『ハサミ男』(殊能 将之,講談社,2013年7月1日)を読了。
「高齢者が天寿をまっとうするのは,もう生きていたくない,死んでしまいたい,とついつい思ってしまうからさ。そんなこと思わなければ,もっと長生きできるのにねえ。したがって,結論はこうだ。あらゆる死は自殺である」(27 ページ)
死にたくない,と思っていても死ぬことがあるのではないか。
勘や経験は大事だ。でもな,それだけじゃ真実はつかめない。もっと大事なのは事実だよ。勘や経験は,いかにすばやく事実をつかむかという道案内の役目しかしてくれない。だから,おまえも修行なんかする必要はないのさ」(170 ページ)
勘や経験ではなく,事実(データ)を見る。
「ハインリヒ・ハイネは,雲の上に天国があるのなら,どうして金貨とか宝石が降ってこないのか,降るのは雨だけじゃないか,天国は水っぽいのか,と書いているね」(177 ページ)
雲の上には天国はない。
「うん。クリエイティブという言葉を勘違いしていると思うね。何か華やかで,かっこよくて,スマートな仕事だと思ってるんだろうな。そんなのは嘘ですよ。クリエイティブな仕事というのは,もっと地味で,泥くさいもんです」(194 ページ)
アウトプットはクリエイティブでも,過程は泥臭い。
人々は納得したいんですよ。なんの意味もなく,人を殺す人間がいるとは思いたくない。そういう人間を目のあたりにしても,なんらかの意味や理由を見出したい。だから,無動機殺人者の心理を知りたがる」(211 ページ)
意味や理由がなかったとしても,意味や理由をつけたがる。
「隠語を使いたがるのは,ノンキャリアの連中だけさ」(366 ページ)
ノンキャリアは,仲間内だけで仕事ができてしまうから,隠語を使いたがるのだろうか。
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