Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う

定年には当分先だと思うが,『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』(坂本貴志,講談社,2022年9月1日)を読んでみた。

高齢期の家計における最大のリスクは,当初の予定より長生きしてしまう可能性にあると言える。もちろん,このリスクに対応するためにストックとしての貯蓄をするという選択肢や,投資によって資金を増やすという選択もあり得る。

しかし,高齢期のリスクに対して最も有効な対策は,月々の収入のフローを増やすということではないだろうか。それにあたって最も信頼に値するのが公的年金であることに異論はないだろう。そう考えると,多くの人が現実的に取り得るあらゆる選択肢のなかで,最も人生のリスクに強い選択の一つが公的年金の受給開始年齢の繰り下げだと私は考える。(32 ページ)

人生のキャッシュフローを想定し,必要な資産を形成していく。

本来,企業内における出世争いは,その人が持つ経験や能力など実力で競争するのが筋であり,年齢で区別するのはおかしい。しかし,なぜ現在の役職者はその役職に就くことができたのかを考えていくと,そこにも人事管理上の事情が確かに存在することがわかる。自分が役職に就けたのは実力があったからだという考え方も一面としては正しいが,人事管理上の視点から考えれば,その人が高位の役職に就けたのはまぎれもなく前任の役職者が後進に道を譲ってくれたからである。(72 ページ)

年功序列は一定程度残っているから,実際にも上記のとおりだ。

定年後のキャリアにおいては,体力や気力の変化と向き合いながらも,いまある仕事に確かな価値があると感じたとき,人は心から楽しんで仕事に向き合うことができる。多くの人は意外にもこうした境地に自然にたどり着いているのである。(134 ページ)

心から楽しいと思える仕事に向き合おう。

なぜ人は 50 代で仕事に対して意義を失い,迷う経験をするのか。これはつまるところ,定年を前にして「高い収入や栄誉」を追い求めつづけるキャリアから転換しなければいけないという事実に,多くの人が直面しているからだと考えられる。他者との競争に打ち勝ち,キャリアの高みを目指したいという考え方をどのようにして諦めることができるか。それが,定年後に幸せな生活を送れるかどうかを大きく左右するのである。(145 ~ 146 ページ)

「高い収入や栄誉」にこだわらなければ,選択肢は増えるだろう。

定年後の仕事を考える上で最も重要なことは,いかにして社会で通用する高い専門性を身につけるかにあるわけではない。また,競争に勝ち残り,人に誇れるような仕事に就き続けることにあるわけでもない。

定年後に豊かな仕事を行えるかどうかを決めるのは,この定年前後の意識の断絶をいかに乗り越えるかにあると考えるのである。(155 ページ)

定年前後で,意識を変えていくことができるか。急激に意識を変えるのではなく,数年かけて変えていけば,心や体へのストレスは小さいだろう。

もちろん,人口の減少が必ずしも経済の低迷につながるわけではない。絶え間ないイノベーションで経済を成長させれば,理論的には人口減少下でも経済の成長は可能である。しかし,将来推計人口の数値から現実的な日本経済の将来を見通せば,長期にわたって経済が縮小し,世界において日本の位置づけが低下するのはもはや必然と考えたほうがよいだろう。これからは,いかにして経済を拡大していくかではなく,いかにして縮小のスピードを抑えるかといったことを主眼に置かなければならない。(157 ページ)

将来推計人口の数値を見て,どこに主眼を置くかを考えておく。