Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

球界消滅 本城 雅人

『球界消滅』(本城 雅人,文藝春秋,2015年2月20日)を読了。

政界や経済界の重鎮たちと親交があり,フィクサーとも呼ばれる京極は,頭脳明晰で,七十を超えてもまったく衰えを感じさせないパワフルな男である。人の話を聞くぐらいなら,自分の理論をぶちまけ,相手がぐうの音も出ないほど論破することで,政治家や経営者たちを屈服させてきた。彼が評価されたのは,言っていることが正論であり,国益や日本が進むべき方向性として間違いではなかったからだ。(位置 No. 487)

間違っていない方向性を示し,正論を語り続ける。

文化的公共財であるプロ野球を守れと言った連中がどれだけ野球に貢献し,金を注ぎ込んできたのか。野球人気が廃れていくと,もう野球の時代じゃないとサッカーやゴルフなどで新しく出てきたヒーローに関心が移っていく。結局,赤字を負担しているのは昔からプロ野球を背負ってきた各球団の親会社だ。(位置 No. 1005)

野球中継を見ることなど,ほとんどなくなった。

かつては,応援しているプロ野球球団のレギュラークラスは,成績も把握していたが,今は全然わからない。

「柔よく剛を制すという言葉に魅力を感じるのは日本だけです。ですからアメリカでは二百安打より三十本塁打の方がはるかに高く評価されますし,実際に高年棒を貰っているのはホームランバッターばかりです。ベーブ・ルースタイ・カップより,ハンク・アローンがピート・ローズより人気があるのも当然です」(位置 No. 1148)

メジャーリーグイチローはどれだけ評価されていたのか,現役を退いた今日,アメリカ合衆国の人の記憶にイチローは刻まれているのか,興味がある。

king-masashi.hatenablog.com

「そもそも人間というのは金持ちの家に生まれるか,貧乏人の家に生まれるか,あるいはホワイトかブラックかなど不公平はつきものです。彼ら(筆者注:アメリカ合衆国の人々)はスポーツにしても学業にしてもあるいは仕事にしてもそういう境遇を理解した上で戦っているわけです。(位置 No. 1341)

生まれながらの境遇の違いは仕方がない。

それを前提として,戦うしかない。

ネット時代では,その一人として見くびることはできない。個人が発信力という強い武器を持った。これが今世紀に入って人類がもっとも大きく変わった点である。(p. 2319)

インターネットを介せば,個人の発信も世界中に広げることができる。

「いくら球団を持つことで大赤字だなんだとほざいていても,実際は企業の宣伝になっていた。むしろ既得権益だわな。他の連中においしい蜜を吸われたら困るので,タッグを組んで守り合ってきたわけだから,状況が悪化しても,アイデアを持つ新しい連中を入れようとしなかった。若いエネルギーを入れることを拒絶するから,組織全体がどんどん脆弱になっていったんだ」(位置 No. 3618)

既得権益を守るため,若いエネルギーを入れることを拒めば,その権益は失われていく。

日本人は金を浪費することには否定的である。いまだに戦後日本を復興してきた時の堅実な精神が強く残っているのか,それとも贅沢は敵だという教えが体に染み込んでいるのか,中学から米国で育った牛島には理解できなかった。(位置 No. 4765)

金を浪費しない日本の国民性が,この停滞感の根底にあるのだろうか。

Hired to be fired. (雇われることはクビになること)

京極から任務を任された時からアメリカのエリートたちがよく使うこの言葉を自分に言い聞かせ,準備してきた。(位置 No. 7210)

典型的な日本の企業に勤めているので,"Hired to be fired." という言葉にはなじみがない。