日本経済新聞社・日経BPによる『第4の革命 カーボンゼロ』(2023年9月25日)を読了した。
本書は、カーボンゼロを巡る技術革新と地政学的変化、そして企業や国家の対応を多角的に描いている。以下に印象的な論点を整理する。
- GX(グリーントランスフォーメーション)という新たな潮流
- ESG 投資が企業を選別する時代
- 太陽光発電の制度的課題と送電網の壁
- 水素の世紀は訪れるのか
- EU の規制が世界を動かす『ブリュッセル・エフェクト』
- 石油が支配した 20 世紀の地政学
- シェール革命がもたらした米国の変化
GX(グリーントランスフォーメーション)という新たな潮流
NTT に限らず,大企業がこぞってデジタルトランスフォーメーション (DX) ならぬ「グリーントランスフォーメーション (GX)」に動き始めた。日経平均株価の構成銘柄(225 社)のうち少なくとも 39 社が温暖化ガス排出ゼロの目標を設定した。(11 ページ)
グリーントランスフォーメーションの観点でも,銘柄を選ぼう。
ESG 投資が企業を選別する時代
世界のマネーがカーボンゼロを先取りする。環境対応を重視する ESG(環境・社会・企業統治)投資は約 30.7 兆ドル(約 3,200 兆円)と投資全体の 3 分の 1 になった。気候変動の対策に真剣なのかどうか,マネーが企業を選別する。(33 ページ)
各企業が取り組む気候変動の対策に注目しよう。
太陽光発電の制度的課題と送電網の壁
再生エネの適地が少ない事情はあるが,未稼働の太陽光設備も見逃せない。制度設計が甘く,発電事業者は買い取り価格が高いときに政府の認定だけ受け,太陽光パネルの値下がりを待って稼働を遅らせた。送電網の運用が電力会社から独立しておらず,太陽光や風力の電気が流れにくい問題も解消されていない。(51 ページ)
制度や送電網の運用は,徐々に改善されつつある。
水素の世紀は訪れるのか
1910 年代,のちに英国の首相となるチャーチルは英海軍の燃料を他国に先駆けて石炭から石油に切り替えると決断。軍艦の速度と航続距離を伸ばし,英国は第1次世界大戦で戦勝国の一つとなった。
チャーチルが「石油の世紀」の扉を開けて果実を手にしたように,どの国や企業が「水素の世紀」を開くのか。激しい技術開発競争の先に宝の山が眠っている。(102 ページ)
水素の世紀は,本当に訪れるのか懐疑的に見ている。
EU の規制が世界を動かす『ブリュッセル・エフェクト』
ブリュッセル・エフェクト(効果)」――。ベルギーの首都ブリュッセルに本部を構える EU が域内の規制を利用して,世界を有利に動かそうとする政治手法を,米コロンビア大のアヌ・ブラッドフォード教授は同名の著書でこう呼んだ。(160 ページ)
ブリュッセル・エフェクトに翻弄されないよう,注意しよう。
石油が支配した 20 世紀の地政学
「石油の世紀」と呼ばれた 20 世紀は政治家や企業が石油獲得を求めエネルギーを注ぎ込んだ。屈指の油田が広がる中東では歴代の米国大統領が地域の和平への関与と引き換えに,自国の石油資本が権益を拡大する素地をつくった。産油国側も緊張を抱えながら米国との関係を受け入れてきた。(167 ページ)
石油の視点で 20 世紀を見る。
シェール革命がもたらした米国の変化
米国はシェール革命で原油の輸入国から輸出国に転じ,アフガニスタンから軍を撤収。米大統領が中東の和平に深く関与した時代は終わった。一方,西側諸国がロシア産原油の禁輸に動くなか,サウジや UAE は米欧から請われても増産しない。米欧と産油国のドライな関係は世界の原油相場を揺さぶる。(180 ページ)
米国のシェール革命により,米国と中東との関係が大きく変わった。
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