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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

日立の壁 現場力で「大企業病」に立ち向かい,世界に打って出た改革の記録

『日立の壁 現場力で「大企業病」に立ち向かい,世界に打って出た改革の記録』(東原敏昭,東洋経済新報社,2023年4月6日)を読了。

日立が経営危機に陥った遠因は「大企業病」にあったと思います。大企業的体質にはいろいろな側面があり,話し出せばきりがありませんが,たとえば,保守的で改革を好まず先延ばしにする事なかれ主義,失点の少ない人が出世しやすい官僚的体質,自分が担当する事業部門で赤字を出しても他部門が助けてくれるという甘えの構造などです。(12 ページ)

私が勤めている会社は,大企業病を患っていないか。

  • 保守的で改革を好まず先延ばしにする事なかれ主義
  • 失点の少ない人が出世しやすい官僚的体質
  • 自分が担当する事業部門で赤字を出しても他部門が助けてくれるという甘えの構造

大企業病の症状は,いずれも当てはまる。

人が天から与えられた能力を自覚するのが「知命」で,それを存分に発揮するのが「立命」。この 2 つを懸命に実践していけば,受け身の「宿命」を自分で切り開く「運命」に変えることができる。(22 ページ)

知命立命,宿命,運命の関係を知っておく。

たとえば「言い訳文化」です。赤字を出しても,赤字になった理由をうまく説明したらそれで終わり。上手に説明するけれど,自分が最後まで責任を取って黒字化しようじゃないかという気概のある人は,残念ながらまれです。(30 ページ)

言い訳をしても何も生まれない。同じような過ちを繰り返すだけだ。

カンパニー制にはもう 1 つ,別の課題も見えてきていました。各カンパニーは独立した法人とみなし,責任と権限を明確にしています。その裏返しとして,サイロ化しやすいのです。分厚いレンガで囲われていて中が見えない。まさに「壁」です。アウトプット(業績)はわかっても,その中身まではよく見えません。どこに問題があって目標が達成できなかったのか,その原因がわからなければ,対処法も解決策も考えられません。(45 ページ)

カンパニー制には,メリットもデメリットもある。

大改革を断行するときは,説明より結果が大事なときがあるのではないでしょうか。結果を出す前にあれこれ説明しても,疑心暗鬼が募るだけです。それより,結果を出して,「みなさんの努力で業績もよくなった,ボーナスもたくさん出せました」と説明したほうがだんぜん理解しやすいと考えだのです。(53 ページ)

新しい業務システムで改革を断行しているが,結果を出して理解してもらおう。

契約を節目節目で見直す,最悪の場合を想定して撤退条件を入れる,などのビジネスとして成立させるというマインドに欠けていたように私は思います。赤字であっても「環境問題に貢献しているのだから」「社会に貢献しているのだから」と逃げ道を作ってはいなかったでしょうか。(63 ページ)

成功することが確実なことに取り組んでいないのだから,撤退する条件もあらかじめ考えておく。そうしなければ,死の行軍は終わらない。

ミッションとバリューは不変ですが,ビジョンは時代とともに変わっていくものです。社会イノベーション事業で世界に貢献することをめざしている今のビジョンは,「日立は,社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって,活気あふれる世界をめざします」です。(190 ページ)

ミッションとバリューは変えず,時代とともにビジョンを変えていく。