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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

捏造の科学者 STAP 細胞事件 毎日新聞科学環境部 須田桃子

2019年12月20日更新

「科学者は実験結果やそこから導き出される結論に全面的に責任を負わなければならない。とくに根拠となる自らの実験結果については客観的かつ十分慎重に取り扱う必要がある」(野依良治)(p. 87)

実験結果に主観を混ぜてはならない。
ただ,客観的に取り扱うべき。

「一人の未熟な研究者が膨大なデータをとりまとめた。取り扱いがずさんで責任感が乏しかった」(野依良治)(p. 90)

昔に比べて,一人の研究者が取り扱うデータ量が爆発的に増えているのではないか。
コンピュータでデータを扱えるから,簡単にコピーできてしまうし,書き換えもできてしまう。

「皆が憧れる,あらゆる面で成功した人生を送りなさい。すべてを手に入れて幸せになりなさい」(チャールズ・バカンティ)(p. 102)

小保方氏のことを高く評価していたことが伺える。

「若手研究者の倫理観,経験の不足と,それを補うべき立場の研究者たちの指導力の不足,また両者による相互検証の欠如が不正を引き起こした」(野依良治)(p. 143)

研究者としての倫理観は最低限必要である。

大学院教育の課題として,政府の方針でこの約 30 年で博士課程入学者数が 3 倍まで増えた反面,学生一人当たりの指導教員数が足りないなど,博士の「粗製乱造」になっている実態や,日本の若手研究者全体の実力低下が指摘されていることを紹介し,STAP 問題の背景を分析した。(p. 151)(P151)

数がいれば,優れた芽が出てくることもあるだろうが,悪い芽が良くないことを引き起こした典型例か。

「研究論文プロジェクトには 4 つの段階がある。第 1 段階は研究の着想や企画,第 2 段階は実験の実施,第 3 段階は実験データの解析と図表類の作成,第 4 段階は論文の執筆やまとめ。」(笹井芳樹)(pp. 183-184)

数か月でこれを行うのは難しい。最低限,1 年は必要だろう。

私は常々,基礎研究に関して「役に立つ」か否かで意義を語るのはナンセンスだと考えている。将来の使い道が想像しきれるなら,それは真に独創的で画期的な成果とは呼べないと思うからだ。だが,このときばかりは,「役に立つ研究をしたい」という若山氏の言葉が,痛切に胸に響いた。(p. 245)

何の役に立つか,それが先に来てしまうと,独創性が損なわれる。

「ひとたび学位を授与したら,それを取り消すことは容易ではない。それほど学位の授与は重みのあるものである。早稲田大学において学位審査に関与する者は,その重さを十分に認識すべきである」(小林英明)(pp. 326-327)

博士の学位は取り消されたが,修士・学士の学位は残る。
博士の学位の重みは違う。

「研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じえない」(大西隆)(p. 339)

道筋に合うように,虚構の研究が進められたという疑念を持つ。

「足かせを一生かけたとしか思えません。はいたら踊り続けなくてはならない『赤い靴』ですね」(p. 349)

足かせをかけられた彼女は,何を思うか。

あえてその最低限の要素を挙げるとしたら,あくなき好奇心と探求心,実験や観測のデータに対する謙虚さ,そして誠実さと科学者としての良心――だろうか。(p. 378)

最低限の要素は持っていたい。技術者だけれども……。 

捏造の科学者 STAP細胞事件

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捏造の科学者 STAP細胞事件 (文春文庫)

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