2020年3月8日更新
『FinTech*1 入門 テクノロジーが推進する「ユーザー第一主義」の金融革命』(辻庸介,瀧俊雄,日経 BP 社,2016 年 4 月 19 日 第 1 版 1 刷)を読了。
移り気なユーザーの心を捉える「最速」で「最高」のサービスを自社開発するのも,容易なことではありません。なぜならそれは「多産多死」上の産物であり,意思決定プロセスが比較的長い大企業向きではないからです。(p. 38)
「最速」で「最高」のサービスは,多くの屍の上に産まれる。
例えば,Money Forward では 2,580 以上の金融機関に対応しているので,複数の口座残高を一括管理することができます。銀行,クレジットカード,証券,電子マネー,マイレージカードなどをいったん登録すれば,あとは自動で利用履歴や残高を取得し,全自動で家計簿や資産一覧を作成してくれます。また,レシートを撮影すると,項目や店舗名が自動で家計簿に反映されます。(p. 55)
Money Forward を使うことで,銀行のネットにアクセスしたり,わざわざ通帳を記帳に行かなくてもよくなった。
資産運用の成果を決定づけるのは,このアセットアロケーションにかかっているといわれています。どの株式をいつ買うか,売るかというタイミングよりも,どのようなタイプの資産をどれくらい保有するかを決めること,すなわち戦略的アセットアロケーション(SAA : Strategic Asset Allocation)と呼ばれる意思決定が,投資リターンの 8 割方を決定づけるとする研究もあります。一方で,個別の銘柄(例えば,トヨタを買うのか,それとも日産を買うのか)の判断や,売買のタイミングの影響は,ほんの 2 割程度といわれています。(pp. 80 - 81)
戦略的アセットロケーションを練ることに注力しよう。
ブロックチェーンは昨今,世界的に注目されている技術ですが,金融取引を裏付ける重要な機能である「データを正確に,かつ効率的に安価に保存する」という点において,現在のインフラを一新するような,大きな革新をもたらす可能性があります。(p. 146)
現在のインフラを一新,戦々恐々。
むしろ,既に構築している確固たるサービス基盤,顧客基盤を生かすためにも,新しいサービスやインフラ技術を早めに取り込んだ上で,さらにその先にあるビジネスモデルを構築し,新しいマーケットのシェアを押さえにいくことの方が,幾倍もの価値をもつ戦略といえるでしょう。(p. 168)
一歩先のビジネスモデルを構築し,新しいマーケットのシェアを押さえる。