king-masashiの備忘録

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池井戸潤『果つる底なき』

池井戸潤の『果つる底なき』(講談社文庫)を読了しました。1998年が初出で,第44回江戸川乱歩賞受賞作です。1998年というと金融不祥事がクローズアップされた年であり,元銀行員の大型新人が都市銀行の内幕を描き切った作品という話題性もあり,「週刊文春」の傑作ミステリーベスト10で第八位に選ばれたそうです。今をときめく池井戸氏のデビュー作というわけです。

果つる底なき (講談社文庫)

果つる底なき (講談社文庫)

 

本作では都市銀行である二都銀行の派閥争い,半導体の景気サイクルを牛耳ろうとする男の曲がった野望,純粋に技術を追い求めた男の悲哀,父親の会社の不渡りにより大学院を辞めざるを得なくなった少女の挫折と立ち直り,など多岐に渡り,エッセンスが散りばめられており,非常に面白い小説です。

主人公である伊木は,池井戸氏ののちの作品の主人公・半沢とはまた一味違う銀行員で,それも楽しみの一つです。派閥争いに関する伊木の思いは次の通りです。

二都銀行の派閥は学閥が軸になっている。それが激しく鍔迫り合いし,政治的な動きがときにビジネスに先行する。彼らは同じ大学を出ていれば同胞と思いこむ単純なところがあるが,私は同じ大学でも気に入らない奴とは組みたいと思わない。

私の会社にも学閥があるとかないとか言われております。確かに同じ大学を出ていれば,同胞と思い込んでしまう面もあるかと思います。まあ,完全に学閥が軸になっているということはないことが救いでしょうか。