会社のデータを活用することを考えるため,著名な河本 薫氏の『会社を変える分析の力』(河本 薫,講談社,2013年9月1日)を読んでみた。
データ分析を活用できていない企業に不足しているものは,分析力によりビジネスを変革していこうというマインドを持つ人材なのです。(20 ページ)
データ分析を活用していないのは,変革していこうというマインドが足りないから。変革するマインドがあれば,データ分析は避けては通れない。
じつは,有意義な分析を行っても,それをビジネスに使ってもらうまでには二種類の壁が立ちはだかっているのです。
一つ目は,「費用対効果の壁」です。費用とは,その分析結果をビジネスに導入する場合に必要な費用(システム開発費用など)のことです。
(中略)
二つ目は「心理的な壁」です。従来の経験と直感に基づく意思決定スタイルを,データ分析に基づく意思決定に置き換えようとすると,担当者の抵抗に遭います。(25 ページ)
「費用対効果の壁」と「心理的な壁」を想定したうえで,データ分析を始めよう。
データ分析と KKD は,どちらが優れているかといった関係ではなく,相補的な関係にあります。データ分析だけに頼ると,イレギュラーな状況や定量化が難しい現象に対応することはできません。KKD だけに頼ると,大雑把な判断しかできません。
分析者は,データ分析について謙虚な気持ちを持つとともに,KKD に対する敬意を持たなければなりません。すなわち,データ分析だけで意思決定ができるといった驕りを持たず,KKD の重要性を認識したうえで,データ分析の活用を推進していかなければなりません。そのような姿勢で臨めば,現場の人間も心を開いてくれて,データ分析と KKD が融合した最高の意思決定スタイルを築くことができるでしょう。(138 ページ)
KKD (経験・勘・度胸)に対して敬意を持つようにしよう。
- データと計算式は,混在させずに分ける。
- 計算式のパラメータは直接セルに入力せず,外出しする。
- データには,単位をつける。
- 数式には,数年後に振り返っても理解できるように注釈をつける。
- シート間のリンクやファイル間のリンクは,一方向のツリー構造とする。
- 不要になったデータや数式は消す。
- ファイル名称は,それを見れば何のファイルかわかるような名称にする。(158 - 159 ページ)
Excel を使う場合のマナーとして知っておこう。
私が米国の研究所でデータ分析に携わっていた頃,上司や同僚から幾度となく "Ballpark Estimate" という言葉を聞かされました。"Ballpark Estimate" とは,「ざっくり計算(理解)」という意味です。語源には諸説がありますが,一説には,「野球場の場内アナウンスでおおよその入場者数を発表していたこと」から来ているそうです。(169 ページ)
これからは,「ざっくり計算」と言わず "Ballpark Estimate" というようにしよう。
では,分析プロフェッショナルに向いている人とは,どのような適性を持った人でしょうか?筆者は,① 論理的思考力,② 右脳的思考力,③ 感受性の三つを挙げます。(186 ページ)
私は,分析プロフェッショナルに向いていると信じている。
- 価格: 655 円
- 楽天で詳細を見る