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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

「頭がよい」って何だろう 植島啓司

2020年1月13日作成,2021年2月20日更新

『「頭がよい」って何だろう』(植島啓司集英社新書,2003年9月22日発行)を読了。

 マリリン自身が語るところによると,彼女の知能上達法は以下のとおり。「物事を書き留めたり,計算機を使ったりせず,頭の中で処理せよ。なんでも断定せず,柔軟な心を保とう。断定することは,学ぶことをやめることを意味する。成就したいことがあれば,すべて自分で行動せよ」。なんとも含蓄のある言葉ではないか。なるべく自分の本来もっている能力だけで仕事を処理すべきだというのである。(p. 20)

頭の中で全てを処理すれば,脳内のパスができるということだろうか。

われわれはみな,「<オッカムの剃刀>と呼ばれる前提に影響されているからである(ちなみにオッカムとは,1200 年代後半に生まれた哲学者,ウィリアム・オッカムのことである)。またの名を<節減法>というこの規約は,事実に適する諸仮定のうち,最も簡単なものをベストとする規約である」とベイトソンは書いている。(p. 77)

原文「必要が無いなら多くのものを定立してはならない。少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない」
スタインメッツの変圧器モデルも「オッカムの剃刀」ベースということか。

いったいどうしたら自由に考えられるようになるのか。
ひとつのことを集中して考えることで新しい発見に至るケースもあるだろうし,さまざまな分野を横断しつつ新しいインスピレーションがひらめくケースもあるだろう。ひとくちに天才といってもそれぞれに違いがあるのは当然のことだろう。その最大公約数はそう簡単には得られないだろうが,しかし,それを知るために興味深いのがアインシュタインのノートである。(p. 102)

式で埋め尽くされているわけではなく,イメージが描かれている。

彼のノートを詳細に検討してみると,そこには,通常とは違った思考回路の存在が見てとれる。それは多くの天才たちにも共通していることかもしれない。決してつねに物事を論理的に捉えようとしない姿勢とでもいうのだろうか。あるいは,幼児性ともいうべきものか。(pp. 104 - 105)

アインシュタイン*1自身,「自分が特殊相対性理論などを着想できたのは知的発達が遅かったからだ」と認めているらしい。
子どものような純粋さ*2がなければ,気づけないこともある。

 子どもの教育にとってもっとも大切なことは,つねにこうした勝利感を味わうように仕向けてあげることなのだ。それは現在の学校教育がしているのとは正反対のことなのである。世の多くの人々は「成功は強い動機づけの結果である」とかたくなに信じている。しかし,実際のところ,子どもに関しては「強い動機づけは成功の産物」なのである。決してここを逆に考えてはならないのだ。(p. 27)

勝利を味わえば,さらに勝利を味わいたくなり,動機づけができる。

われわれの思考の大部分が線的な系列にそって整序化されるにつれて,そのもっとも根源的な働きは封じ込まれるようになっていった。いわゆるメタファー(隠喩)とかアナロジー(類比)とかシンボル(象徴)とかアレゴリー(寓意)とかである。(p. 176)

頭の中を整理するだけでなく,反対に混ぜ合わせてみると何かに気づけるかもしれない。


 

*1:アルベルト・アインシュタインの名言には,「大切なのは,問いを発するのを止めないことです。好奇心にはそれ自体として存在理由があるのです」もある。

*2:イジドール・アイザック・ラビは「物理学者はピーターパン」という言葉を残している。