2020年10月24日
『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』(佐藤 伸行,文藝春秋,2016年8月20日)を読了。
当時のアメリカは,「ベルリンの壁」崩壊によって世界一極支配に乗り出し,ブッシュ大統領(父)は「世界新秩序」を高らかに宣言していた。(位置 No. 859)
ブッシュ大統領(父)の宣言した「世界新秩序」は,今はどうなったか。
アメリカの優位は変わらないか。
30 年近く前から,このほどさようにトランプはメディアの寵児であり,しかも「怪物」として描かれていた。しかし,トランプ自身,そうしたメディアの扱いにまんざらでもなかった。いや,むしろ喜んでいた。(位置 No. 885)
メディアがなければ,トランプ大統領はなかった。
トランプ・タワー建設の過程で,トランプはその後の生涯を貫く「宣伝戦略の真髄」を体得した。
「純粋なビジネスの観点からすれば,マスコミに書かれることは不利になるよりも利点の方がはるかに大きい」という有名な「トランプの定理」だ。(位置 No. 1102)
マスコミに書かれることを利点と感じるか。
広告宣伝という意味では,利点は大きいのは事実か。
ポリティカル・コレクトネスは翻訳すれば「政治的正しさ」という奇妙な日本語になるが,要するに差別的表現や行動を根絶し,ある表現・行動によって不愉快に思い,傷つく人がいるのなら,そのような言葉・行動を控えようという運動である。(位置 No. 1644)
「政治的正しさ」だけを追求した場合,どんな結果がもたらされるか。
清濁併せ呑む,という言葉があることを考えると,よい世界ではないかもしれない。