日本の社会は承認が上手とは言えない面があって,せっかくの達成感に冷や水を浴びせるようなケースもあります。しかし基本的には,達成の機会を多く得られる「できる人」は,それによって承認を得るチャンスも多く,成果として成長のスパイラルを描きやすい環境を手にするのです。(p. 25)
「できる人」には,日本だとしても承認を得るチャンスが訪れ,それに応えることで成長スパイラルに乗ることができる。
先の恐怖政治を敷いた「できる人」のように,自分が率先して答えを出していくことで,周囲は答えをもらうことに慣れていきます。自分で答えを見つけ出そうとせず,いつも答えを待つようになります。(p. 28)
答えを見つけたとしても,それを周囲に示さず,しばらく様子を見てみることも大事。
「できる人」の多くは,そうなる過程で厳しい目標を達成しています。ふつうレベルの人なら最初から諦めてしまうゴール設定を,前向きにとらえて挑むのが「できる人」です。(p. 37)
「高ければ高い壁の方が,登ったとき気持ちいいもんな」という歌詞は,「できる人」の発想だったのか。
自分が学び,習得してきた過程が,自分の中に記憶されています。その記憶にもとづいて,「こうやって教えてあげれば大丈夫」という感覚が生まれます。ところが固有のプロセスを当てはめることのできない相手が,世の中にはたくさんいるのです。(p. 52)
自分では腑に落ちて理解していることも,相手は腑に落ちてくれない。そんなことだらけ。
こんなふうに説明してあげれば大丈夫だろう・・・・・・という自己判断のもと,「できる人」は豊富な知識体系にもとづいてワンマンショーを演じていきます。話しているうちに気分が乗ってきて,話さなくてもいいことまで話してしまい,知識のない相手を戸惑わせた経験はないでしょうか。(p. 80)
わかりやすく言葉を使っているつもりでも,その言葉自体を知らない人にとっては,ただ戸惑うだけ。
教えたいという欲求や,早く育てなくてはという責任感の大きさ。さらに,相手がどのくらいのレベルかも把握している「できる人」からすれば,指示や指導的な話が膨らむのは必然だと思います。しかし,それゆえに教えすぎて失敗する「できる人」が多いのを忘れないでください。(p. 103)
教えすぎないようにすることも大切。教える,教えすぎないのバランス感覚はつかみにくい。
改革をスピーディーに進めようと,立ち上がる血気盛んな「できる人」がいます。知識も行動力もある彼を,「できない人」たちは冷めた目で見ています。そして改革をできない理由を,もっともらしく挙げてリスクテイクから逃れようとします。(p. 156)
チャレンジしない人からすれば,チャレンジする人はどう見えるのだろうか。
できるアシスタントを育てられる専門家と,いつもアシスタントとの関係がぎくしゃくしている専門家がいます。自分の知識や腕でメシを食べているつもりでも,こうした点で組織力の差が表れます。当然,それは顧客や組織内における評価となって返ってくるのです。(p. 165)
アシスタントを育てて,自分の空いた時間を還元する。
近年,EQ(エモーショナル・インテリジェンス)こそがリーダーには必要なのだという考え方が,マネジメントの世界に広く浸透してきました。EQとは簡単にいえば,「心の知能指数」です。(p. 172)
頭だけでなく,心にも知能指数を求められる時代。
自分のやる気に着火するのが得意な「できる人」は,「できない人」にもライターを持って行って火をつけようとします。モチベーションという注射を打とうとしている,といってもいいでしょう。(p. 216)
火がつきやすい人と,火がつきにくい人がいる。火がつきにくい人も燃えることができれば,炎は大きくなる。
なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか? (ソフトバンク文庫)
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