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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

考える技術 大前 研一

2020年6月14日更新

『考える技術』(大前 研一,講談社,2004年11月4日発行)を読了。

 問題解決の根本にあるのは,論理的思考力である。問題解決のみならず,先見性とか直感とか呼ばれるものも,じつは論理的思考があってこそ生まれる。ところがほとんどの日本人には論理的思考の癖がついていないため,問題解決のための思考回路が抜け落ちている。こうした思考回路の欠如は政治や経済を含めて日本の将来を危うくするし,ビジネスマン個人にとっても,それで新しい時代を生き抜くことは不可能である。(p. 17)

論理的に考える癖をつけなければ,新しい時代を生き抜くことはできない。

 実際の社会では,論理的思考力があれば答えはいつでも出てくる。時間は十分にあるし,コンピュータも使えるからだ。ところが「論理を軽視し答えを出そうと必死になって,そのために多くの時間を使うのは危険だ」というわけである。(p. 36)

安易に答えを求めない。
論理を大事にする。

 日本のマスコミはすぐに「トップは責任を取るのか」「いつ辞めるのか」という議論に走ってしまうが,トップの首をすげ替えて「責任を取りました」というのは,問題の本質をまったく捉えていない議論だといえる。本来なら「では,どうやって経営を改善していくのか。その具体的な道筋はできているのか」という話が本題で,「今のトップにそれができないのなら,できる経営者に交代すべし」となる。首のすげ替えは,実現のプロセスの一部にすぎないのである。(pp. 115-116)

日本のマスコミは,いい方向に変わっていくのか。
十数年前から日本のマスコミは,変わっただろうか。

 繰り返すが,問題解決に必要なのは,まず事実を認めたうえで「正しいことは何か,なすべきことは何か」を考えることである。たとえ社長が反対の立場であっても,それを説得する勇気を持つ。どんなに相手が嫌がっても,事実に対しては忠実になる。これが問題解決の大原則である。(p. 124)

正しいことは,誠意を持って説明して,主張していく必要がある。

 自分の意見が相手の意見と違うときに,事実に裏打ちされた信念を持って,どうやってその意見を相手に納得してもらうか。そういう努力を平素から行っている企業と,同質の集まりの中で訓練をまったくしていない企業とでは,極めて大きな差が生まれてしまう。(p. 126)

事実に裏打ちされた信念を持って,意見を主張しても,同質にしか主張していない。果たして,同質以外には,この意見は伝わるのだろうか。

 新しい世界では,企業に所属する人間であっても,個人として能力が求められるようになる。物事の本質を見抜き,自らの力で問題を解決する力,新しいアイデアを生み出したり,新規事業を立ち上げたり,あるいはライバル企業を打ち負かす戦略を立てる力がなければ,所属する企業からも退場を迫られる時代になるだろう。

 だからこそ,今すぐに一人一人が論理的な思考回路を鍛え,来るべき世界に備えなければならないのである。(p. 135)

論理的な思考回路を鍛えることこそが,生き残りの手段である。

 逆に科学者の中にも専門知識だけに凝り固まって,思考停止状態に陥っている者もいる。文系出身の人たちも,日々のトレーニングで十分に論理的思考力は身につくし,理系の人間よりももっと合理的な思考回路ができるようになると思う。努力すれば絶対に身につくものなのだ。(p. 155)

あまり,専門知識だけに凝り固まると,思考停止状態になる。
専門知識を,わかりやすく,伝えるためには,論理的思考力を高めていく必要がある。

 こうした状況で学校の果たすべき役割は,答えがないときにどうするかという「考える癖」をつけさせることだ。解のない問題に対して,なぜなのかを考えて自分なりの仮説を立て,それが正しいかどうかを努力を厭わずに証明する。子どもたちがこの力を持てば万々歳だ。なぜならこの力を持った人間は一年間で 97 % 儲けるチャンスが広がるが,ニュートン力学の考え方の人間は,年利 0.1 % そこそこの定期預金に入れておくのが精一杯だからである。(p. 163)

本の学校では,「考える癖」をつけさせてこなかった。
これが,現在の日本の凋落の一因なのではないか。
考えることができない人が多すぎる。

 今の世の中そのものが,答えのない,マニュアルの通じない世界である。敏感な人々はすでにその方向にシフトを始めている。古い価値観に縛られている人間と,新しい価値観を生み出そうとしている人間。その差はこうした黎明期にこそより大きく開くものなのだ。(p. 167)

マニュアルの通じない世界では,何が正しいか,何が間違っているのか,自分で考えなければならない。それができる者が,新たな決まりを作ることができる。

 日本ではすぐに「IT や携帯電話が使えないお年寄りがかわいそうだ」などと言い出すが,そういう人たちには昔のやり方で対応すればいい。必然的にその方向に進んでいくものを,スピードの遅いところに合わせて押し止めようとするのは,止めようもない川の流れを無理やりせき止めようとするのと同じで,まったくナンセンスだ。世界は今,見えない大陸を我先に開拓しようと,猛烈なスピードで突き進んでいるのだから。(p. 235)

大きな流れには逆らえない。逆らうことができないのであれば,その流れにしっかり乗る事ができるようにしなければならない。

 とくに許認可などは,利権や不正が生じないようにするためにも,裁量的な部分はないほうがいい。そうするとほとんどすべてコンピュータ化できるから,役所の窓口はいらなくなる。住民や企業は手間もはぶけるし,許認可を取得するスピードが速くなって,経済活動の活性化にも繋がるはずだ。(p. 259)

裁量的な部分がなければ,許認可はコンピュータによる審査で可能である。
しっかり,厳密な許認可制度を設計することができればよい。

考える技術 (講談社文庫)

考える技術 (講談社文庫)

  • 作者:大前 研一
  • 発売日: 2009/03/13
  • メディア: 文庫