Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

RPAで成功する会社,失敗する会社

『RPAで成功する会社,失敗する会社』(大西亜希*1クロスメディア・パブリッシング,令和3年7月1日)を読了。

RPA は,事業部門が主導して部分最適で導入することで効果を発揮していくものであり,基本的には現場ごとに必要な個別性の高い業務を自動化していく。

基幹システムや業務システムは情報システム部門が主導して全社最適で導入するものであり,全社共通の業務を標準化し,それらをデジタル化していきます。(20 ページ)

基幹システムや業務システムを改修するまで,RPA は暫定的に使う位置づけか。

大企業の RPA 導入はコスト削減ではなく,投資と割り切って,「中長期的にみて利益を生む」という認識です。(中略)年間 100 万円程度の投資で,さまざまな効果を生むと考えれば,RPA 導入は正しい選択であると考えられます。(62 ページ)

年間 100 万円は安くはない。

Excel のマクロや Python でできることはいっぱいあるので,まずはそちらを試すべきでは。

RPA をハサミと同じような感覚で活用し,ダウンロード・印刷・メール送信といった「小さな行動」に注目して,任せる仕事を積み上げているのが成功している会社です。(64 ページ)

小さな行動をしている人が,これは RPA でもできること,と気付くようにすることがポイントか。

商品戦略や営業戦略の立案,成約件数を向上させるための営業活動,人材のスキルを高めるための採用戦略や教育戦略の見直し,管理職と社員の直接的なコミュニケーション機会の増加など,企業の業績や持続可能性を高めるための経営基盤の構築に貢献する業務こそ,人が担うべき仕事ではないでしょうか。(111 ページ)

人が担う仕事とコンピュータにやらせればよい仕事を切り分ける。

改善の4原則「ECRS」(169 ページ)

  1. Eliminate(排除):その作業をなくすことはできないか
  2. Combine(結合):その作業をほかとまとめたり,一緒に行ったりすることはできないか
  3. Rearrange(交換):その作業の実施順序を変更できないか,ほかの方法で代替できないか
  4. Simplify(簡素化):その作業の手順を簡単にできないか,実施時間を短縮できないか

この 4原則を身に付けておけば,常に改善を考えることができる。

RPA 導入の主な効果(130 ページ)

業務負荷の削減/作業の平準化

人間の作業量が削減されるだけでなく,繁忙期でも RPA に業務を委ねることで,平準化が実現される

属人化の解消

担当者のみが業務を理解している「属人化」の状態を改善し,担当者の不在・退職に際しても業務を問題なく継続できる

業務の正確性担保

人的ミスが起こらず,またアルゴリズムによって作業をこなすため正しく設定されていれば間違いが生じない

余力の創出

人間に業務負荷が大幅に削減されたことで生じた余力を,企業にとってより価値の高い創造的業務に振り向け,成長に貢献する

競争力の強化

RPA によって実現された業務効率化,生産性の向上による企業体力の強化,および RPA による市場・競合他社の情報収集・分析力の向上

コンプライアンスの強化

RPA では作為的な情報改ざん・情報漏洩・架空取引など不正行為が行われないため,これらの有効な防止策となる

 

*1:ヴェールコンサルティング株式会社 代表取締役