『テロリストのパラソル*1』(藤原伊織,角川文庫,平成19年5月25日発行)を読了。
「めんどうじゃないことをたくさんやるか,めんどうなことをひとつしかやらないか。どちらか選べっていわれたら,私はあとを選ぶタイプでね」(位置 No. 310)
私はめんどうなことは最低限しかやらない。あとを選ぶタイプに近いか。
「プライドの問題よ。女のプライドが表にあらわれるときは,一万くらいのバリエーションがあるってこと,あなた,知らないの」(位置 No. 959)
一万くらいのバリエーションがあるとしたら,女のプライドをうかがい知ることは難しいだろう。
思うんだけど,われわれが相手にまわしていたのは,もっと巨大なもの,権力やスターリニストを超えたものだって気がしてきたんだ。いわゆる体制の問題じゃない。もちろん,イデオロギーですらない。それは,この世界の悪意なんだ。この世界が存在するための必要成分でさえある悪意。空気みたいにね。(位置 No. 1121)
権力や体制を打倒し,イデオロギーを変えることができたとしても,この世界の悪意は変わらない。
「母がなぜ,あなたから去っていったのかもわかるような気がする。あなたのいる場所には,結局,他人の入る余地がないのよ。この世界でいちばん狭い場所にあなたは閉じこもっている。まるで人を寄せつけない場所にね。母はそれを知って絶望したのよ」(位置 No. 1474)
私のいる場所に,他人の入る余地はあるだろうか。
堤防は蟻の穴から崩れる。気がついたときにゃ,もう崩れていることが多いんだ」(位置 No. 2246)
いわゆる蟻の一穴というやつか。
善意は人を傷つけることがある。ほどこしという概念を受容しない風土ではそういうこともある。(位置 No. 2456)
せっかくの善意で,人を傷つけてしまわないようにしたい。
この国はクズだ。経済では肥大しきっているが,クズだ。この国はクズを拡大再生産しているにすぎない。(位置 No. 4022)
クズを拡大再生産してきた日本。そのことに気がつかなければ,これからもクズを拡大再生産し続けることになる。
絶望ってどういうときにやってくるか知ってるかい。この世界で動かしがたい事実のあることを知るときだよ。(位置 No. 4105)
自分の力ではどうしようもないことを悟ったとき,絶望を知る。
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