茨城県立歴史館で平成26年2月8日~3月21日まで展示されていた特別展「常陸南北朝史-そして,動乱の中世へ-」に足を運んできました。3月8日に行ったのですが,展示解説も行われていたので聴講してきました。展示解説のテーマは「第3回 中世人の信仰 そして,その後への影響」です。簡単に内容を記載します。
手紙に仏を記す
故人の手紙の裏に経典を書き込んだり,仏画を摺ったりという習慣があるそうです。現在でも,一部の地域で残っているかもしれません。今回の展示会では常陸南北朝史で散った人の書いた手紙に地蔵菩薩などの仏画を摺ったものが展示されていました。
動乱に散った子ども
動乱の中で,散った子どもとして小山宮犬丸・久犬丸,足利春王丸・安王丸に関する展示物がありました。子どもが散るというのは悲劇であり,謡曲『安犬』や仏教色の強い戦記物『結城戦場物語』『結城軍物語』の題材となったそうです。
小栗満重の乱→説経『小栗判官』
小栗判官,横山大膳,照手姫に関する伝説を紹介してもらいました。悲劇に散った人は伝説の中では生き延びる,いわゆる「判官びいき」を感じることができました。
所感
南北朝史というと近畿地方や鎌倉だけが舞台だと思っていましたが,常陸もその舞台だったのですね。特に常陸における戦乱が多かったのは驚きでした。特別展以外にも茨城県の歴史が常設されておりましたが,そちらを鑑みると,常陸では鉄,馬が比較的豊富にあったことが戦乱が多かった理由なのではないかと感じました。 一気通貫で歴史を書物で俯瞰するよりも,こうした地方の一時代の歴史を展示物を介して触れてみる意義を感じることができました。