Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

ひとりビジネスの教科書 Premium 自宅起業でお金と自由を手に入れて成功する方法

2021年9月3日作成

『ひとりビジネスの教科書 Premium 自宅起業でお金と自由を手に入れて成功する方法』(佐藤 伝,学研プラス,2020年8月)を読了。

組織にとらわれず,好きなときに,好きな場所で,好きな人たちとゆるやかにつながって,あなた自身を活かしながら社会に貢献する時代がやってきます。(位置 No. 138)

現在,私が所属している組織がなくなったとき,自分を活かして社会貢献できるだろうか。組織に頼っている部分が多いので,急には無理かな。

一般的にフリーランスは相手に合わせることが多い,いわゆる受注型。一方,「ひとりビジネス」は,もっと主体的な提案型。自分から商品やサービスを売っていきます。(位置 No. 172)

自分が提供できる商品やサービスとは何だろうか。Web ページや Blog を提供しているけれど,お金をもらうためには,まだまだ磨いていく必要がある。

「自分が好きなこと・得意なこと」の円と,「人に喜んでもらえること・お役に立てること」の円が交わる部分を深掘りしましょう。(位置 No. 329)

ちゃんと結果が出てくる穴を掘る場所を見つけることから始めよう。

コア・メッセージとは,あなた自身のキャッチフレーズのようなもの。(位置 No. 348)

キャッチフレーズやビジョン・ミッション・バリューは,しっかりと考えておきたい。

一連の活動を通じて,みんなが知りたいことを提供する,これがいちばん大切なことだと痛感しています。(位置 No. 1039)

みんなが知りたいことは何かを想像して,わかりやすく伝えることに注力する。

ラクをして稼ぐ=悪」ではありません。

「勤労すること」を否定するわけではなく,「稼ぐためには常に苦労しなければならない」と考える必要はない,と言いたいのです。

この古い考えにとらわれていると,自分の時間と肉体を切り売りしながら稼ぐことしかできなくなるのです。(位置 No. 1404)

今の会社をクビになったとしても,自分の時間と肉体を切り売りするような働き方をしなくてもいいようにしたい。

ビジネスのサイクルが成功に向けて回り始めるだけでなく,自動化によって社会貢献へと向かう余剰時間とエネルギーが生まれるのです。(位置 No. 1415)

余裕がなければ,社会貢献をするエネルギーは生まれない。社会貢献するためには,自分の余裕を生み出すことから始めよう。

2025 年を制覇する破壊的企業

2021年9月1日作成

『2025 年を制覇する破壊的企業』(山本 康正,SB クリエイティブ,2020年11月15日)を読了。

実験的なサービスを数多く出し,うまくいかなそうなものは早めにサービスを停止する同社の精神「Done is better than perfect (完璧を目指すよりはまず終わらせろ)」は大企業になっても続けられていることは驚異的です。(位置 No. 518)

実験的なサービス,ということは,今までのサービスとは違う新たなサービスを数多く出せるということが,Facebook の強みだろうか。

グーグルの元会長,エリック・シュミット氏が興味深い発言をしています。「車とコンピュータは出てくる順番を間違えた。どう考えても正解は,コンピュータに車輪をつけることだ」と。実際,油圧などの機械的な機構ではなくソフトウェアでブレーキの制御などを行っているから,テスラの乗り心地はスムーズなのです。(位置 No. 769)

コンピュータが登場する前にできた仕組み(車を含む)は,コンピュータと組み合わせることで劇的に変えられる可能性がある。

電力を送る仕組み(送変電設備,配電設備)も,劇的に変えることができるかもしれない。

サブスクリプションが合わない業界もあります。摩耗する業界です。摩耗とは,ハードが時間の経過と共に劣化していく,という意味です。具体的には,不動産,自動車,家具などです。(位置 No. 2254)

サブスクリプションで,経常的にキャッシュを得られる仕組みができれば,次々と事業を拡大できるチャンスを得られる。

エネルギー業界は国とのつながりも大きいですから,火力発電が時代遅れだと多くの人が分かっていても,「でも,なくなりはしないだろう」と考えるわけです。このようなマインドは未来では成り立ちません。

マスク氏のような業界の壁や常識を何とも思わない経営者が次々と参入し,業界を壊していく可能性が十分にあるからです。(位置 No. 2337)

「なくなりはしないだろう」は,ある種のバイアスが働いている。業界の壁や常識など,本気で乗り越えようと思えば,乗り越えることは決して不可能ではない。

レスポンシブ ウェブ デザイン

2021年8月30日作成

Google 検索セントラル「レスポンシブ ウェブ デザイン」によると,レスポンシブ ウェブ デザインを次のように説明している。

レスポンシブ ウェブ デザインは、サーバーからどのデバイスに対しても常に同じ HTML コードを配信しつつ、CSS を使用して各デバイスでのページのレンダリングを変更する設定方法です。

developers.google.comまた Google は,レスポンシブ ウェブ デザインをモバイル対応のベストプラクティスとして推奨していることもあり,レスポンシブ ウェブ デザインに対応する例が増えている。

もちろん,Masassiah Web Site,Masassiah Blog もレスポンシブ ウェブ デザインを採用している。

レスポンシブ ウェブ デザインの特徴

レスポンシブ ウェブデザインの利点は,以下の通り。

  • URL が一つなので,ユーザによるコンテンツの共有やリンクが簡単になる。
  • 同じコンテンツのページをいくつも維持管理する手間が省ける。
  • ユーザをリダイレクトする必要がないので読み込み遅延が少ない。

レスポンシブ ウェブ デザインは,いいことばかりのようだが,実際どうだろうか。

レスポンシブ ウェブ デザイン(案1)と Web サイトにアクセスする Web ブラウザやデバイスのユーザエージェント情報によって,表示を切り替える方法(案2)を比較する。

表 レスポンシブ ウェブ デザインの比較
項目 案1 案2
Web サイト表示の切替え方法 様々なデバイスに対して単一の HTML ファイルを使用する。Web ブラウザのウィンドウ幅を基準に,CSS で表示を切り替える。 バイスごとに最適化した複数の HTML ファイルを準備しておく。Web サーバへのアクセス時に通知されるユーザエージェント情報(Web ブラウザの種類やバージョンの情報)に応じて,適切な HTML ファイルにリダイレクトを行うことで表示を切り替える。
表示速度 リダイレクトを行わないので,表示の遅延は発生しない。ただし,PC の高解像度ディスプレイ用の画像をスマートフォンでも共通して使用する場合は,表示の遅延が発生する。 案1と比較した場合,リダイレクトを行う分,表示の遅延が発生する。
デザインの自由度 どのデバイスでも同じ HTML ファイルを表示するので,基本的なデザインは共通となる。そのため,デバイスごとに大幅にデザインを変更することは難しい。 バイスごとに異なる HTML ファイルを表示するので,デバイスごとに自由にデザインすることが可能である。

私が運営する Web サイトでは,デバイスごとに大きくデザインを変更する必要がなく,初期開発や将来のデザイン変更において,開発コストを抑えられるため,案1のレスポンシブ ウェブ デザインを採用している。

レスポンシブ ウェブ デザインの実現方法

レスポンシブ ウェブ デザインを実現するため,デバイスの解像度,ウィンドウの幅・向きなどの指定条件に合わせて別々の CSS を適用する「メディアクリエ」の機能によって CSS を切り替える。Web ブラウザのウィンドウ幅で CSS を切り替える条件を「ブレークポイント」という。ブレークポイントピクセルで指定し,単位は px で表す。

スマートフォンタブレットブレークポイントを 768 px,タブレットと PC のブレークポイントを 1,024 px とし,次表のように対象デバイスごとの Web ブラウザで想定されるウィンドウ幅の範囲を決める。

対象デバイス ウィンドウ幅の範囲
スマートフォン 320 ~ 767 px
タブレット 768 ~ 1,023 px
PC 1,024 px

  

デジタル技術で,新たな価値を生み出す DX 人材の教科書

2021年8月25日作成

『デジタル技術で,新たな価値を生み出す DX 人材の教科書』(石井 大智,鶴岡 友也,朝日新聞出版,2021年4月25日)を読了。

私も会社で DX 人材の育成について検討を進めている。今のところ,この教科書通りに進められているのではないかと自負している。今後,DX 人材を育成し,DX を実現できるだろうか。

「新しい知識やスキルについて積極的に学び続ければ,誰でも社会に必要とされる人材になれる」(位置 No. 51)

知識やスキルを学び続けていない人が多い中,それを実践することができれば,社会に必要とされる人材になれる。

「ビジネスサイドにはデジタル技術を活用できる人材がいなく,エンジニアサイドにはビジネスを理解している人材がいない」

いまの日本には「デジタル技術と現場の課題を結びつける人材」が相当不足している

より深刻なのは,「ビジネスサイドの人材不足」というのが本書の問題意識のコア(位置 No. 195)

デジタル技術とビジネスの両方を結びつける人材になれれば,引く手あまた。

企業での DX 推進やデジタル技術の活用を成功させるためには,ビジネスサイドの人たちにリテラシーを持ってもらい,DX 人材になってもらうことが必要不可欠であるという結論に至ったのです。(位置 No. 277)

ビジネスサイドの人のデジタルリテラシーを高め,DX 人材になってもらう。

理想をいえば,全社員が DX の基礎的なリテラシーを身につけるべきです。(位置 No. 340)

デジタル技術を使いこなせるだけのリテラシーは,全社員に必要。

経済産業省の定義は長くて活用しにくいので,私たち STANDARD では「デジタル技術を活用して顧客に付加価値を与えられる組織・文化を創り続けること」を DX の定義としています。(位置 No. 360)

DX の定義を自分たちの言葉にカスタマイズする。

自社ではなかなか出てこないようなアイデアを,デジタルネイティブ世代に出してもらうというかたちも,DX プロジェクトの企画フェーズではメジャーな施策になってくるでしょう。(位置 No. 675)

デジタルネイティブ世代が,企画の中心に入ることを期待。

一つ目の「知識・スキル」の変革とは,社員一人ひとりが DX に関する知識を身に着け,「自社のどこに課題があるのか,その課題をどう解決していけばよいのか」を考えられるようになることです。

二つ目の「環境」の変革とは,DX を行う権限を持つマネージャーが存在し,プロジェクトを推進しやすい制度が整い,連携のしやすい組織になるように,社内の環境作りをしていくことです。

三つ目の「マインドセット」の変革とは,失敗を恐れずに何度も試し,そこから得た学びをもとに,よりよい方向に修正していくというアジャイル的な意識を,社内全体で持つようになることです。(位置 No. 699)

「知識・スキル」「環境」「マインドセット」の変革という切り口はすっきりする。また,さらに別の切り口とするのなら,個人と組織の両面で変革が必要だと思う。

「DX を推進するには,一人ひとりが顧客への付加価値を考え,その提供手段としてのデジタル技術を学び続ける」という原則を,全社員レベルで理解しているかどうかという問題です。(位置 No. 812)

より良い価値を提供するため,デジタル技術を使いこなすのだ,ということを全社員が理解してほしい。

DX 推進を阻む三つの失敗とは,1. アイデア(DX プロジェクト企画)の質が低い,2. 人を巻き込めない,3. PoC(Proof of Concept = 概念実証)・開発のマネジメントができない(位置 No. 835)

DX 推進を阻む三つの失敗に直面したとしても,それを乗り越えていくしかない。

ビジネスサイドはエンジニアや AI ベンダーに対して「何をしてくれるの?」と待ちの姿勢。エンジニアや AI ベンダーも,ビジネスサイドに対して「何がしたいんですか?」と待ちの姿勢という状態です。お互いが相手任せにしていたら,いつまで経ってもアイデア自体,出てくるはずもありません。(位置 No. 870)

私はビジネスサイドの人だから,「何をしたいのか?」ということをエンジニアや AI ベンダーに伝えられるようになる。

失敗事例として目立つのは「普段の業務が忙しく,現場での優先順位が下げられる」「全社の取り組みになっていない」「前提知識に差があり,議論がかみ合わない」というケースです。(位置 No. 914)

前提知識の差は,教育によって埋めていくしかない。

DX においてビジネスパーソンに最も求められるスキルは「企画力」です。そして先にも述べたように,企画フェーズでは「課題の解決策を考える」能力よりも「課題を発見する」能力のほうが格段に重要になります。(位置 No. 986)

課題を探し続けるため,しばしば振り返ることが必要。

「今日の仕事に問題はなかったのか」という観点で振り返れば,ちょっとした課題がいくつも出てくる。

会社のなかに多様な理想像を描ける「妄想力」の高い人材が増えていかないと,なかなか DX は進まないということです。すなわち DX 人材に求められる企画力とは,自由に理想像をイメージする妄想力に他ならないのです。(位置 No. 997)

理想すること,妄想することが,今,求められている。

この段階でアイデアを 10 個とか 20 個しか出せない企業は,やはり PoC に失敗しています。200 個もアイデアがあると,ほぼすべての課題が網羅されますが,20 個ではモレが多すぎて,どうしても解くべき課題の見定めが不十分になるのです。結果,本来的には優先度の低い,インパクトのない課題が選定され,そのままプロジェクトが進み,開発後に「DX なんかやる意味がなかった」といった極めてネガティブな評価になってしまうわけです。(位置 No. 1377)

イデアを出し続けることが,必要。

DX に限らず,あらゆる変革には法則があると思っています。それは,いつの時代でも「変革は若者からはじまる」ということです。(位置 No. 2730)

変革は若者からはじまる。私も変革を成し遂げる若者*1でありたい。

*1:年齢的に若者ということが苦しくなってきた。ここでは,年齢が若いというよりも,青臭い気持ちを持ち続ける人という意味として捉えたい。

新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実

2021年8月23日作成

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(峰 宗太郎,山中 浩之,日経 BP,2021年2月4日)を読了。

私は,7月10日に 1 回目,7月31日に 2回目の新型コロナウイルスワクチン予防接種を終えた。ファイザー製のワクチンだ。

ワクチン予防接種を終えた後ではあるが,本書を読んでみた。

本書を読む前も,読んだ後も,新型コロナウイルスワクチン予防接種を終えてよかったと思っている。

「専門家がコメントとして発する一言は,その方が持っている見識の文字通り氷山の一角で,水面下には膨大な思考や経験がある」(位置 No. 119)

専門家の一言の裏には,膨大な思考と経験があることをしっかりと認識する。膨大な思考と経験に触れ,その一言を自分のものにする。

人間は「状況をコントロールしている」ことに最大の喜びを覚えるのだそうです。新型コロナ下でも,「状況をコントロールする方策があり,自分自身をコントロールして,その方策に沿って動いている」という実感を得られるかどうか。(位置 No. 1520)

2021年8月現在,新型コロナの感染拡大状況をコントロールしているとは言えない。

大事なのは知識じゃないんです。それは聞けばいい。調べればいい。大事なのは考え方です。サイエンスを扱うならば,因果関係のショートカットはいけません。前後関係や相関関係と因果関係を混同してもいけません。(位置 No. 2210)

知識ではなく,考え方。知識は Google で検索すれば得られるが,考え方は自分の頭を動かさなければ得られない。

イデオロギーとか感情が先に来ちゃうと,リテラシーが失われて,「自分が信じていることを疑う」きっかけがなくなっちゃうんでしょう。そうなるともう聞く耳がない。それと同じことがコロナでも起こっている。(位置 No. 2557)

イデオロギーとか感情が先に来ているものといえば,新型コロナもそうだが,原子力発電の是非もだろう。

「これだけの読書を通してあなたは何を学んだか」といったら,要するに「自分の頭で考えないといつまでたっても安心はできない」ということですよね。(位置 No. 2654)

読書をして,知識をつめ込むのだけではなく,自分の頭で考える。自分の頭で考えて,腑に落ちたものが,自分の学びとなる。

他人を攻撃せずにはいられない人

2021年8月20日作成

『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田 珠美,PHP 研究所,2014年2月20日)を読了。

他人を攻撃せずにはいられない人の手法(位置 No. 589)

  1. わからないふり
  2. 他人のせいにする
  3. 非常に動じない
  4. 疲弊させる
  5. 他人の価値を無視
  6. ズレ
  7. 罪悪感をかき立てる

私の頭の中に浮かんだ「他人を攻撃せずにはいられない人」も,1. ~ 7. の手法を駆使していた。(過去形としたのは,現在は疎遠となってしまった。)

自分自身の考え方や価値観を唯一最良の基準として他人に押しつけたり,自分の知識や教養をひけらかしてそれを身につけるのが当然という態度で接したりするのも,攻撃欲の強い人がしばしば用いる手法である。(位置 No. 968)

私自身の考え方や価値観を他人に押しつけることがある。私も攻撃欲の強い人に分類されると自覚。

「悪を叩いてスッとした。楽しかった」

なぜ悪を叩くとスッとするのか。それは悪を叩くことによって,「自分には悪がない」というふりをし,自分自身の悪を否認できるからである。しかも,自分が否認した悪を外部の他人に転嫁する,つまり攻撃対象の他人に「投影」しているのだ。(位置 No. 1235)

悪を叩くのは,自己満足に過ぎない。

一般に周囲の人を脅したり,恐怖を与えたりするのは,自分自身が他者を恐れているからである。少なくとも,通常のやり方では他人を自分の思い通りに動かすことはできないと感じているからこそ,恐怖に訴えようとするわけである。

このような姿勢それ自体が,自信のなさや無力感の裏返しとも言える。自分に自信がなく,周囲と信頼関係を築くこともできず,不安にさいなまれているせいで,自分のほうが優位に立って相手を支配できるように,震え上がらせたり,振り回したりするのである。

このことをきちんと認識して,攻撃欲が強い人は実は臆病な意気地なしなのだという視点から眺めることが必要である。他人を恐れていて真正面から立ち向かう勇気がないからこそ,陰湿なやり方で痛めつけるのだし,復讐を恐れているからこそ,背後から切りつけるような卑劣な真似をするのだということを忘れてはならない。(位置 No. 1612)

通常のやり方でも,人を自分の思い通りに動かすことができるようになる。

「空気」の研究 山本 七平

『「空気」の研究』(山本 七平,文藝春秋,2018年12月20日)を読了。

日本の道徳は,現に自分が行っていることの規範を言葉にすることを禁じており,それを口にすれば,たとえそれが事実でも,"口にしたということが不道徳行為" と見なされる。従ってそれを絶対に口にしてはいけない。これが日本の道徳である。(位置 No. 46)

日本の道徳とは,一体何なのか。

むしろ日本には「抗空気罪」という罪があり,これに反すると最も軽くて「村八分」刑に処せられるからであって,これは軍人・非軍人,戦前・戦後に無関係のように思われる。(位置 No. 117)

空気に反することが許されなければ,日本の空気を変えるのは,相当に難しいのではないだろうか。

われわれが常に,論理的判断の基準と,空気的判断の基準という,一種の二重基準のもとにいきているわけである。そしてわれわれが通常口にするのは論理的判断の基準だが,本当の決断の基本となっているのは,「空気が許さない」という空気的判断の基準である。(位置 No. 162)

論理的な判断基準よりも,空気的な判断基準が優先される。論理的には正しくても,空気がそれを許さなければ,正しいと判断されない。

対象の相対性を排してこれを絶対化すると,人間は逆にその対象に支配されてしまうので,その対象を解決する自由を失ってしまう,簡単にいえば,公害を絶対化すると公害という問題は解決できなくなるのである。(位置 No. 726)

解決できない問題ばかりが,積みあがることになる。

多数決原理の基本は,人間それ自体を対立概念で把握し,各人のうちなる対立という「質」を,「数」という量にして表現するという決定方法にすぎない。日本には「多数が正しいとはいえない」などという言葉があるが,この言葉自体が,多数決原理への無知から来たものであろう。正否の明言できること,たとえば論証とか証明とかは,元来,多数決原理の対象ではなく,多数決は相対化された命題の決定にだけ使える方法だからである。(位置 No. 918)

国会,県議会,市議会での多数決は,相対化された命題の決定にのみ,使われているのだろうか。

「日本人が憲法を扱う態度は,まるで根本主義者が聖書に対するようだ」という一アメリカ人の批評は,ある意味であたっているが,ある意味ではあたっていない。(位置 No. 2629)

日本人が憲法を扱う態度は,よくわからない。

「人は未来に触れられず,未来は言葉でしか構成できない。しかしわれわれは,この言葉で構成された未来を,一つの実感をもって把握し,これに現実的に対処すべく心的転換を行うことができない」(位置 No. 2777)

未来を言葉にしても,それだけでは人々の心は変わらない。

「ジュッと熱く感じない限り理解しない人たちだから,そんなことをすればどうなるかいかに論証したって耳は傾けない。だから一度やけどすればよい」(位置 No. 2807)

論証しても,耳には届かず,やけどをしても,結局は変わらない人もいる。一体どうすれば,いいのだろうか。

「民はこれに依らしむべし,知らしむべからず」(位置 No. 2807)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると,封建時代の政治原理の一つ。出典は『論語』泰伯編。「人民は従わせることはできるが,なぜ従わねばならないのか,その理由をわからせることはむずかしい」という意味。

私の経験とも,よく合致している。

結局,民主主義の名の下に「消した」ものが,一応は消えてみえても,実体は目に見えぬ空気と透明の水に化してわれわれを拘束している。いかにしてその呪縛を解き,それから脱却するか。それにはそれを再把握すること。それだけが,それからの脱却の道である。人は,何かを把握したとき,今まで自己を拘束していたものを逆に自分で拘束し得て,すでに別の位置へと一歩進んでいるのである。人が「空気」を本当に把握し得たとき,その人は空気の拘束から脱却している。 (位置 No. 2927)

まずは,自分を取り巻く空気を把握することから始め,空気から脱却する。