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現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた 橋下 徹

2021年3月15日

『実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』(橋下 徹,PHP 研究所,2019年5月29日)を読了。

あるべき姿を説くことも,もちろん必要。しかし,今求められているのは,そうしたあるべき姿に近づくために,手を動かし,足を動かし,脳みそに汗をかいて「実行していくこと」ではないでしょうか。(位置 No. 29)

あるべき姿を示し,そのあるべき姿に向かって,実行していく。
それにより,フォロワーシップが生まれることを期待。

リーダーはリーダーがやらなければならないことに専念し,現場ができることは現場にどんどん委ねていくというのが基本原則です。自分にしかできない仕事に集中するために,リーダーはできる限り実務的なことは現場に委ね,決断・判断・決定することに重きを置くべきだということです。(位置 No. 542)

自分に与えられた役割を理解し,その役割を果たしていく。

裁判というのは,絶対的に正しい解を見つけるのが非常に難しい世界ですが,「心証」を使って問題解決の糸口を探っています。(位置 No. 835)

これだけ複雑な世の中には,絶対的に正しい解を見つけることは困難。今,取り掛かることができて,かつ,解決したときの効果が大きい課題から取り組んでいく。

マキャベリも名著『君主論』において,「統治者は最初に衝撃的な大事業を行うべき」という意味のことを語っていますね。(位置 No. 855)

自分の実力を示しておくことで,後の仕事を進めやすくする。

僕が痛感したのは,「組織は口で言っても動かないが,何かを実現させるとメンバーの意識が劇的に変わる」ということです。今まで「できない」と思っていたことが「できる」という成功体験に変わると,エンジンがかかります。人間は面白いもので,できると思い始めると,何も言わなくても,自らどんどんチャレンジしていきます。(位置 No. 1006)

口で言っても動かないのであれば,強制的に体験させてみることも一つの手段。

道を拓くには行動しかありません。目の前の階段を上り続けるしかないのです。リーダーがメンバーを率いるには,口先人間になってはダメです。リーダーは,目標に向けて一心不乱にチャレンジする姿を示し,実践する必要があるのです。それが組織のメンバー(部下)の共感を呼び,メンバーがついてきてくれるようになるのです。(位置 No. 1126)

口も動かすが,手も足も,そして頭も動かし続ける。

優れたリーダー・トップの方針というものは,簡潔で具体的で,「それがあるからこそ組織が動くことができる」というものです。(位置 No. 1279)

組織を動かすことができる方針を策定中。

トランプ大統領が巨大組織に出した指示は,非常に明快です。

トランプ大統領が出した指示は,非常に明快です。

「一個の規制を作ったら,二つの規制を緩和しろ」

これを厳格にルール化しました。(位置 No. 1377)

シンプルな指示は定着しやすい。「一つの規制を作ったら,二つの規制を緩和しろ」というのは,シンプルで理解しやすく,そして実効性も高そう。

実行プランを作らずに,単にイエス・ノーを問うことほど無責任なことはありません。朝日・毎日新聞的インテリたちは,とにかく「住民投票をやって住民の意思を示すことが大事だ!」と強調しますが,それはイギリスの EU 離脱の国民投票のように大混乱をもたらすか,ないしは実行プランがないことで意思表示がなされても何も実行されず放置され,住民の失望を招くだけです。(位置 No. 1451)

エス・ノーだけで物事は,進んでいかない。その時々で,比較優位の道を進んでいくしかない。

一つの案を持ってきて,メリット,デメリットを説明されても,その優位性が分かりません。一案でなく,その対極にある案,中間の案の三案を用意して,それぞれのメリット・デメリットを比較して説明してくれれば,判断しやすくなります。

僕が案を検討するときに重視したのは,「比較優位」という考え方です。(位置 No. 1587)

三案比較は,それぞれの良し悪しを比較するのに適している。両極の案と折衷案を持っていれば,必ず着地点は見つかる。

縦割りで権限と責任の所在をきっちりと決めたうえで,横串を通していく。組織の中に「縦」と「横」の格子をしっかり入れることが重要です。(位置 No. 2134)

横串の通し方は,気をつけた方がよさそう。ただ横串を通しただけでは,問題がより複雑になる可能性がある。

物事を進めていくには,時として「力」を使わなければ進まないのです。インテリたちが好む「議論」「話し合い」だけでは膠着した事態を打開することはできません。(位置 No. 2456)

「議論」や「話し合い」だけで膠着した事態を打開できない時は,実力者に現状を破壊してもらうのも一つの手段。

政治というものはインテリたちがよく好む単なるアイデア・知識の披露や議論,おしゃべりではありません。組織を動かし,地域や世の中を実際に動かしていくものです。そのためには知識だけではなく,エネルギーが必要であり,それは政治運動によって生まれてきます。(位置 No. 2708)

組織を動かすために,魂を込めた発言をする。

 

令和三年 三月場所 初日,白鵬,朝乃山,そして照ノ富士

2021年3月14日作成

2021年3月14日,令和三年 三月場所 初日,私が注目する横綱白鵬(宮城野),大関・朝乃山(高砂),関脇・照ノ富士(伊勢ケ浜)の取り組みを振り返る。

横綱 白鵬

白鵬は先場所,新型コロナウイルスに感染し,休場となった。

新型コロナウイルスから回復後,2 月に行われた合同稽古に参加し,2 日連続で相撲を 30 番取るなど,稽古は精力的に行えている様子。

完全ではないけれど,自分なりにやってきたつもりもあるが,初日は蓋を開けてみないとわからないこともある。

そんな白鵬の相手は,先場所,初優勝を果たした大栄翔(追手風)。4 場所振りの出場の相手としては,やりにくい相手だと思われる。

白鵬は,立ち合いで右から張って,相手の勢いを止め,左をのぞかせると一気に前に出た。土俵際,大栄翔に逆転を狙われ,きわどい相撲であったが,寄り倒しで軍配が上がった。

これで白鵬は 229 日ぶりの白星。このまま,白星を積み重ねていけるか楽しみだ。

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大関 朝乃山

「優勝しないことには次にも進めない」と語る朝乃山,合同稽古の 3 日目,高安に 1 勝 13 敗と不安が残る。

初日は前頭筆頭・宝富士(伊勢ケ浜),難なく突き落とした。序盤に白星を重ね,白鵬照ノ富士*1にぶつかっていきたいところ。

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関脇 照ノ富士

大関昇進の目安となる「三役で直近 3 場所 33 勝」まで残り 9 勝。状態は良く,稽古もできており,大関昇進大関復帰)の可能性は高そうだ。

初日は東前頭 2 枚目・北勝富士八角)をやや強引な下手投げで下して白星発進。力がみなぎっているという印象を持った。大関昇進よりも,優勝で大関昇進に花を添えられるかがポイントか。

令和三年 (2021年) 大相撲力士名鑑

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*1:朝乃山は照ノ富士に対して 4 連敗中。照ノ富士に勝たなければ,結果(すなわち優勝)はついてこないと,朝乃山自身が語る。

プログラマが知るべき97のこと Kevlin Henney

2021年3月12日

プログラマが知るべき97のこと』"97 Things Every Programmer Should Know" (Kevlin Henney 編,和田 卓人 監修,夏目 大 訳,オライリージャパン,2010年12月10日)を読了。

コンピュータシステム,ソフトウェア工学の世界における改革は,しばしば個を無視した全体最適の視点で語られがちです。昔から「このツールを導入すれば」「このプロセスを導入すれば」,誰でも,どんなレベルの人を集めても成功できる――銀の弾丸を探し,そして失望する――何度となく繰り返してきました。(VIII)

銀の弾丸を探し,そして失望を繰り返してきた。
銀の弾丸は,自分で作り出すしかない。

システムに何か問題が起きて,それをコンパイラや OS のせいにしたくなった時は,シャーロック・ホームズの「完全にありえないことをすべて取り除いていけば,残ったものは,いかに信じがたいものでも,事実に違いない」という言葉を思い出すといいでしょう。(Allan Kelly,p. 19)

信じがたいかもしれないが,コンパイラや OS に問題があることも十分ありうる。

技術はすごい速さで変化していきます。学ばなければ置いていかれるのは確実です。(Clint Shank,p. 37)

技術のスピードに置いていかれないように,学び続けなければならない。

何も情報を与えられなくても,あらゆる質問に答え,あらゆる問題を解決できる。そんな人はいません。ソフトウェア業界にそんな「超人」がいるという神話は,そろそろ一掃すべきでしょう。どれほど優れたプログラマも人間であることには違いはないのです。彼らも他の人と同じように,論理的に考え,体系的に分析をしない限り,どんな問題も解決できないのです。(Ryan Brush,p. 71)

存在しない「超人」に頼るのではなく,自分で論理的に考え,体系的に分析することを続ける。たとえ,もがき苦しんだとしても。

仕事には長い時間をかけず,集中して短い時間で終わらせるように心がける。より効率的な問題解決方法を探す努力を常にする。プロジェクトに貢献するというのはそういうことです。技術力を向上させ,自分の行動パターンを振り返り,改善に努めることも,プロジェクトにとってプラスになるでしょう。(Olve Maudal,p. 73)

技術を向上させ,改善に努めることは,プログラムのプロジェクトだけではなく,様々なプロジェクトにとってもプラスになる。

結局は気持ちの持ち方,さらに言えば,取り組む態度の問題ということになってしまうのだと思います。(Yuriy Zubarev,p. 177)

最後は,取り組む態度,つまり気持ち(パッション)の問題に帰着する。

常に,最大限の力を尽くして良いコードを書こうとします。リソースの制約がある中,早く作業を終わらせろと会社が圧力をかけてくる中,それでもできる限り良いコードを書こうと努力をするのです。(Pete Goodliffe,p. 182)

作業を終わらせることだけを考えていては,いつまでたっても作業に追われてしまう。

プログラマが持つべき 3 つのスキル(吉岡 弘隆,p. 209)

  1. コードを読むスキル
  2. テストをするスキル
  3. デバッグをするスキル

プログラマなコアな部分は,上記の 3 つのスキルなのだろう。

有名な UNIX 哲学では "Write programs that do one thing and do it well" (1 つのことをうまくやるプログラムを書け)といわれるように,複数の機能をつめ込まず,単一の機能をもったプログラムを組み合わせて使うことが美とされます。(宮川 達彦,p. 219)

今,実装しようとしているプログラムは,どんな機能を持たせたいのか,よく考えながらプログラムを書く。

プログラマが知るべき97のこと

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  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

教養としての社会保障 香取 輝幸

2021年3月10日

『教養としての社会保障』(香取 輝幸,東洋経済新報社)を読了。

近代資本主義と民主主義の枠組みの中で,社会の安定がなければ資本主義も成長していかない,持続できない,という考えから,第二次世界大戦後に福祉国家の理念の下に生まれたのが現代の社会保障です。(位置 No. 282)

資本主義の成長,持続の大前提は,社会の安定。
社会の安定をもたらすために生まれたのが,現代の社会保障である。

合理的無知*1ということがある限り,社会保障のようにミクロとマクロに大きな乖離のある制度は,そもそも理解を求めること自体にかなり無理がある,という宿命を背負わされています。みんながみんなインテリじゃないからね,ということになってしまうのです。(位置 No. 426)

無知な人たちをどう取り扱っていくのが,よいのか。
今日の野党やマスコミを見ていると,無知な人たちの不安を煽っているだけにしか見えない。

よく,社会保障は「自助・共助・公助の組み合わせ」と言われます。たしかにそのとおりですが,この自助・共助・公助は単に並列で存在しているものではありません。それこそ「教科書的」にお話すれば,

「すべての国民が社会的,経済的,精神的な自立を図る観点から,

  1. 自ら働いて自らの生活を支え,自らの健康を自ら維持するという「自助」を基本として,
  2. これを生活のリスクを相互に分散する「共助」が補完し,
  3. その上で,自助や共助では対応できない困窮などの状況に対して(略),受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置づける。」(位置 No. 526)

「自助」が基本で,「共助」が補完し,さらに「公助」がある。
まずは,自ら働いて自ら生活を支え,自らの健康を自ら維持するという当たり前のことをやっていけばよい。

社会保障という形で,所得を再分配することが社会全体の安定につながるから,この制度がある。そこが社会保障という制度を理解するのにもっとも重要なポイントです。社会保障は,単なる所得の分散ではありません。(位置 No. 627)

「自助」のみで生きていくことができる人にとって,社会保障にどのような価値を見出せばよいのか。

一人ひとりの人間が現状に甘んじて,昨日と同じ生活ができればいいと考えていたら社会は発展しません。みんなが新しいことに挑戦して次々と前へ進んでいく。一人ひとりの人間が能力を発揮する,ということの Σ (シグマ,総和)が社会の活力であり,その活力が社会を発展させるのです。(位置 No. 657)

みんなが新しいことに挑戦して次々と前に進んでいく,その総和が社会の活力。
日本の活力が失われているように感じるのは,みんなが新しいことに挑戦していないからだろうか。

一人ひとりが老後の生活で必要なコストを社会全体で賄うことで,過剰貯蓄をもっとも合理的に小さくしようとしているのが年金制度です。実体としては,日本の高齢者は諸外国と比して過剰貯蓄の傾向が大きいのは事実ですが,年金制度がなければ,誰もが老後に備えてもっと過剰な貯蓄を始めますから,今以上に消費が減少し,経済はもっとも大変なことになります。そんな愚かなことをしなくても済むように,年金制度があるわけです。(位置 No. 1206)

これだけを読むと,過剰貯蓄は愚かなことに感じてしまう。
一方で,年金制度に不安を感じ,過剰に貯蓄したくなるという気持ちも理解できる。

若い世代の所得が増えないと,結婚もできない,子どもも産めない,自分の人生,将来に希望が持てない。それでは社会全体の活力が失われます。将来に対する不安や諦感のある社会は停滞してしまいます。(位置 No. 1305)

若い世代の所得を増やすことには,異論はない。
若い世代が,将来に希望を持てない社会であってはならない。

資本を持っている人の収益 r (資本収益率)に,労働者の賃金 g (経済成長率)に見合って成長する。r は g よりも大きいので,資本を持っている人のところによりカネが集まってきて,ますます富む。(位置 No. 1396)

資本で資本を増やしていくことができるようになれば,お金に対する不安は小さくなる。

大きすぎる財政赤字は,もう一つ弊害を生みます。財政赤字が大きいということは,政府には歳出削減圧力が非常に大きく働くということです。おカネがないから新しいことができない。様々な問題に対処しようと思っても,新たな政策課題に取り組もうと思っても,先立つものがない。おカネがないから,政策選択の幅が狭くなる。手札が制限され,政府の問題解決能力が低下する。事態はどんどん悪化する。悪化すればするほど解決のコストは高くなる。ますます対処できなくなる。

財政赤字は政府の政策遂行能力を奪い,世の中を悪くしていきます。(位置 No. 1747)

歳出削減は必要なことだが,課題を解決するための歳出まで減らしてはならない。

太古の昔から,国内で不満・不安が高まって社会が不安定になると,為政者は外に敵をつくったり,誰かを生贄にして不満をそらそうとします。排外主義,保護主義,狭量な民族主義,移民排斥,異文化への敵意・憎悪。犯人探しが人々の心の闇を支配するようになり,それを煽り立てる勢力が権力に近づいていきます。(位置 No. 2157)

 日本国内の不満・不安が高まっているから,外に敵(周辺の国々)をつくったり,誰かを生贄(枚挙に暇がない)にしているのだろうか。

ポピュリズムの政治家は一点突破,全面展開を目指します。うまくいかないのはこいつのせい,悪いのはこいつ,こいつを退治すればあとはすべてうまく,というような幻想を社会に振りまきます。しかし,そんなことはありません。これだけ複雑になった社会では,問題解決には時間がかかるし,手間もかかります。一点突破ですべてが解決することはありません。確実に,一つひとつを積み上げ,全体の改革につなげていく。それことが本当の改革なのだと思います。(位置 No. 2443)

一点突破ですべてが解決するほど,世の中は単純ではない。

コミュニケーション能力とは,「意見の異なる人たちと議論をしながら合意形成をしていく能力」のことであり,要素分解すれば,

「人の意見を聞く能力」+「自分の意思・意見を人に正確に伝える能力」=「言論による合意形成~人を言論で説得する能力」

と表現することができます。(位置 No. 3413)

私にできることは,コミュニケーション能力を高めて,世の中の課題に挑んでいくこと。

教養としての社会保障

教養としての社会保障

 

*1:「合理的な選択」として小難しい政治や経済の話には関心を払わない,無知のままでいる,という選択をすること。

両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

2021年3月8日

『両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』(チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン,東洋経済新報社,2019年2月28日)を読了。

マネジメントは確実に列車を定時運行させるのに対し,リーダーシップは適切な目的地に列車を確実に向かわせる。マネジメントは実践を,リーダーシップは戦略と変革を扱うのだ。(p. 70)

マネジメントできる人は,周りには何人もいるが,リーダーシップを発揮している人は,数人しか思い浮かばない。
リーダーシップを持つ人は稀少性が高そうなので,私はリーダーシップを持つ人になる。

以前であれば,経営陣は数十年かけて自社を軌道修正していくことが多かった。しかし,もはやそうもいかない。今日の経営者にとって,新しい能力を開発するか,崖っぷちに追い込まれるか。手を打つための時間はほんの数年しかない。(No. 87)

私が勤めている会社は既存事業の深化の途についたばかり。
数年で軌道を修正することができるだろうか。

ベゾスの哲学は,物販で儲けるのではなく,顧客の購買決定を手伝うことで儲けるというものだ。この哲学は今でも健在だが,これが第二のイノベーションに結びついた。すなわち,書評(レビュー)の提供である。(p. 93)

私が運営しているサイトやブログに,哲学は存在しているか。
哲学がないから,ページビューは伸びず,アフェリエイトで儲けられていないのではないか。

リーダーシップを長年研究してきたウォレン・ベニスは,「失敗する組織はたいてい過度に管理され,あまりリーダーシップが発揮されていない」と述べていた。両利きの経営では,リーダーたちは優れたマネジャーかつ優れたリーダーでなくてはならない。変化に直面して成功するために,組織は両方を兼ね備える必要があるのだ。(p. 169)

私が勤めている会社は,管理業務が多い。
監理業務が多いことが,リーダーシップを発揮できる人は少ないことの一因であるかもしれない。

アイディアの評価の基準(p. 268)

  1. 実際の顧客のペインポイント(痛点)に対応しているか。
  2. 十分に大きな市場に訴求するか。
  3. 適切なタイミングか。
  4. そのアイディアを追求する場合,当社がうまくやれるか。
  5. 長期的な機会を開拓できるか。それとも,すぐにコモディティ化してしまうか。

色んなアイディアを評価するときの参考にする。

卓越したリーダーの原則(pp. 330 - 337)
  • 第一原則 心に訴えかける戦略的抱負を示して,幹部チームを巻き込む
  • 第二原則 どこに探索と深化との緊張関係を持たせるかを明確に選定する
  • 第三原則 幹部チーム間の対立に向き合い,葛藤から学び,事業間のバランスを図る
  • 第四原則 「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する
  • 第五原則 探索事業と深化事業についての議論や意思決定の実践に時間を割く

リーダーになるため,最初に取り掛かるのは,心に訴えかける戦略的抱負を策定すること。

リーダーリップの実践方法(pp. 372 - 379)

  1. 成長に向けて感情移入のできる抱負を定める
  2. 儀礼的な文書化された計画プロセスではなく,対話として戦略を扱う
  3. 今後起こることを教えてくれる実験を通じて成長する
  4. リーダーシップコミュニティを刷新活動に巻き込む。少なくとも幹部チームがかけてくるものと同等の圧力が,ボトムアップから生じるようなプロセスを設計する
  5. 実行するための規律を持たせる。刷新は一夜漬けの仕事だと甘く見てはいけない

実践しながら,リーダーシップを身につけていく。

戦略的刷新は片手間にやるべきことではない。(p. 379)

戦略的刷新を行うチームに属している人は,それに専念すべき。

イノベーションの時代を経営するには,一方で既存事業を「深化」して収益力,競争力をより強固にする経営と,イノベーションによる新たな成長機会を「探索」し,ビジネスとしてものにしていく経営の両方が求められる。(p. 390)

既存事業の「深化」と成長機会の「探索」が,イノベーションの時代を勝ち抜く方法の一つ。

ライフハック大全 堀 正岳

2021年3月5日

ライフハック大全――人生と仕事を変える小さな習慣 250』(堀 正岳,KADOKAWA,2017年11月16日)を読了。

"Fake it till you make it." という言葉があります。うまくゆくまでは,うまくいっているフリを続けよという意味で,成功はそれを真似る人のところにやってくるという心強い言葉でもあります。(位置 No. 423)

うまくいくまでやってみる。

最初に時間の見積もりを行う際に,単純にその値を 2 倍にしておく*1(位置 No. 598)

時間を見積もるとき,2 倍しておこう。

「私は 2 つの問題を抱えている。1 つは緊急で,もう片方は重要なものだ。しかし,緊急なものは重要ではなく,重要なものは決して緊急であることがないのだ」――これはアイゼンハワー米大統領の言葉とされているものです。この言葉から「アイゼンハワー・マトリクス」と呼ばれる,仕事を緊急度と重要度で振り分ける図が考案されました。(位置 No. 826)

 2 軸思考で考える。

1 人で戦っていると,死角が多すぎます。そこで 1 人が行動しているとき,危険や不備がないかをもう 1 人がチェックし,それを互いに行うことで安全を確認するわけです。

この習慣は,プログラミングの現場ではペア・プログラミングという形で取り入れられています。1 人では解決できない問題を 2 人で解決し,他人の目がないとわかりにくく記述してしまうコードを 2 人目の視点で最適にしてゆくことで,高速に保守性の高い成果を生み出す方法として知られています。(位置 No. 3258)

言い古された言葉だが,「1 + 1」を「2」以上にする

常に紙を減らしてデジタルを増やすスタイルを貫くには,机の上に紙がやってきたときからデジタル化されるまでの流れが意識できているとよいでしょう。(位置 No. 3380)

仕事のやり方の中に,デジタル化するまでの流れを組み込んでみる。

ライフログとは,毎日の行動をデータ化して蓄積することです。たとえば歩数計で歩いている距離を測り続ければ,自分では意識していない行動の癖や,改善のためのヒントを見つけることができます。(位置 No. 4047)

ログを取ることで,課題を見つけやすくなる。

VA*2 を利用すると,オンラインで仕事を依頼するために必要なタスクの明確化や,仕事の投げ方というスキルが高まります。

作業やタスクを外部化する練習はいまもメリットが大きいですが,いずれ AI がスケジュール管理や,雑用を可能としてくれることに,重宝するスキルになるのです。

仕事をいつでもアウトソーシングできる状態にしておく。

人生の航路を変えたいと願うなら,それは毎日の小さな行動を変えるところからでなければ不可能なのです。(位置 No. 4202)

ある日突然,人生がいい方向に変わるわけではない。
毎日,少しずついい方向に向かって進んでいくしかない。

*1:心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマン氏がエイモス・トベルスキー氏とともに 1979 年に「プランニングの誤謬」として報告した現象

*2:バーチャル・アシスタント

良い戦略,悪い戦略 リチャード・P・ルメルト

2021年3月3日

『良い戦略,悪い戦略』(リチャード・P・ルメルト,日経 BP,2020年4月28日)を読了。

良い戦略は必ずと言っていいほど,このように単純かつ明快である。パワーポイントを使って延々と説明する必要などまったくないし,「戦略マネジメント」ツールだとか,マトリクスやチャートといったものも無用だ。必要なのは目前の状況に潜む一つか二つの決定的な要素――すなわち,こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントをみきわめ,そこに狙いを絞り,手持ちのリソースと行動を集中すること,これに尽きる。(位置 No. 18)

良い戦略は,単純かつ明快。狙いを定めて,効果を出していく。

戦略のカーネルは,診断,基本方針,行動の三つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし,それにどう対処するかを基本方針として示す。これは道しるべのようなもので,方向は示すがこまかい道順は教えない。この基本方針の下で意思統一を図り,リソースを投入し,一貫した行動をとる。(位置 No. 129)

戦略は,問題点を明らかにし,どう対処するか基本方針を考える。

戦略の基本は,最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること,別の言い方をするなら,最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである。

(中略)

良い戦略は,第一に,狙いを定めて一貫性のある行動を組織し,すでにある強みを活かすだけでなく,新たな強みを生み出す。

(中略)

第二に,視点を変えて新たな視点から見て再構成すると,強みと弱みのまったく新しいパターンが見えてくる。良い戦略の多くが,ゲームのルールを変えるような鋭い洞察から生まれている。(位置 No. 206)

私の勤めている会社では,最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけているか。

良い戦略に必要なのは,さまざまな要求にノーと言えるリーダーである。戦略を立てるときには,「何をするか」と同じぐらい「何をしないか」が重要なのである。(位置 No. 401)

「何をしないか」を判断するのも,リーダーの役割。

悪い戦略は,次の四つの特徴から見分けることができる。(位置 No. 606)

  • 空疎である――戦略構想を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現を使い,高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
  • 重大な問題に取り組まない――見ないふりをするか,軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら,当然ながら適切な戦略を立てることはできないし,評価することもできない。
  • 目標を戦略ととりちがえている――悪い戦略の多くは,困難な問題を乗り越える道筋を示さずに,単に願望や希望的観測を語っている。
  • まちがった戦略目標を掲げている――戦略目標とは,戦略を実現する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり,単純に実行不能だったりすれば,まちがった目標と言わざるを得ない。

戦略を立てた後,悪い戦略の特徴を有していないか,チェックしてみる。

戦略や競争優位についてはさまざまな理論が展開されているが,戦略策定のむずかしさは,結局のところ選択そのものにある。一つか二つの課題に絞り込んで結果を出そうとするのだから,どうしても選択しなければならない。戦略は一本の柱,一本の道なのであって,あれこれと願望を表明する手段ではない。真の戦略を持つためには,一つを選んで他を捨てなければならないのである。だが夢や希望に「ノー」と言うのは,心理的にも,政治的にも,組織運営上もむずかしい。(位置 No. 1153)

課題が山ほどあるように見えるとき,その中から一つか二つの課題に絞り込むのが,難しい。

あまりに有利な地位を占め,さしたる努力もなしに利益が上がるようになると,ぬくぬくとぬるま湯につかって楽をしたくなるのが人情である。そして,高業績が続くのは経営がいいからだなどと考え,遠い過去の壮絶な努力の実りを刈りとっているだけだということを忘れてしまう。(位置 No. 2483)

まさに私が勤めている会社のことを言っているのではないか,と思えてしまう。

だが 1996 年の時点では,成功のカギを握るのはソフトウェアになっていた。そしてソフトウェアなら,大企業でなくても,頭の良い連中が何人かそろえば書き上げることができる。規模の経済から個人のスキルへ――これが,大きな変化のうねりだった。戦争の主流が,正規軍の衝突からゲリラ戦に移ったようなものである。(位置 No. 3333)

2021 年になった今,成功のカギを握るのは・・・。
ソフトウェアのままなのか,それとも AI なのか。

企業文化の慣性を打ち破る第一のステップは,単純化である。むやみにややこしい業務手続きを簡素化し,部門間の隠れた力関係を明るみにし,埋もれていたムダや非効率を排除する。何層にもおよぶ序列を整理し,不要な業務は廃止する。(位置 No. 3839)

業務の改革は,業務を単純化することから始める。
その業務には,どんな目的があり,なぜ行われているのかを考えればよいか。

新しい種を播くほうが雑草を抜くよりはるかにおもしろい。だが,定期的に雑草を抜いたり剪定をしたりしないと,庭は荒れてしまうことを忘れてはいけない。(位置 No. 3953)

雑草を抜くことを忘れていないだろうか。
新しいものを買うことは,不要なものを捨てるよりもはるかに面白いのと,言うこともできそうだ。

科学の世界では新しい考えを「仮説」と呼ぶが,この言葉は,新しい考えが証明されるのを待っていることをみごとに言い表している。新しい考えは,既存の知識のみからは生まれない。新しい考えを生み出すのは,深い洞察であり創造的な判断である。そして科学の科学たる所以は,現実の世界からとりだした実証データによって仮説の価値が決まるということだ。けっして,仮説の提唱者の階級や富や人気で決まるのではない。(位置 No. 4415)

洞察と創造により,仮説を生み出すのが私の役割なのかもしれない。

「いまでは ”こうすればできる” 的なツールがやたらに出回っているが,良いアイデアは手順通りにやったら出てくるというものじゃない。ツールは方向を示す役割は果たしてくれるかもしれないが,最後はどこからともなく湧いてくるのがアイデアのアイデアたる所以だ。だからアイデアは閃く,という」(位置 No. 4717)

イデアを生み出すために,ツールは有効であるかもしれないが,ツールがあるからと言って,必ずアイデアが生まれるわけではない。

「戦略を立てるのに安直な近道は存在せず,王道を行くしかないのだ」 by リチャード・P・ルメルト(位置 No. 5381)

安直な近道を選ばずに,王道を行く。