2021年4月21日
『世界はシステムで動く いま起きていることの本質をつかむ考え方』(ドネラ・H・メドウズ,英治出版)を読了。
人間はどうも,フローよりもストックに集中して考えがちなようです。加えて,私たちがフローに注意を向けるときは,アウトフローよりもインフローに注意を集中する傾向があります。(位置 No. 593)
ストックだけではなく,フローにも気を配る。
少なくとも私の資産については,ストックだけでなく,フローにも注意している。
世界について私たちが知っていることはすべて,モデルです。ひとつひとつの単語も言語も,モデルなのです。地図も統計も,書籍もデータベースも,方程式もコンピュータ・プログラムも,すべてモデルです。自分の頭の中で世界を描くやり方(メンタル・モデル)もモデルなのです。どれひとつとして,”実際の” 世界ではありませんし,今後そうなることもありません。(位置 No. 1653)
自分が理解していることは,モデルに過ぎないことを知る。
「境界とは,私たち自身が作っているものであり,新たな議論や問題,目的ごとに,考え直すことができるし,考え直すべきである」と覚えておくことは,重要な技能です。(位置 No. 1932)
その時々で,境界を引き直してもよい。
「持つ者には与えられる」。勝者は,勝てば勝つほど,将来もっと勝つことができます。勝者が勝ちとるものはすべて敗者から取り上げるなど,限界のある環境で「勝つこと」が起こると,敗者は徐々に破産していくか,強制的に排除されるか,飢えることになります。(位置 No. 2572)
富は一つに集中していく。
ルールがあるところには必ず,ルールのすり抜けの可能性があります。「ルールのすり抜け」とは,システムのルールの意図をかわす,責任逃れの行動のことで,表面的には従いつつ,本質的には従わないことです。ルールのすり抜けが問題となるのは,そのせいでシステムが大きく歪んだり,そのルールがなければまったく意味をなさない不自然な挙動につながるときだけです。ルールのすり抜けが手に負えなくなると,システムは実際に深刻な打撃を与える挙動を生み出し始めることもあります。(位置 No. 2778)
ルールで縛るのではなく,システムの本質を知らしめる。
社会の人々の頭の中にある共通の考え,つまり,非常に大きな暗黙の前提が,社会のパラダイムを構成しています。言い換えると,「世界はどのように機能しているか」についての根底にある一連の信念です。これらの信念は,言及する必要がないため,言及されません。だれでもすでに知っているのです。(位置 No. 3341)
暗黙の前提がズレていることはないだろうか。
先進工業国で育ち,システム思考に夢中になる人たちは,大きな過ちを犯す可能性があります。「システムの分析,つながりや複雑性,コンピュータの力など,ここにようやく予測とコントロールの鍵が存在する」と思い込む可能性があるのです。この過ちが起こる可能性があるのは,先進工業国の考え方には「予測とコントロールの鍵がある」という思い込みがあるからです。(位置 No. 3414)
予測とコントロールできるのは,システムのことを知っているから。
未知のシステムにおいては,予測もコントロールもできない。
システムの世界に生きるための指針
- システムのビートを理解する
- 自分のメンタル・モデルを白日にさらす
- 情報を大事に考え,尊重し,広げる
- 言葉は注意して用い,システムの概念で強化する
- 測定可能なものだけではなく,大事なものに注意を払う
- フィードバック・システムのためのフィードバック方針をつくる
- 全体の善を求める
- システムの知恵に耳を傾ける
- システムの中の責任のありかを見つける
- 謙虚であり続け,学習者であり続ける
- 複雑性を祝福する
- 時間軸を伸ばす
- 学習の "領域" に逆らう
- 思いやりの境界線を拡大する
- 善の目標を損なわない
まずは,システムの世界に生きていることを意識する。