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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

図で考える人は仕事ができる 久恒 啓一

2020年9月3日更新

『図で考える人は仕事ができる』(久恒 啓一,日本経済新聞社,2002年5月20日発行)を読了。

 興味深いことに,図読や図解を続けていくと,描いた図は自分の頭のなかに蓄積されていきます。読んだ文章や漠然と考えたことは,あとから人に説明しようとしても,なかなか思い出せないものですが,図にしておくと一枚の絵として記憶され,全体像をかなり正確に思い出すことができるのです。(p. 26)

図を描くときに,しっかり考えながら描くから,記憶として残るのではないか。

 デザイン(design)をドイツ語の語源で考えると,「de」が「存在から打ち消す,離れる」で,「sein」が「ある,存在する」ですから,現状に合わなくなったものを白紙に戻してもう一度組み立て直す,といった意味になります。実情に合わないものを大胆にリストラクチャリングしていく行為だと言えるでしょう。(p. 39)

デザイン(desin)は,白紙に戻して,もう一度組み立て直すこと。
デザインは,既存のものからできるものではない。

 アメリカの GE(ゼネラル・エレクトリック社)前会長のジャック・ウェルチ氏も,「図表を描くことほど自分の考えを明確にする方法はほかにない,といつも考えている」「複雑な問題を解きほぐして簡単な図表に表現することは,実に興奮を覚える仕事だ」と語っています。(p. 42)

図表を描くときに,自分の頭の中が整理される。

 孔子は,『大学』のなかで,「修身・斉家・治国・平天下」と言っています。「まずは自分を管理し,家庭を平和にし,国を治めれば,結果として天下を治めることができる」という意味ですが,現代にあてはめれば,「自分をマネジメントし,家庭を円満にし,職業をまっとうすれば,社会はよくなる」と言い換えることもできるでしょう。(p. 63)

自分をマネジメントできないものが,家庭を円満にすることはできない。
ましてや,職業を全うすることもできないし,社会も変えられない。

 つまり,個条書きは思考を停止させます。個条書きでは全体の構造や部分間の関係を表せないのが問題であり,体系的でないことが最も大きな弱点でしょう。書き手,読み手とも楽だと感じるのは,頭を使わなくてもすむからです。その結果,あまりものを考えないという風潮が広がることになります。(p. 105)

個条書きは,情報を列挙しているにすぎない。
情報は整理して,情報同士のつながりを見出してこそ意味がある。

 全体を見ることができれば,戦略が出てきます。碁のことわざに「着眼大局,着手小局」という言葉があります。全体を大きくとらえて方向性を定め,その一環として小さな部分から手をつけていくのがよいという意味です。(p. 110)

全体を見て,何をすればよいかを決める。
いきなり,全体がどんなものになるかわからないまま,小さな部分から手をつけるのはよくない。

 日本の組織はまだまだ文書に重きを置いています。記録として残されていないものは,存在していないものとして扱われます。パソコンが普及すれば,オフィスでの紙の消費量は減るはずでしたが,実態はその逆になりました。かえって文書が量産され,読まれないままに積み重ねられ,やがて廃棄されるという悪循環が生じています。(pp. 149-150)

パソコンは文書をつくるためにあるのではなく,情報を共有するためにある。
文書を共有しやすくなったから,文書が量産されるようになってしまった。

 また,セコムでは「予算制度」というものもありません。おおよその収入計画と利益目標はありますが,支出予算や投資予算はその都度考えなくてはならない仕組みになっていると言います。というのは,予算制度があると予算対比で多いか少ないかというところばかり目がいき,実際には何も考えなくなってしまうからです。予算制度が組織を思考停止状態に陥らせてしまうというのです。(p. 170)

予算制度があることで,予算対比しかできなくなってしまう。
全体として,どうなのかということを考えなければならない。

 歴史上の転換点を今から振り返ってみると,正しい行動や主張をしていた人はごく少数だったことに気がつきます。彼らは自分でものを考えることができた人たちなのですが,大多数の人は「みんなが言っているから,偉い人が言っているから」ということで,実際には自分では何も考えずに突っ走り,最後は痛い目にあっています。たとえばバブルの頃がそうでした。(p. 188)

現在の状況を踏まえて,今どうするべきかを自分の頭で考える。
もし,まわりが間違った行動をしているならば,それはチャンスと心得る。

図で考える人は仕事ができる
 
図で考える人は仕事ができる 実践編

図で考える人は仕事ができる 実践編

  • 作者:久恒 啓一
  • 発売日: 2003/08/20
  • メディア: 単行本