高杉良の「乱気流 小説・巨大経済新聞」(角川文庫)を読了しました。
日本経済新聞をモデルとした経済小説です。リクルート事件,バブル崩壊,元自動車総連会長,で元日産労組の天皇,竹中平蔵の登場,富士・第一勧銀・日本興業の共同持ち株会社設立と1980年代後半から2000年前半までの日本経済の出来事が小説中に登場します。実際の名前は変えられていますが,小説というよりも近代経済史のような印象です。
本作の中では,報道の倫理と責任を鋭く問うており,「マスメディアが第四権力の誇りを取り戻す」ということも一つのテーマになっております。
一昔前は家でとっている新聞の論調しか情報を入手することができないため,その新聞に洗脳されやすい環境にあったのではないかと想像されます。しかし,今日においては,例として私が使っているAndroidアプリ「社説リーダー」で,多くの新聞の社説を読むことができます。同じテーマ(例えば原子力再稼働の是非)であっても,新聞ごとにかなり論調が異なっているので大変参考になります。
個人が様々な情報を入手できる現在において,マスメディアは第四権力としての機能を果たせないのではないでしょうか。しかも,マスメディアはそのことに気付かず,第四権力としての驕りがあるのではないでしょうか。第五の権力としてインターネットが登場して久しいですが,今後,第四と第五の権力構造はどのように変化していくのか注目したいと思います。
- 作者: エリック・シュミット,ジャレッド・コーエン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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