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データで読み解く地球温暖化の科学

『データで読み解く地球温暖化の科学』(キャノングローバル戦略研究所 堅田元喜)を読了した。

極値統計学とは何か

極値統計学とは,気象要素などの年最大値データを用いて,これまでに経験した現象やそれらを超える規模の減少がどのくらいの頻度(再現期間)で発生するかを統計的手法により合理的に推定するものである。(位置 No. 1432)

近年は気象観測のデータが豊富に取得できるようになっており,統計的手法の適用が可能になってきたと考えられる。

極値統計学の限界と不確実性

現在の極値統計学の理論の不確実性(位置 No. 1465)

  1. データが有限であることによるデータそのものの確率変動。降水量や土砂災害の極値統計解析に使用される過去のデータは数十年程度であることが多く,それを超える期間(例えば,100 年)の再現期間に対しては信頼性は低い。
  2. 大雨の例でいえば,「日ごとの降水イベントは独立である」という極値理論の前提は成り立たない場合が多い。
  3. 「気候状態は定常である」という極値理論の前提は成り立たない場合が多く,実際には年々あるいは長期的に変動しうる。例えば,偏西風やモンスーン,ブロッキング高気圧などの自然の気象現象や,地球温暖化ヒートアイランドに伴う気温上昇など。

したがって,極値統計学の理論は気象の未来を完全に予測できるものではない。

合成肥料がもたらした自然への恩恵

実際には,ハーバー・ボッシュ法の普及は自然生態系にとっては「恩恵」である。合成肥料が誕生したおかげで作物の生産力が向上し,農業のための土地開発は必要なくなった。(位置 No. 2407)

食糧不足の解消には,この技術の貢献が大きい。

農業生産を左右するのは人間社会の動き

実際にコマツナを例に過去に起きた出来事を振り返ってみると,農業生産の指標となる収穫量の変動を左右した主要因は農政(野菜の価格不安定)・技術革新(品種改良など)・市街化(農地現象)などの「人間社会の動き」であった。(位置 No. 3598)

昨今のコメの価格変動も,自然環境よりも人間社会の影響が大きいと考えられる。

地球温暖化は「厄介な問題」である

地球温暖化(あるいは気候変動)問題は,「煩雑な問題 (Complicated problem)」を超えた「複雑な問題 (Complex problem)」あるいは「厄介な問題 (Wicked problem)」である。(位置 No. 3945)

このような性質を持つ問題に対しては,単純な解決策では対応できないことを認識しておく必要がある。

順応的管理と PDCA サイクル

順応的管理では,まず栄養塩類や生物に関する指標の目標値を設定し,それらの定期的な観測(モニタリング)を並行しつつ排水の調整を進め,その結果に基づいて検証・学習し,随時手法の変更を加えて新しい目標を設定していくことになる。(位置 No. 4040)

これはまさに PDCA サイクルを回すことに相当する。