Masassiah Blog

Masassiah のブログです。主に読書で得た気づきをまとめています。

隷属なき道 ルドガー・ブレグマン

2020年8月24日更新

『隷属なき道』(ルドガー・ブレグマン,文藝春秋,2017年5月25日発行)を読了。

 それほど遠くない昔,民主主義は,まだ輝かしいユートピアにすぎなかった。哲学者のプラトン(紀元前 427 ~ 347 年)から,政治家のエドマンド・バーク(1729 ~ 1797 年)まで,多くの偉人が,民主主義は無益で(大衆はあまりにも愚かで,それをうまく運営できない),危険で(多数派のルールは火遊びのようなものだ),計画通りにはいかない(「全体の利益」はたちまち,巧妙に作られた全体の利益にとって代わられる)と警告した。(p. 47)

大衆を愚かさから救う,ルールは洗練し,全体の利益を追求し続ける,それが理想なのか。
しかし,現実の世界を見ていると理想とは程遠い。

「コミュニティのなかで唯一,ある階層だけが,金のことを金持ちよりもよく考える」とオスカー・ワイルドは言った。「それは貧困層だ」 (p. 112)

お金がない人は,お金のことを考える。
お金のある人は,お金に無関心になる。

 そこでは「お金で良い生活が買える」と,中世の詩人は,想像上の豊穣の地,コケイン(Cockaigne)を讃えた。「そして,最も長く眠る者が,最も稼ぐ」と詩人は続けた。コケインでは,一年の果てしない休暇の連続だ。イースターから始まって,ペンテコステ聖霊降臨祭),洗礼者ヨハネの祝日,最後はクリスマス,という四日間が,延々と繰り返される。働こうとする者は,誰であろうと地下の穴蔵に閉じ込められる。「仕事」という言葉を口にすることさえ,重大な違反なのだ。(p. 142)

コケインで生まれていれば,人並み以上に稼げていたかもしれない。

 確かにその通りだ。「ロボット」という言葉は「骨折って働く」という意味のチェコ語 robota に由来する。人間がロボットを作ったのは,自分たちがやりたくない骨の折れる仕事をやらせるためだったのだ。「機械は人間のために炭鉱で働かねばならない」と,オスカー・ワイルドは 1890 年に熱く語った。機械は「蒸気機関に炭を投げ入れ,道路を掃除し,雨の日に手紙を届け,その他,面倒なことや辛いことを」しなければならない。ワイルドが言うには,古代ギリシャの人々は,奴隷制度は文明化には欠かせないという厄介な真実を知っていた。

「未来の世界は,機械化された奴隷,つまり機械という奴隷に頼るのだ」

骨が折れる仕事はロボットにやらせるしかない。コンピュータ上のロボットは,タダで働かせることができる。もしあなたが自分の理想を,聡明な 12 歳の子どもにうまく説明できないのであれば,おそらく原因はあなたの方にある。わたしたちに必要なのは,数百万人もの普通の人々に語り聞かせる物語なのだ。

 進歩を語る言語を取り戻すところから始めよう。(p. 264)

誰かに伝えるために物語をつくろう。そして,誰かに語り聞かせよう。