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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

終戦のローレライIII

福井晴敏の「終戦のローレライIII」(講談社文庫)を読了しました。

終戦のローレライ(3) (講談社文庫)

終戦のローレライ(3) (講談社文庫)

 

裏表紙に括目の第3巻とあるとおり,まさに括目の内容です。本書の第四章ではキーワードとして出てくる“あるべき終戦の形”が示されます。それは一言で言えば,“国家の切腹”であります。そのために,第三の原子力爆弾を東京へ落とし,旧弊を全て一掃してしまおうという驚愕の企てを目論むものです。しかし,それは書生論,暴力を伴う危険な空論として,《伊507》はそれを防ぐべく行動を起こす,と宣言するところで次巻へと続いていきます。

ものすごく深いテーマです。いずれの言い分にも一理があり,どちらが正しいのかを判断することは非常に難しいです。ただ,そんな中,戦利潜水艦《伊507》乗務員である折笠征人上等工作兵(17歳)が放つ言葉が心に響き渡ります。

あんたたち大人が始めたくだらない戦争で,これ以上人が死ぬのはまっぴらだ……!

最終的には,一人の若者の放つ思いが全てなのでしょう。いくら論理を展開したところで,本能的な思いに勝るものはありません。私も論理に没頭して,詭弁を発することがままあります。そんなときは本能に立ち返ることも大切なのだと思い知らされました。

近頃は憲法解釈の問題を巡り,様々な議論が展開されております。命と平和の尊さを第一に考え,あるべき憲法の解釈,あるいは憲法の改正について考えていかねばならぬと思いを新たにした次第であります。