Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

死にゆく者の祈り

『死にゆく者の祈り』(中山七里,新潮社,2022年4月1日)を読了。

薬事法改正の絡みなんですよ。少し前までクスリ漬け医療で医療機関が利益を貪っていたところに,当時の厚生省がメスを入れた。薬価を改定してクスリでは利益が出ないようにした上で,病院内で調剤するよりも院外処方箋を発行する価格を数倍高く設定して,利益誘導したんです。だから実質上は病院の一部門であるのも拘わらず,あんな風に他人の顔をして営業している」(p. 159)

利益を貪る医療業界とは,距離をおきたい。

全ての職業に必要なものは謙虚さなのではないかと,最近よく思う。職務上の失敗は,そのほとんどが過信と盲従に根差している。驕り昂ぶり,上からの指示命令に欠片も疑問に抱こうとしない。そういう姿勢が数々の誤謬を生み出しているのではないか。常に組織を疑い,己の未熟さと向き合うことが必要ではないのか。(p. 173)

謙虚に生きていれば,職務上の失敗を減らすことができる。

『捜査能力とか尋問の仕方とかにですか。それは顕真さん,ないものねだりというヤツですよ。第一,お坊さんにシャーロック・ホームズばりの推理力を求める檀家なんていないでしょう。同様に説教ばかり達者な刑事なんて,現場じゃ邪魔者扱いです。職業によって人によって,求められる才能は違いますよ』(p. 240)

職業によって求められる際のは違う。私の職業には,どんな才能が必要だろうか。

「崇高だと思っているのは本人だけなんですよ。自己犠牲を徒に美化し,死ぬことを賛美するなど愚の骨頂です。ええ,わたしは全く好きになれません。死んで償えるものより生きて償えるものの方が大きいはずです」(p. 298)

死んで償えるもの,生きて償えるものの大きさを考えると,確かに生きて償えるものの方が大きいように思える。