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シン・ニホン 安宅 和人

2020年10月23日

『シン・ニホン AI × データ時代における日本の再生と人材育成』(安宅 和人,PUBLISHING,2020年2月20日)を読了。

 「データはある」と言う会社は多いが,それをすべてリアルタイムでキカイが読み込めるようにデジタル化しており(machine-readable),少なくとも社内向けに API ができている会社はどのぐらいあるだろうか。API がないというのは,家の玄関まで水道管は来ているが,蛇口がないのと同じである。(p. 42)

リアルタイムでデータを処理できるようにはなっていない。
リアルタイムでデータを活用できるようになれば,何ができるだろうか。

電話,計算機,PDAiPod をすべて統合し,iPhone を生み出したスティーブ・ジョブズSteve Jobs),そして持続可能なエネルギーの世界を創ると掲げるイーロン・マスクのように,「妄想し,カタチにする」ことが富に直結する時代だ。(p. 57)

今の時代に必要なのは,妄想力と実行力だろう。
私自身,妄想はできそうなので,実行できるかが問われている。

技術の実装だけで未来を変えることは難しい。単なる技術オタクではダメなのだ。大切なのは,目に見えない特別な価値を生み出せるかどうかだ。素晴らしい世界を描き,領域を超えたものをつなぎデザインする力が,これまで以上に重要な時代を僕らは生きている。(p. 63)

技術だけではなく,デザイン力が問われる時代。
弊社は技術一辺倒で,デザイン力のある人はどれほどいるのだろうか。

日本は経済規模に比して歴然と人材投資をしていないことが明らかになっている。2000 年代を例に取ると G7 内での標準的なレベルの 7 ~ 8 分の 1 に過ぎない。多くの経営者は日本の学校教育に期待していないと言いながら,自分も人材開発にリソースを投下していないのだ。おそらくここで浮いた費用が残業代になっているという悲しい現実が推測される。(p. 91)

人材投資して,期待される効果が得られるか。
いい教育プログラムを考え続けなければならない。

このデータ × AI 世界での KFS(Key for Success ; 成功のカギ)は次の 3 つだ。

第一に,さまざまなところから多様なビッグデータが取れ,いろいろな用途に使えること。

第二に圧倒的なデータ処理力を持っていること。データ処理力とは技術でありコスト競争力だ。

第三にこれらの利活用の仕組みを作り,回す世界トップレベルの情報科学サイエンティスト,そしてデータエンジニアがいるということだ。(pp. 99 - 100)

いろいろな用途に使える,というがどんなことに使えるかデザインするハードルがものすごく高く感じる。

ただ単に人間の仕事をキカイに置き換えるという想像力ゼロの利活用だけではなく,夢を実現するために AI とデータの力を解き放とうとしているのか。自動化できるものは当然し,これまでは不可能だった新しいことを行い価値を生み出しているのか。リテラシーのベースとしてこのような志自体を持てているのか。(p. 123)

夢を描く力や妄想力が求められている。
妄想の中でユースケースが生まれる。

ありがちな話として,大きな組織で新しいやり方を行うチームを 1 つだけ作るようなアプローチはおおむね機能しない。100 年続くうなぎ屋のタレに継ぎ足すようなもので,何を入れてもいつもの味になってしまう。新しい酒は新しい革袋にということわざのとおり,新しい取り組みを行う部隊は一旦割ってしまい,建物どころか街も,マネジメントのあり方,評価,給与システムも変えてしまったほうが現実的だ。(p. 126)

弊社の中の,一つの部門にできたチームのことか。
部門の味を変えることができるだろうか。

横山氏*1の指摘は,世界で最初に日本で顕在化する問題を,世界に先んじて自力で解決できるようになることが重要だというものだ。日本に閉じた課題を解いていてもしょうがないのだ。世界的な課題を先に手を付け課題解決先進国にならなければ意味がない。(p. 139)

課題先進国であるだけでは価値はない。課題を解決できる先進国になる。
また,私の住む地域は,日本の中でも課題先進地域であるので,さらに先を行きたい。

現在,この日本の教育システムが生み出す最高の人材は,テレビ番組でクイズ王になる,教育評論家や予備校講師になるぐらいしかないという残念なことになってしまう。世界の同世代の若手リーダーが刻一刻と未来を変えていっているそのときに,だ。(p. 151)

夢やデザイン力にフューチャーするテレビ番組は思い浮かばない。

ある種,完全にアシンメトリック(totally asymmetric)な通常の軸に乗らない「いい意味でヤバい人材を一人でも多く生み出せるか」が大切だ。(p. 162)

いい意味で,ヤバい人材と言われるようになる。

ドメイン的な知識,文脈の適切な理解に基づき,どのような価値をどの局面で解決すべきかを見極められなければ(いわゆるイシューの見極めと整理),価値など生み出しようがない。また解くべき課題がわからない人はアウトプットの価値すら判断しようがない。これはほぼビジネス力だ。先入観に引っ張られず事象をありのままに受け止める力,論理的にものを考える力,いろいろな入り組んだ事象の中で異質性を見極める力,整理して人に伝える力などが複合的に絡んでいる。(p. 166)

安宅氏の著書『イシューからはじめよ』を再読してみよう。

なお,同じく古典力学的には「力」の大きさは「質量 × 加速度」で計算できる。すなわち生み出す仕事の大きさは,「どれだけ大きな存在に対して,どれだけ勢いよく,どれだけの変化(距離)を引き起こしたか」だ。現実世界における仕事の定義として考えても十分に味わい深い。(p. 230)

現実世界における仕事の定義をはっきりさせれば,力の加えどころが変わる。

そもそも才能はそれぞれに違うのが当然であり,こだわることもつまずくところも異なる。それが未来の価値創造の芽となるわけだが,それを一人ひとりケアすることが本来,情熱と才能を解き放つ上で大きな力になるであろうことは間違いない。(p. 245)

似たような社員ばかりを集め,同列で育成していても,未来の価値創造の芽はない。
情熱と才能を見つけ,解き放てるようにしたい。

求められるのは基礎研究にしか関心がない人ではなく,「時代の変化から生まれるリアルな課題解決にエキサイトする人」であり,統計だけの専門家,あるいは単なるデータの専門家ではなく,「統計的な素養を持った上で,情報科学的な知恵と技を課題解決に使う人」だ。またエンジニア的な視点で言えば,ただ仕様書に基づきコードを書く SE(システムエンジニア),プログラマーではなく,「課題を俯瞰し,柔軟にビッグデータ処理を実験環境から本番環境まで実現する人が我々が必要とする人材だ。(p. 247)

課題を俯瞰できるようになり,その解決の糸口を見つけられるようになりたい。

事業がうまくいかないときも,冗費を削ることはしても,未来の種を生む技術・事業開発,そして人材開発コストだけは死守する。むしろ未来のためにさらに何本か bet する(賭ける)のが事業の鉄則だ。(p. 276)

未来のために bet してもらえるようなアイディアを生み出す。

米国の場合,大学もしくは公的な研究所に寄付をするとそれは基本免税扱いになる。そのため,国や州に税金を払うくらいならば,直接このような教育機関,研究機関に寄付したほうがいいと考える人がいる。(p. 300)

ふるさと納税に続き,教育機関や研究機関への納税の仕組みがあれば面白い。

国というのは言ってみれば大きな家族のようなものだ。財布が 1 つという意味では最大級のコミュニティ単位とも言える。今の日本は,たとえて言うならば,家族のうちおじいさんやおばあさんはちゃんとしたおかず付きのご飯を普通に食べることができるが,働くお父さんやお母さんにはほんの少ししかお小遣いがなく,子どもたちはメザシ 1 つ与えられていない。そういう状況だと思えばイメージが湧くだろうか。(pp. 318 - 319)

普通に考えると,子どもには栄養たっぷりの食事を与えてあげたくなるのではないだろうか。
それなのに,この国の社会保障制度そのものを大きく変えるという声は,なぜ広がっていかないのだろうか。

これからの変化とともに,時間を売る時代は終わり,アウトプットが仕事の成果になる時代になる。僕らは時間に縛られることはなくなり,自由になる。生産年齢人口の定義を変えるというのは,そういうアウトプットドリブンな社会を創ることでもある。みんなが自分のペースで社会に役に立てる社会こそを創るべきだ。(p. 328)

時間ではなく,アウトプットで勝負できるようになる。

  1. 「形成」自ら未来を創る(shape the future)
  2. 未来に「適応」する(adapt to the future)
  3. 「プレー権を確保」する(reserve the right to play)(p. 352)

未来を創る人でありたい。

また,歴史を振り返れば中世のペストによる人口激減は産業革命の大きなドライバーの 1 つであったことが知られている。(p. 387)

新型コロナウイルス(COVID-19)は,時代を変えるドライバーになるか。
それは,これからの私たちの変革次第だろう。

今後も知恵のある人は知恵を,お金のある人はお金を,時間のある人は時間を,とさまざまな形で才能と情熱を募っていけばと考えている。(p. 394)

私の役回りは知恵と時間を出す,ことだろう。

さまざまなインフラネットワーク(グリッド)から切り離されている状態のことをオフグリッドというが,まさに人が半ば分散した空間におけるインフラ構築・維持コストの劇的な低廉化が求められている。2 章で触れたとおり土木系の労働者が劇的に少なくなることが予想されている中,仮にシニア層の解き放ちによってインフラの建設力の経済的な問題がなくなったとしても,都市や幹道的な部分に集中せざるをえなくなることが半ば必至であり,その意味でもよりコストも建設の手間も本質的に下げた方法を見出す必要がある。(p. 408)

土木系の労働者が少なくなることは,大きな課題である。
この大きな課題に対して,どのように戦っていくか,考え続けたい。

 

*1:横山 禎徳 氏。当時,東京大学レジデンツ・カウンシル・メンバー