Masassiah Blog

現役サラリーマンのスキルアップのための読書まとめ

株価暴落

池井戸潤の「株価暴落」(文春文庫)を読了しました。

株価暴落 (文春文庫)

株価暴落 (文春文庫)

 

巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価 は暴落,一風堂の巨額支援要請をめぐって,白水銀行審査部の坂東と企画部の二戸 が対立する。

一風堂の体質が変わらぬ限り,再建はない。

「融資の要諦は回収にあり」という信念に従い,巨額支援に反対の立場の坂東。

一風堂に対する与信が不良債権化した場合の損害額で,銀行が赤字化することを恐れ巨額支援賛成の立場の二戸。

それぞれの理念の異なる二人の戦いは銀行ならではであり,非常に読み応えがありました。 連続爆破事件についての動機については若干チープな面は否めませんが,それを補ってあまりある銀行内の対立でありました。

タイトルの「株価暴落」から想像していたテーマではなく,巨額支援を巡る銀行内の対立が主たるテーマだったと思います。 いくら上場企業であり,多数の従業員や関連企業があったとしても,再建の見通しのない企業では融資は行えない。

現実の世界でも資金繰りが苦しくなり破綻に追い込まれるケースはあるようですが,実際のところどうなのでしょう。生命維持装置のごとく,銀行が支援を続けているケースはあるのでしょうか。 市場原理と言えばそれまでですが,巨大企業の破綻は影響が大きいので,非常に難しい問題だと思います。