2020年1月15日更新
『超バカの壁』(養老孟司,新潮新書,2006年1月20日発行)を読了。
合うとか合わないとかいうよりも大切なのは,いったん引き受けたら半端仕事をしてはいけないということです。一から十までやらなくてはいけない。それをやっていくうちに自分の考えが変わっていく。自分自身が育っていく。そういうふうに仕事をやりなさいよということが結論です。(p. 20)
仕事を引き受けた以上,最後までやり遂げる。
その中で,自分自身,成長する。
あなたはただの人だというべきです。それを自覚して社会に空いている穴を埋めろ。そうすると幾ばくかの金がもらえる。その人が埋められる穴もあるけれども,埋められない穴が世の中には幾らでもあります。埋めたい穴と埋められる穴は別のこともあります。埋めているうちに,穴を間違えたことに気づくということも十分あり得る。(p. 28)
穴(仕事)があれば,とりあえず埋める。
もちろんこの安定性には欠点があります。安定しているのはあくまでも自分です。ということは他人から見れば自分勝手だということにもなる。社会性が低いとも思われる。あくまでも個体として安定性を持っているわけですから,そういう人とはつき合いづらい思われるでしょう。(p. 67)
女性が自分勝手,社会性が低いのは女性ゆえに安定しているからである。
その後ろめたさとずっと暮らしていく,つき合っていくというのが大人なのです。私が憲法九条改正に反対する理由もそれです。九条はそのままにしておいていい。そうしておけば,軍隊を動かすのは何となく後ろめたいから,いろいろと論争が起こるでしょう。それでいいと思っています。(p. 103)
憲法九条があるから,論争が起こり,慎重な判断が下される。
人間の社会というのはどうしてもそういう人間を生み出してしまう。極端に分業化してしまうと,偏った人が出来る。宗教は常にそれを訂正する役目をになっているわけです。だから,宗教の勢いが弱くなったことと,こういう人が出てくることとは,無関係ではありません。(pp. 122 - 123)
宗教による訂正がなければ,偏った考え方の人間が出来る。
だから,式が完璧に理論的に正しくても具体的には使えない。予想ができない。そういう論理系があるということがわかってしまったというのが,カオス理論の一番大切なポイントなのです。(pp. 158 - 159)
簡単な事象であれば予想できるが,気象のように複雑な事象は予想できない。
しかし,予想できないものを完璧に理論化できたのはなぜだろう。
もっと一般論でいえば,「理路整然とした話くらいうそはない」ということです。なぜならば,自然や人間社会が理路整然としているはずがないからです。(p. 167)
理路整然と説明することを求められるが,理路整然と話すと嘘っぽいということになってしまう。
理路整然をどこまで突き詰めればよいのか。