はじめに
電気事業連合会の電力統計情報を基に,電力 9 社*1の変電所*2箇所数,変電所出力の年度推移(1963 ~ 2018 年度)をグラフ化してみた。
(参考)変電所の役割
変電所は電圧の変成(電力を経済的に輸送するために行う。主として変圧)と電力の集中,あるいは配分を主な目的として設けられる。この他変電所は電力の品質を維持し,設備を保全するために,電圧調整,電力潮流制御,系統安定度の向上並びに送配電線および変電所自身の保護(関連設備の電気的あるいは機械的保護)を行っている。
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変電所箇所数の推移
電力各社の変電所箇所数
電力 9 社それぞれの変電所箇所数の年度推移を下図に示す。
変電所箇所数は,1963 ~ 2018 年度のほとんどの年度で東京電力が最も多く,次いで関西電力となっている。
東京電力,関西電力ともに 2018 年度時点の変電所個所数は 1,600 箇所程度である。
1990 年代後半まで,各社の変電所箇所数は年々増加していたが,2000 年以降は横ばいとなっている。
※関西電力,中国電力は,1990 年代後半以降も,変電所個所数はやや増加しているように見える。
9 電力合計の変電所箇所数
9 電力合計の変電所箇所数の年度推移を下図に示す。
1990 年代後半まで,変電所箇所数は増加傾向にあったが,2000 年以降は横ばいとなっている。
なお,変電所の箇所数は,2018 年は 6,643 箇所であり,1963 年の 2,219 箇所に比べ,約 3.0 倍となっている。
変電所出力の推移
電力各社の変電所出力
電力 9 社それぞれの変電所出力の年度推移を下図に示す。
1963 年度以降,変電所出力は東京電力がトップ,次いで関西電力,中部電力である。
東京電力は,関西電力の変電所出力の約 2 倍となっており,他の追随を許す気配すら感じられない。
変電所箇所数と同様,1990 年代後半まで,各社の変電所出力は年々増加しているが,2000 年以降,出力の伸びは鈍化している。※東北電力の変電所出力は,2000 年以降も伸びを継続している。
9 電力合計の変電所出力
9 電力合計の変電所出力の年度推移を下図に示す。
電力 9 社の変電所出力の推移を見ると,1990 年代後半までの変電所出力の伸びに比べて鈍化しているが,2000 年以降も変電所出力は増加を続けている。
なお,変電所出力は,2018 年度は 839,614 MVA であり,1963 年度の 59,160 MVA に比べ,約 14 倍となっている。
変電所出力/変電所箇所数
電力各社の変電所出力/変電所箇所数
電力9社の変電所出力を変電所箇所数で除した結果を下図に示す。
ほとんどの電力会社では変電所出力/箇所数は増加傾向にあるが,関西電力だけは1980 年頃をピークに減少に転じている。
変電所出力/箇所数のトップは東京電力であるが,次いで北陸電力となっている。
大需要地を有する中 3 社(東京電力,関西電力,中部電力)が上位を占めていると思っていたが,思いがけない結果となった。
変電所出力を変電所個所数で除した数字から,各社の設備形成の考え方の一端が垣間見られる気がする。
9 電力合計の変電所出力/箇所数
9 電力合計の変電所出力を,やはり 9 電力合計の変電所箇所数で除した値の推移を下図に示す。
電力 9 社の変電所出力/箇所数は,1963 年度以降,一貫して増加を続けていることがわかる。
増加の傾向は,1990 年頃を境として鈍化しているように見える。
なお,変電所出力/箇所数は,2018 年度は 126.4 MVA /箇所であり,1963 年度の 26.7 MVA/箇所に比べ,約 4.7 倍となっている。