大下英治の『小沢一郎の挑戦』(徳間文庫)を読了しました。この作品は1991年4月廣済堂出版より刊行された『官邸の揺らぐ日』に大幅加筆し,改題されたものだそうです。
国連平和維持活動(PKO)をめぐり,政府が右往左往する中,若き自民党幹事長・小沢一郎がその豪腕ぶりを発揮する一連が描かれております。象徴すべきは,下記の言葉でしょう。
自衛隊の派遣については,中途半端なまやかし,ごまかしなどの姑息な手段はとるべきではない。それは他の国どころか,結果的に日本の国民をあざむくことになるし,国益にならない。日本の場合,緊急事態に対処する法体系は,憲法以下いっさいない。そのためには,まず憲法判断をすることが先決だ。それをまず,政府がきちんと出すべきだ。政府がどのような基本的スタンスをとるかということを決めなければいけない。そのうえで議論を尽くさなければ,すべては動かない。基本的スタンスが決まらないかぎりは,いくら議論を尽くしても,枝葉末節な議論で終わってします。小手先になる
あのときから二十年以上経過した今日は,奇しくも憲法施行から68年目。未だに一度も改憲されておらず,緊急事態に対する法体系は十分なものとは言えません。68年前と現在では,日本周辺の情勢も変化しております。基本的スタンスを決めた上で,議論を尽くし,国際社会の一員として日本が独り立ちできる憲法へと発展していくことを願