《尊きみはしらに捧ぐ》と書かれた慰霊碑には,殉職した人々の名前が刻まれている。(p. 78)

尊きみはしらがあったからこそ,今日の電力供給がある。

*1:プロジェクトの最高責任者,関西電力社長の太田垣士郎