『AI 時代に生き残る企業,淘汰される企業 シェアリング・エコノミー,フィンテック,IoT が作る未来』(加谷 珪一,宝島社,2017年3月1日)を2020年7月24日読了。
AI の導入,IoT の普及,シェアリング・エコノミーの台頭は,いずれも,大量の余剰人員を生み出す原因となる。これらにどう対応していくかは,企業にとって大きな課題となるだろう。(p. 9)
大量の余剰人員をどう扱うのか,企業にとって悩ましい課題。
自動運転は,運転に関する技術だけで成立するわけではない。地図情報や乗車する人の行動履歴など,いわゆるビッグデータとセットになって初めて本領を発揮する。これらをうまく活用すれば,クルマの使い方が大きく変わり,場合によっては所有という概念すら消滅する可能性が出てくる。(p. 28)
自動運転というキーワードだけでなく,そこから派生してくる未来を想像する。
孫氏は常に,次の世代において中核的役割を果たす企業に手をつけておきたいと考えている。具体的なシナジーをどう作り出すのかは, 次の時代が到来してから検討すればよい。というよりも,具体的なシナジーなど,その時にならないと分からない可能性が高い。(pp. 43 - 44)
いわるゆ「青田買い」というやつか。
どのようなシナジーが生まれるか,楽しみに待っているのも一興。
建設作業員といった肉体労働も機械化の進展で減少するとしているが,製造現場の雇用やバックオフィスの雇用と比較すると減少幅は小さい。建設現場での機械化はすでに進んでおり,これ以上の機械による代替はコスト的に合理的ではないと考えられる。(p. 66)
建設現場での機械化が,これ以上進まないのであれば,別の打ち手が必要。
(一連の採用業務について)適正の判断やマッチングといった業務はもともと AI との親和性が高く,業界全体として AI 導入が進む余地が大きい。 (pp. 70 - 71)
適正判断やマッチングは,AI との親和性が高い。
もっとも資本集約的な色彩が濃いのはインフラ系の企業である。
通信会社や鉄道会社,電力会社は,毎年巨額の設備投資をし,減価償却を行いながら,設備の更新を続けていく。こうした企業の資本労働比率は一般的に高い。(p. 80)
労働力ではなく,設備がお金を生み出す。
AI の導入で単調な業務から解放された人材が,まったく新しい価値観に基づいた製品やサービスを生み出す可能性も十分に考えられる。(p. 91)
単調な業務をしていた人材が,新しい価値観に基づいた製品やサービスを生み出せるだろうか。
製造業の世界的企業である GE(ゼネラル・エレクトリック)では,こうした技術を使って装置の稼働効率を 1 % 向上させただけでも,同社の顧客は 200 億ドル(約 2 兆円)もの利益を得ることができると試算している。(p. 135)
稼働効率を向上させることは,大きな効率化。
これまでムダに,そしてバラバラに導入されていた産業用機器が,IoT 事業者によって統合化・最適化され,そこに経済的余力が発生する。(p. 142)
バラバラであったものが,統合化・最適化されると,そこには余力が発生する。
近い将来,外見寸法やスペックなどをすべてオーダーメードでき,1 週間程度で商品を手元に届ける家電メーカーが登場してもまったく不思議ではない。こうしたメーカーは,オーダーメードという部分に付加価値があるので,自社の生産設備にこだわる必要はない。(p. 163)
標準化ではなく,オーダーメード化という未来もある。
将来的に AI は,人が行う仕事のかなりの部分を代替できるまでに進歩する可能性があるが,当面は,仕事の部分的な代替という形で普及してくるだろう。そうなってくると,業務遂行の能力の高い人が,AI を使うことでさらに生産性が上がり,その人に仕事が集中するという状況が発生する可能性が高い。(p. 194)
AI をうまく活用できる人の生産性は,ますます上がっていく。
日経 225 構成銘柄を使って資本集約レベルを比較すると,運輸や部品メーカー,情報システムといった業種はあまり資本集約的ではなく,AI 化の余地が大きいと判断できる。逆に電力,通信,商社といった業種は,資本集約レベルが極めて高い。AI による人の業務の代替効果は限定的だろう。(p. 199)
電力業界で,AI による人の業務の代替効果は限定的。
設備の稼働率向上のために,AI を活用する。
建設の分野はすでに機械化が進んでおり,これ以上の機械化はコスト的に採算が合わなくなる可能性が高い。消費者とも直接的な関係が薄く,4 つのテクノロジー*1が活躍する余地は小さい。(p. 209)
4 つのテクノロジーが活躍する余地の小さい建設業は,今後も同じような働き方しかできないのか。
既存のネットワークを捨て去り,新しいビジネス・インフラを再構築すれば多大な犠牲を伴う。一方,既存のネットワークに依存すれば,当面は安泰だが,いつの日か新規参入の会社にあっという間にシェアを奪われてしまう可能性がある。戦略的に正しい選択をすることがリスク要因になってしまうというこの図式は,企業にとって最大の自己矛盾である。(p. 231)
攻めと守りの両方を意識していなければならない。
新しいテクノロジーは人から労働を奪う存在でもあるが,ムダな労働から解放してくれる救世主でもある。多くの面倒な仕事が機械で代替できるようになった時,人はどのような意識で働くことになるのだろうか。もしかすると,人としての楽しみをさらに追求するようになり,好きなことを仕事にするのが当たり前の社会となっているかもしれない。(p. 233)
面倒な仕事が機械で代替できるようになったとき,私は何をすればよいか。
ライフに注力するか,それとも,新しい創造的な仕事に注力するか。